ひろば

市民連合/立憲野党インタビュー
自民党政治に代わるオルタナティブ(選択肢)を!
(2024.4) ②社会民党党首 福島みずほさん

岸田内閣と自民党の支持率はともに史上最低レベル。「自民党とカネ」の問題なのに「政治とカネ」と、政治全てが腐敗しているかのように言語化されています。今こそ自民党政権に代わるオルタナティブ(選択肢)を示す時です。立憲野党の皆さんの思いを聞くシリーズ。第2回目は、社会民主党 党首 福島みずほさん、聞き手は市民連合運営委員の西山千恵子さんです。

西山 今日はありがとうございます。岸田内閣や自民党の支持率が低迷しているのに、なかなか野党の支持がひろがらず、歯痒い思いをしています。まずはこの岸田内閣低支持率の直接の原因となった自民党の不祥事を受けて、どのように捉えていらっしゃるかから、おうかがいしたいと思います。

福島 自民党が誰のために政治をやっているかが、今回の件で明確になったと思います。献金や政治資金パーティーを通じて、一部の大企業が献金をし、その意向を反映するというのが、自民党の政治です。自民党は経団連から23年間で555億円もらっています。1年間にしても24億円です。国民全体を見れば実質賃金は上がらず、円安や物価高で、生活が厳しくなっているにも関わらず、それとは全く切れたところで政治をしている。そして軍需産業や原発産業が儲かるような政策を推進していく。まさに大企業のための政治をやってきたということだと思います。一方で、労働法制を規制緩和して、格差や貧困を生んでいる。福祉や医療、都市交通や水道事業など、生活にとって必須な公共サービスが切り捨てられていく。

西山 なるほど。裏金にも問題はありますが、さらに問題なのはまさに自民党の大企業優先の金権政治だということですね。

福島 そうです。自分達のスポンサーである大企業のために政治をやっている。それとアメリカ追随の政治も問題です。社民党は1月18日から20日の間に中国にいってきました。このままだと軍需産業とアメリカに追随して、敵基地攻撃能力を保有して、集団的自衛権を行使しよう、ということになってしまいます。その危機感から、日本の国民と中国の国民は絶対に戦争してはならないっていうことを言いに行きました。外交はいろんなレベルでやっていく必要があります。社民党は戦争の準備ではなくて平和の構築と言っているので、まさにそれを中国に伝えに行ったのです。絶対に戦争してはならない。その私たちの決意を言いに行くことは大事だと思っています。

西山 必要なことだと思います。ありがとうございます。しかし、そんな悪いことばかりしている自民党ですけれど、選挙のたびに勝っていて、なかなか政権交代ができない状態が続いてきています。もし立憲野党が連携・共闘して政権をとった場合に、何がどういう風に変わっていくのかをお聞きしたいと思います。

福島 社民党は大事な政党だと思っています。セキュリティクリアランス法案(重要経済安保法)も問題だし、軍需産業強化法案も問題です。社民党はそれに反対し、民主主義を守り、戦争させず、人権を守るという点で、国会の中でもかけがえのない政党です。しかし、その上で立憲野党のグループと力を合わせることも必要だと思っています。自公政権よりは、絶対に立憲野党の政権の方がいいのですよ。今の腐った、国民を愛してないこの政権は変えなくちゃいけないと心から思っている。そのためには、第一に企業団体献金をなくすべきです。大企業のためだけの政治から、まずは脱却する。そして立憲野党の力で、新自由主義で格差や貧困をつくるような政策を変える。それから二つ目は軍拡をどんどん進めていくことも変えるべきです。さらに三点目はやっぱり人権のことです。私は選択的夫婦別姓を実現したいと思っています。ジェンダー平等を実現したいということがすごくあります。自民党だけが選択的夫婦別氏制度に賛成していません。その大きな理由は2世や3世など、いわゆる世襲議員の存在があるのではないか。世襲ですから、家督相続をしているわけで、それはイエ制度そのものを継承しているのではないかとみているのです。

西山 確かにその側面はあると思います。

福島 もちろん世襲議員のなかにも違う人もいるけれど、世襲は基本的に長子相続で、それはイエを引き継ぐものです。私はやっぱり憲法13条の個人の尊重、14条の法の下の平等と、とりわけ24条の家族の中における個人の尊厳と両性の本質的平等、個人の尊厳ということを実現したい。これを実現するためには本当に自民党政治を終わらせないとできないと思っています。

西山 統一教会や神道政治連盟などの宗教保守の問題もありますよね。

福島 そうです。大企業と同時に、統一教会や神道政治連盟というものの存在が自民党に影響を与えています。これが家父長制と結びついている。彼らは戦前のイエ制度の中で生きているから、選択的夫婦別姓や同性婚などに賛成しないのでしょう。社会のありようとして、特定の価値観を押し付けるのではなく、多様な生き方を認め合うことが大切です。これにあわせて、差別禁止法や人権救済機関も作りたい。これは政権が変われば、確実に進んでいくと思います。

西山 そうですね。私たちの社会もアップデートしていかなければなりません。アップデートできていない自民党に任せていては、変わりませんから、政権交代は必要ですね。

福島 それと同時に、平和の問題は待ったなしで、そのために政権を変えなければという危機感も持っています。今の日本は「戦争のできる国」から「戦争する国」へ移行していると思っているのです。今ならまだ間に合うのですよ。危機を煽って戦争に向かわせるのではなく、戦争を止めようとすることが必要です。戦争で金儲けをしようとする人を支持基盤にしている自民党政治を止めなければいけません。

西山 それでは今後、いつ解散総選挙があるかはわかりませんが、今の自民党政権にかわって政権を担いうる政治勢力をつくるために、次の選挙でどのような戦略をお持ちかをお聞かせください。

福島 まずは衆議院で社民党は議席を増やしたいと思っています。その上で立憲野党の議席も本当に増やしたいと思っています。社民党はブロック比例が中心で、小選挙区で候補を出しているところはもちろん頑張ろうと思っていますけれど、そんなにたくさんは小選挙区では出せません。だから必然的に社民党が出てないところは立憲野党を応援するのです。立憲野党が圧倒的に議席を増やす中で、社民党の議席も増やしていかなければなりません。このために、きちんと未来像を示して、希望が持てるようなメッセージを発信していきたい。社会民主主義と平和と人権、それを実現するために頑張ると。それで今まで選挙に行っていなかった人たちが、投票所に足を運んでもらえるといいですね。必要なのは軍拡じゃなくてやっぱり福祉や医療や教育だっていうこと分かってほしい。また、今まで習慣として自民党や公明党に投票してきた人達にも、もう自民党や公明党は変質していますよ、昔と違いますよ、ということも言いたいですよね。あなた達のために政治をやっているのではなくて、大企業やアメリカのためにやっているのですよっていうのも言いたいです。自公の政治を見て、みんなが政治なんてつまらないと思わないようにしたい。政治は希望であり、政治を変えることでこの社会を変えられるって言いたいです。市民連合でやっているフェミブリッジとかでも、いろんな人達に希望が伝わるといいですよね。

西山 フェミブリッジの運動は希望だと、よく言われます。

福島 そう、楽しく明るくやることが必要ですね。そして政治に希望を取り戻していく。本来は、政治家ではなく、主権者に力があるのです。つまり主権者が自民党に投票しなければ自民党は転がり落ちるのです。私はアイヌの言葉で好きな言葉があります。それは「言葉に足が生えている」という言葉なのですが、ともかく色々と話して、発信していけば、その考えや思いは必ず伝播していくと思います。市民運動も「こうしたい」と発信し続けることで社会は変わっていくのではないでしょうか。

西山 先日、埼玉県が「ジェンダー主流化」を打ち出しました。私は政策の全てにおいてジェンダー平等を進める、この「ジェンダー主流化」が必要だと思っています。2022年12月、岸田政権が軍事費を5年間で43兆円に増額という発表をした時に、翌年2月のNHKの世論調査ではその賛成が40%なのですけれども、男女別内訳では男性の賛成が52%である一方で、女性は26%に過ぎませんでした。女性がもっと政治に参画することで、この社会は確実に変わっていくと思います。

福島 そうですね。もちろん男性でも平和志向の人もいます。日本の平和運動って様々な男性たちが担ってきた面もあるし、反原発運動もそうだと思います。その上で、女の人達ももっと声上げようよと。女性は生活や地域に密着して生きている人が多いので、いま必要なのはその人たちの感覚なのではないでしょうか。その感覚がこれまであまり政治と繋がってこなかったのだと思います。今まであんまり政治は遠かったと思っているような女の人達にもっと働きかけたいですよね。

西山 はい。私たちもフェミブリッジなど、色々頑張っていこうと思います。それではまとめとして、最後に一言お願いします。

福島 社民党は立憲野党の中でも各政党に色々と話ができる立場にあります。社会民主主義、平和、人権で、国会の中に立憲野党のブロックを作っていきたい。そして国会の中から、希望の持てる政治をつくり出していきたいと思います。

西山 お互い頑張りましょう。今日はありがとうございました。

(2024年4月8日@参議院議員会館)