声明
【提言】秋の臨時国会によせて (2026.10.04)

高市首相は、「第二次改造内閣」の組閣において、簗和生(農林水産大臣)や関芳弘(文部科学大臣)などのいわゆる「裏金議員」、また、官製談合に関与した中司宏(規制改革担当大臣)、そして選挙運動員の買収疑惑がある藤井比早之(総務大臣)らを平然と起用しました。中でも簗氏は、今年5月に栃木県で開かれた会合で、選挙で自身を支持しなかった地元自治体の道路予算を「大幅にカット」したと発言し、税金の私物化と権力の驕りを露わにしました。
明日から始まる臨時国会においては、飲食料品の消費税減税や衆院議員定数削減問題、安保三文書などが主要な争点になりますが、言うまでもなく、この「改造内閣」における首相の任命責任も厳しく問われなければなりません。首相自らが応答する開かれた論戦を通じ、政権の歪みや驕りについてもしっかりと追及がなされることを願います。
私たち市民連合はこれまでも、政権の平和外交なき戦争準備、社会保障や福祉を犠牲にする軍拡路線に異を唱え、それに代わる「信じられる未来」を構想するべく活動を続けてきました。その観点から、今国会で議論が予定されている下記の争点について、私たちの懸念と見解を明記しておきます。
- 「経済安全保障」の名の下に展開する日本経済全体の軍事化を懸念します。特に半導体や蓄電池など特定重要物資のサプライチェーンに関する機密情報管理、あるいは通信機器や電力設備などの重要インフラをめぐって、行き過ぎた規制、あるいは軍産官学の融合がもたらされることで、逆に隣国との間に「安全保障のジレンマ」や対立が生まれ、また日本経済が将来にわたって戦争経済への依存体質を深める危険性があります。
- これに関連し、高市政権が進める、安全保障・情報保全分野における新たな法整備(特に「セキュリティ・クリアランス」および「能動的サイバー防御」)は、安全保障の名の下に、国民の経済的自由や人権、プライバシーが侵害される恐れがあります。
- 電力・通信・金融などの重要インフラに対するサイバー攻撃に対し、事前に攻撃の兆候を察知し、攻撃元のサーバーを特定して無効化する「能動的サイバー防御」に関しても、憲法第21条「通信の秘密」を侵害する恐れがあります。また、相手方のサーバーに侵入して無効化する措置も、これまでの「専守防衛」原則を損ね、「武力行使」や先制攻撃に該当する恐れがあります。
- 防衛装備移転三原則の見直し、すなわち武器輸出の拡大に反対します。殺傷能力を持つ防衛装備品の輸出緩和や、同志国との共同開発装備の移転ルール拡大(「5類型」の見直しなど)は、日本国憲法が謳う平和主義の形骸化と破壊に他なりません。
- また高市政権は、防衛費をGDP比2%水準へ拡大する方針で、その不足する財源を補うための「軍拡増税」を計画していますが、物価高が市民生活を直撃している中で、防衛増税の前に国民生活の支援、すなわち「社会保障」や「生活安全保障」を最優先すべきです。
- これに関連し、高市政権が掲げる飲食料品に限った2年間限定の消費税減税は、その効果の疑わしさや、2年後に確実に迎える増税問題に加え、何よりも数兆円規模に上る減税財源の裏付けが不明確なままです。減税の対象範囲の再検討や減税の期間をめぐる議論とともに、そもそも青天井で拡大される防衛費や、依然として温存される大企業や「持てるもの」優遇の税制をめぐる抜本的な議論が必要です。
- 高市政権は、維新と結束し、民主主義の根幹を脅かす衆議院の議員定数削減(現行465議席からの削減)を提起しています。維新発の「身を切る改革」というレトリックは欺瞞に満ちており、特に提起されている比例代表の定数削減は、得票率に応じた議席配分を減らすために大政党に有利となって、少数政党や少数者の排斥、すなわち民意の切り捨てにつながります。特に、国会議員における女性比率が国際的に見ても極めて低い日本において、小選挙区より明確に女性議員の割合が上回る比例代表を削減することは、ジェンダーギャップをさらに拡大することになります。また与党側が、一定期間で協議がまとまらなければ自動的に定数を削る条項を視野に入れて議論を展開していることは、国会での熟議や与野党合意を放棄する強硬手段に他なりません。
今国会においても、民主主義や立憲主義、そして平和主義の根幹が問われています。憲法審査会の動向も、注視し続けなければなりません。引き続き声を挙げ、政権の暴走を食い止めましょう。
2026年10月4日
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合

