声明

あらゆる差別とヘイトに反対します

市民連合声明 ―― 「あらゆる差別やヘイトに反対します」

私たち市民連合は、「戦争する国づくりストップ、安保法制化ノー」の声から生まれ、民主主義・立憲政治・平和主義を守るための多種多様な市民活動が広く連帯するためのプラットフォームです。それゆえ、これまで社会で押しつぶされてきた声や少数者の声を最大限尊重し、いかなる理由をもってしても、これに対する差別や誹謗中傷に強く反対します。

世界に目を向けると、残念ながら、排外主義的ナショナリズム、反フェミニズム・反ジェンダー・反知性主義が蔓延しています。既存の権威主義体制諸国のみならず、たとえばアメリカでも、トランプ政権の登場でこのような傾向が顕著になり、また欧州でも、次々と極右勢力が台頭しています。日本国内でも、在日コリアン、クルド人などへの根拠のないヘイトスピーチが顕在化するようになりました。

これら草の根の差別やヘイトは、共通の背景をもっています。どの国でも格差が拡大し、「自己責任」の論理が強要される中で、多くの人々が日々不安や猜疑心の濁流に投げ込まれてしまいます。歴史が証明するように、このような人々の不安が、時に政治的なデマゴーグに先導され、排外主義や国家主義、そしてファシズムを生み出し、さらにそこで生み出された社会的暴力は、常に弱く小さくされた人々、―こどもや高齢者、ハンディキャップを持つ人々や外国人など―に集中します。中でも歴史上、特に男性優位主義の台頭と女性や性的少数者への暴力は、常にその次に準備される国家的暴力=戦争へのプロローグであったことを思い起こす必要があります。

国連のグテーレス事務総長は、今年3月8日の国際女性デーを前に、スピーチで、「愛国主義と女性蔑視が主流になろうとしている。世界のあらゆる場所で女性の権利が攻撃されている。黙認するわけにはいかない。私たちは反撃しなければならない」とよびかけました。また、「デジタルツールは多くの可能性を秘めている一方、女性の声を封じ、偏見を増幅させ、嫌がらせを助長するケースも少なくない」として警鐘を鳴らし、「女性の安全が“当然の権利”ではなく、“特権”とみなされるような世界を受け入れてはならない」とうったえました。

いま、日本に限らず、世界中で、SNSを中心としたフェイクニュースやデマ・切り取りによる扇動も巻き起こっています。社会のゆきづまりの中で、匿名でより強い表現や攻撃をする中毒性が蔓延しています。気に食わないことがあれば著作権・肖像権を侵害した投稿を行い、相手が潰れてからもバッシングする風潮、意見を言っただけで、SNSで殺害予告されるなど、常軌を逸した動きも強まっています。私たちは、これら草の根ファシズム胎動の芽を見過ごすことなく、摘み取っていかなければなりません。

市民連合は、これからも、あらゆるヘイトや差別に反対し、「戦争と暴力に基づかない社会」、「暮らしといのち最優先の社会」、「すべての個人の尊厳が尊重される社会」をめざし、多くの人と手を携えて活動していきます。

2025年5月12日

安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合

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