ひろば

「贈収賄政治」で生きるしかない自民党に政治改革はできない
野党は政治資金規制改革で妥協せず政権交代を目指せ
 ―千載一遇のチャンスを生かすには立憲勢力リーダーの勇気が必要
【2024.3】古賀茂明政策ラボ代表 古賀茂明

自民党の「贈収賄政治」

自民党の生存システムは、「企業と団体から資金提供と集票協力を得ることにより政権を維持し、その見返りに彼らに便宜供与する」という仕組みです。

これは、「贈収賄」の構造ですが、一つ一つの献金と個別の補助金や減税措置や公共事業の配分などが直接結びついていないから刑事立件されないだけのことです。

現在問題となっている裏金問題の本質もこの贈収賄政治です。

 

贈収賄政治が自民党政治の本質であるということは、自民党政権である限り、国民のための政治は行われないということを意味します。

そもそも、1994年に小選挙区制導入が決まった時、企業献金廃止を自民党も了解し、その代わりに政党助成金を導入しましたが、その最大の眼目は「贈収賄政治」との訣別だったはずです。

しかし、結局、企業献金は廃止されず、政治資金パーティーが拡大して贈収賄政治は強化されてしまいました。

自民の贈収賄政治を否定する真の政治改革は自民政権ではできないのはある意味当然です。国民のための政治を取り戻すには政権交代しかないのです。

日本維新も実は自民と同じ穴の狢

これから国会では、政治改革が議論されます。しかし、自民党は贈収賄政治をやめられないので、企業・団体献金の全面禁止や政治資金パーティー全面禁止は受け入れません。

今回の裏金問題を受けて各党が政治改革案を出していますが、実は、自民党、立憲民主党、日本維新の会の3大政党の中で最も進んだ案を出したのが立憲です。

一例を挙げれば、政治資金パーティーを個人対象も含めて全面禁止という画期的な案を出しました。自民はもちろんそんな案に賛成できませんが、実は、維新もこれには反対です。なぜなら、維新は企業・団体献金廃止と言いながら、中小零細企業からの献金を「名前を出さなくて良い」20万円以下のパーティー券販売として受け入れてきたからです。したがって、個人向けのパーティーだけは残して、事実上の企業献金を個人からのパーティー券購入として受け入れる抜け道を残そうとしているとみられるのです。

立憲では、ベテランの中に維新と同じ考えを持っている人もいます。これまで政治資金パーティーでかなりの金額を集めていた議員たちです。彼らはパーティー全面禁止に反対しました。しかし、若手議員が「国民目線で改革を行うべき」という正論を主張し、押し切ったのです。

立憲若手は民主党とは無縁で有能な議員が多い

立憲というと、民主党の後継政党というイメージが強いのですが、実は、立憲の国会議員のうち約6割は、民主党政権崩壊後に議員になった人たちで、民主党とは全く無関係です。安倍晋三元首相が多用した「悪夢の民主党政権」というレッテル貼りは、彼らには通用しません。

立憲の若手の中には、社会でさまざまな活躍をした実績を持ち、やる気も能力もある実力派が数多くいます。また、女性の人材も豊富です。

女性といえば、リベラル野党の中には国会論戦で実力を見せる社民党の福島瑞穂党首や共産党の田村智子委員長ら政党のトップで活躍する議員もいます。

 

失われた30年と言われる負の歴史の中で、日本をダメにした責任者は高齢男子です。彼らにはもう期待することはできません。では誰に期待するのか。

日本の人口全体から高齢男子を除けば、残るのは、若手と女性です。

ところが、そういう観点で自民党を見るとどうでしょうか。森喜郎、二階俊博、麻生太郎各氏のような老害政治家だけでなく、下品な「多様性」ダンスパーティーでその正体を露呈した「青年局」の若手議員たち、そして、エッフェル姉さんと揶揄される議員や不倫で名を馳せた女性局の議員、さらには差別発言を繰り返す杉田水脈議員などをみると、女性に期待するのも難しいと思わざるを得ないのが自民党の実態です。

つまり自民党は、もはやオワコン、終わった政党なのです。

 

それに比べて、リベラル野党は、むしろ、若手や女性に期待できる議員がたくさんいます。彼らに足りないのは、経験だけ。経験を積むには、活躍できる舞台が必要です。

今や、立憲幹部への国民の期待はほとんどありません。それが、自民の支持率がこれほどまでに下がっているのに立憲の支持率がほんの少ししか上がらないことの最大の原因です。しかも、彼らが上にのさばっているために優秀な若手や女性の活躍が阻まれているのです。

だとすれば、今一番重要なのは、ベテラン議員が、これまで党勢拡大がほとんどできなかった責任をとって、一旦身を引き、若手と女性を大抜擢して、過去の民主党とは断絶した全く新しい政党に生まれ変わることではないでしょうか。

 

フランスのマクロン大統領は、支持率低下の打開策として、弱冠34歳の青年政治家アタル氏を首相に任命しました。

立憲の泉代表も、幹事長をはじめとした要職からベテラン議員を排除して、若手と女性による党運営と政策立案、そして、国民に訴えるための全国遊説の柱として起用すべきではないでしょうか。

政治倫理審査会の岸田首相への質問という晴れ舞台に野田佳彦元首相が出てくるようでは、はっきり言って、国民はがっかりするだけです。若手や女性では役不足だという立憲執行部の古い考えを象徴する場面でした。このような重大な場面こそ、新しい人材を国民にアピールする絶好の機会だったのではないでしょうか。

失敗を恐れて、結局何のインパクトもない質疑をするベテランを起用したことは、結果的に大失敗だったとしか思えません。リスクを取れないのは、まさに老害の最たる問題点です。

政治改革では一切の妥協をするな

今後、国会では、政治改革の議論が行われることになりますが、私が最も恐れるのは、リスクを取れない立憲幹部が、例えば、「野党は批判だけだ」という自民や維新の批判に怖気づき、政治資金規正法などの改正案の成立のためと称して、安易な妥協を行うことです。マスコミが、「完全ではなくても前に進むことが必要」などというとんでもない記事を載せることが予想されますが、それに対抗して正面から論戦を行う勇気が求められます。

果たして、今の立憲幹部にそれがあるのか。

特にベテラン議員は個人向けの政治資金パーティーを残したいと考えているので、これは杞憂とは言えません。

「批判だけ」という批判を恐れて、改革を中途半端なものに終わらせれば、自民党の「贈収賄政治」を変革することはできず、数年のうちにこれまでと同じような金権政治に戻ることは確実です。

政治の地殻変動は自民党の自壊により決定的に

最近、2023年末の時点で、自民党員が前年比3万人減少したというニュースが報じられましたが、その流れは加速しています。

私が入手した、今年1月23日に行われた「自民党員だけを対象にした極秘調査」によれば、自民党員の「支持政党」を尋ねる質問に自民支持と答えたのはわずか67.5%。立憲支持が何と4.8%もいました。しかも、維新の4.2%を上回っています。次の衆議院選挙で必ず自民候補に投票すると答えた党員もわずか54.2%。22.5%は「多分投票しない」と答え、「迷っている」も21.7%でした。党員でさえこれですから、より緩やかな自民支持層では、自民離れの傾向はさらに強くなっていると考えて良いでしょう。

 それは何を意味するのか?

次の衆議院戦では、仮に野党が何もしなくても、自民の票が激減し、野党の票に上積みされ、二重の意味で与野党の差が縮まる効果が生じるということです。

維新の勢いが止まった今、維新との選挙協力がなくても、リベラル勢力が結集すれば、自民と維新に競り勝つ選挙区が数多く出てくるはずです。

 

そうした結果に繋げるためには、今回の政治改革の議論で、絶対に妥協してはいけません。

正論を貫き、中途半端な法律成立を阻止すれば、政治資金改革を解散総選挙の主たる争点として残すことが可能になります。

自民と維新の改革は「似非改革」だと強く主張し、「真の改革」を実現しようと国民に訴えれば、必ずや国民はリベラル野党の声に耳を傾けるのではないでしょうか。

政権交代が夢だった時代は終わった

これまで政権交代は夢のまた夢などと諦めていた国民にとって、今最も必要なことは、前述のとおり、政権交代の可能性がこれまでになく高まっていることを明確に認識することです。

一方、野党第一党の立憲民主党に求められることは、

第1に、自らの能力、とりわけ若手と女性の能力に自信を持つこと。

第2に、「批判だけ」という批判を恐れぬ勇気を持ち、政治改革について安易な妥協をしないこと。

そして、第3に、何よりも大事なのは、国民を最後まで信じること、です。

強い気持ちでこれを貫徹すれば、国民は必ずや、後押ししてくれます。

そして、その先には、夢だと思って諦めかけていた「政権交代」が待っているのです。

 

2024.3 古賀茂明(古賀茂明政策ラボ代表)