ひろば

市民連合/立憲野党インタビュー
自民党政治に代わるオルタナティブ(選択肢)を!
(2024.3)
①立憲民主党代表代行 辻元清美さん

岸田内閣と自民党の支持率はともに史上最低レベル。「自民党とカネ」の問題なのに「政治とカネ」と、政治全てが腐敗しているかのように言語化されています。今こそ自民党政権に代わるオルタナティブ(選択肢)を示す時です。立憲野党の皆さんの思いを聞くシリーズ。第1回目は、立憲民主党 代表代行 辻元清美さん、聞き手は市民連合運営委員の中野晃一さんです。

中野 裏金問題など自民党の不祥事が次から次に噴出しています。まずはこの事態を受けて、どのように考えていらっしゃるか、おうかがいしたいと思います。

辻元 自民党を中心にした政治の「宿痾」が噴出しているのだと思います。その一つが裏金の問題であり、統一教会のような宗教右派に支配されている実態が明らかになってきたことも、その表れです。いまだに昭和の高度経済成長期の幻想を持ったままの人たちが権力の中心にいて、かなりの数の世襲議員が国会を牛耳っています。日本を衰退させた自民党政治を根こそぎかえて、公正公平で合理的な政治を実現しないと、社会的な閉塞感は打ち破れません。世襲が多くなりすぎて新規参入できない政治のあり方が作りあげられている中で、ジェンダー平等もなかなか進まず、選択的夫婦別姓もいまだに実現できない。このことも自民党政治が合理的な政治を阻害している表れだと思います。

中野 そうですね。自民党の金権政治の問題は、昭和の時代のリクルート事件などの頃からありましたが、思うのはあのころはまだ自民党の中にも改革の意思を持った人たちがいて、1990年代半ばの政治改革につながっていったのだと思います。しかし、今はそのような人は見つからない。どうしてこんなにも自民党はダメになってしまったのでしょうか。

辻元 当時はまだ戦争体験を持った議員が自民党の中にもいました。みんなが平和に暮らしご飯が食べられるようにするのが政治の役割だ、と考える保守政治家たち、アジアに侵略行為を行った日本が孤立している中で、周辺諸国との外交をやってきた人たちです。そのような人たちの存在が大きかったのではないかと思います。しかし、今は世襲議員が極端に増えてしまった。世襲議員でももちろん個人として優秀な人はいます、しかしどんな組織でも三分の一以上が縁故や世襲になって、新規参入がしづらくなってしまうと、組織全体が死んでしまいます。それが今の状態です。地盤をそのまま引き継いでいるような議員は、どうしても付き合いの範囲が限定されてきて、例えばシングルマザーの問題など、実感を持って理解することができない。高級レストランで毎日食事をするような生活を送っていると、普通に働いている人の気持ちから乖離してしまう。しかし、これを支えてきたのは有権者であるという側面もあるわけです。

中野 有権者と政治家との関係性の問題ですね。

辻元 そうです。今の自民党の裏金問題にしても、政治資金規正法の改正だけではダメで、国会改革と、選挙制度改革がセットでなければならないと考えています。イギリスでは、行政機構に頼れない野党の議会活動を支援するために野党だけに交付する公的資金援助の仕組みがあります。それは政党政治に緊張感を持たせると共に、時の与党がダメになった時にいつでも政権交代ができる仕組みを作っておくべきだという考え方がベースにあります。しかし、これも国民の理解と支持がなければ実現できません。また、今の小選挙区比例代表並立制の問題もそろそろ総括すべきです。小選挙区では一回多数を取ると固定化しやすく、しかも比例代表との並立制だから、どうしても野党が分立しやすいという問題があります。今の世論調査の野党の支持率を足すと、自民党の支持率と大差ないのです。ですから、野党が細分化される傾向のある今の制度は改革が必要だと思います。あわせてクオーター制度クオータ制の導入です。女性が増えれば政治の質が変わります。少子化問題や子育てや介護など、女性がより多く関わる傾向のある政策が、最大の課題になっていますし、裏金問題に象徴されるような今の政治の文化を変えることにつながるでしょう。あと、被選挙権を引き下げること。世界を見れば30代のリーダーがいっぱいいます。若い人が議員になる道が開かれれば確実に政治の世界は変わっていくでしょう。

中野 本当にそうですね。私も同意見です。

辻元 世襲制限も必要です。そもそも日本でよく聞く「地元の人でなければダメ」みたいな議論は、結果として、停滞と腐敗を生み出します。イギリスではあえて自分の「地元」と違う選挙区から候補者を出すようにしています。チャンスが平等になるような選挙制度を構想すべきです。

中野 民主党政権ができたときは「政治主導」であるとか、民主主義をどうするかという議論が多くありましたが、今はそのような議論がありません。今お話があったような議論から、改めて始めないていかなければいけないと思います。

辻元 あわせて政権を取ることの意義を再確認すべきだと思います。自社さ政権の時、私は社民党にいて政権離脱を経験しましたが、離脱した途端に、国旗国家法が通り、憲法調査会が設置されるということがありました。沖縄特措法もそうです。自分の考えが正しいと思ってやったことでも、結果として、事態を一層悪くすることもある。これが権力というものであり、その恐ろしさです。これを引き受ける覚悟をしておかなければいけません。

中野 そうですね。その上で、政権を取って何をするのか、どう変わるのか、今の政治にかわるオルタナティブ(選択肢)についておうかがいしたいと思います、今、国民は政治全体がダメと思い込まされていて、政治に対する無関心が進んでいます。この事態を打開するためにも、立憲民主党が中心となってオルタナティブを有権者に提示していく必要があるのではないでしょうか。

辻元 立憲民主党のポスターでは「人へ 未来へ まっとうな政治へ」ということをキャッチフレーズにしています。「まっとうな政治」というのは今までお話しした民主主義の再確立、政治改革ですが、「人へ 未来へ」ということが政策の中心になってくと思っています。いまは非常に難しい時代です。東西冷戦は終わっても戦争が絶えない。少子化の問題も小手先の対応では解決できません、トータルに変えていかないとダメだと思います。その中で特に挙げるとすれば労働政策と気候変動の問題などの環境政策、そして平和政策だと思っています。労働政策は非正規の問題や男女賃金格差など、格差を解消すること、スキルアップができる働き方に変えていくことが必要です。これは単に格差を解消するということだけではなく、結果として国際競争力の強化にも繋がるでしょう。それに、気候変動の問題は待ったなしです。人類が生存できない地球環境にならないように全力で取り組むべきです。また、外交・安全保障も重要で、「人間の安全保障」や平和外交の復権を図らねばなりません。この「労働政策」「環境政策」「平和政策」の三つは「人」や「未来」に関わる問題です。私のかつてのリーフに「ピースでエコで、フェアでフェミ、年とってもボチボチやれる、そんな政治がええやんか」というのフレーズがあります。まさにこれがオルタナティブです。

中野 どうやって、そういうオルタナティブの政策を実現していくかが課題ですね。そうすると当面は、やはり今の選挙制度の中で政権交代を模索していく必要があります。私たちも立憲野党各党といろいろ連携を進めてきていて、小選挙区で勝つことと同時に、立憲野党各党の比例の議席を増やしていく重要性も理解しています。今後、どのような政権交代にむけた戦略を描くか、考えていかねばなりません。

 

辻元 そうですね。前提として、その際の政治のあり方に関してですが、コンセンサスを得ながら統治していくというモデルが良いと思っています。トップダウンではなく、参加と共感共感と参画の政治です。コロナ禍の対応でも、例えばニュージーランドのアーダーン首相やドイツのメルケル首相(いずれも当時)などは丁寧にコンセンサスを作り上げてやっていました。そのような政治を実現するためには、やはり市民の参画が不可欠です。NPOや市民が入って共に政策を、コンセンサスを得ながら作っていくことが必要です。同時に地域主権も重要です。意思決定をトップダウンではなく、市民から、地域から、合意を丁寧に作っていく、ということに力点をおくべきです。また、税金の使い道も、防衛費の倍増などはやめるべきです。使い道の一例ですが、私は「病院船」を作るべきだと主張しています。震災の時など、医療や避難所の問題など、「病院船」を作っておけば必ず役に立ちます。それを必要に応じて海外に送るのです。これは災害の多い日本で、軍備を増強するよりも、この方がよほど安全保障になるのではないでしょうか。

中野 そうですね。そのようなイメージを共有できる市民、政党とどのように連携していくかが課題ですね。

辻元 参加と共感共感と参画、というイメージを共有しながら、どのように選挙戦を戦うかですが、まず、選挙区では極力候補者を一本化した方がいいとは思います。しかし、これも地域によって様々事情が異なります。重要なのは、そこで市民の運動があるかどうかということで、そのようなところでは、候補者調整は静かにうまくいくのです。運動があった上での候補者一本化、というのが理想ですが、全国一律には必ずしもいかないでしょう。市民の運動と合意がある選挙区から、丁寧に一つ一つ取り組んでいくしかないと思います。

中野 市民連合も各地の取り組みが軸だと思っています。さらに、日本の二院制や選挙制度の実態からして、政権を担うのは一党だけでは難しい現実があります。連立政権を作らねばならないとして、その枠組みをつくるために、選挙の時には一定の合意をもとに候補者調整などある程度すりあわせておくことが必要で、その上でそれぞれの政策を持って戦うことになるでしょう。そして、選挙結果を受けて、どういう連立合意をつくって政権交代を実現していくのかということについても、立憲民主党がリードしていってほしいと思います。

辻元 連立協議というのは選挙が終わってからが勝負で、選挙を戦う前に済ませることはできません。比例があるからそれぞれの政党は全力で戦わなきゃいけないのです。ドイツなどは選挙が終わってから、時間をかけて連立協議をしていますし。そしてそこではじめて妥協をすることも必要になってきます。私は大きい党も小さい党も経験していますが、双方に謙虚さが不可欠だと思っています。

中野 そうですね。私たち市民連合も今の自民党政権にかわって政権を担いうる政治勢力をつくるために、頑張っていきたいと思います。それではまとめとして、最後に一言お願いします。

辻元 やはり自分がやっていて楽しくないと、人は寄ってこないと思います。明るく楽しく、前向き、ポジティブに。「辻元ポジ美」で行きたいと思います。

中野 それは前からそうだと思いますが(笑)。今日はありがとうございました。

 

(2024年3月13日@参議院議員会館)