#ちょっと待って!「共同親権」
(#ちょっと待って共同親権プロジェクト 清水まり)【2023.7】
皆さんは、法務省の法制審議会で「離婚後の共同親権の導入」に向けて審議が進んでいることをご存知でしょうか。導入となれば、民法改正となり、市民生活に大きな影響があるのですが、あまり報道もなく、議事録の公開も遅く、全貌が見えません。このままでは改正の影響を受ける市民が何も知らされない中で法改正がされてしまう可能性がとても高い。
そこで、私たち「#ちょっと待って共同親権プロジェクト」は、「離婚後の親権」について、慎重な議論を求める広報キャンペーンに取り組むことにしました。
(現在議論されている共同親権について簡単にわかる動画はコチラ
「共同親権」で200万人以上の「生活が変わる」
「離婚後共同親権」になったら元パートナーとの関係、子どもとの関係が大きく変わります。「子どもに関わることは一緒に決めなさい」と法律で一律に定められ、「別れた相手とずっと連絡を取る」ことになるからです。
不仲で関係性を修復できずに、離婚した二人が「子どもの進学や留学や手術やどの部活に入るか」なんていうことまで合意しなければいけない。合意できなかったら家庭裁判所で判断してもらう、という仕組みになります(再婚後養子縁組をしたら、子どもに関わる決定に離婚した相手含めて3人が関わることになる可能性も)。別れた相手との合意なく「子どもと同居する親が、引越しをする」等すれば、ペナルティを課されることも。「(離婚後も同居していない親と交流することが)子どもにとって利益になる」というのが理由とされています。すでに離婚が成立している夫婦や未婚で子どもを産んだ人にも適用が想定されていますから、影響を受ける人は200万人を超えます。
D Vを除外すれば大丈夫?
D Vや虐待がある場合は、離婚後も連絡を取り合うこと自体危険です。
D V等のケースに「共同親権」を適用しないことを前提とした議論がされ、「除外すれば大丈夫」と思う方も多いかもしれませが、実際に問題は起きないのでしょうか?
いいえ、起きます。
殴る蹴るの暴力がなくても、D V相談をしていなくても「パートナーに対等に意見が言えない人」がたくさんいるからです。
内閣府調査では結婚(事実婚含む)したカップルにD Vが発生する割合は3割程度です。夫婦別姓もなく、家事育児分担の男女差も激しく、男女賃金格差も深刻なジェンダーギャップ指数125位のこの国では、周囲の理解も不十分で、D Vを公に訴えることができる方はむしろ少数。「協議離婚」が9割を占めるのは、「ことを荒立てず」「離婚の条件よりもまずは別れる」ことを優先した結果ではないでしょうか。
対等な関係でない場合「声の大きな方の意見に従わざるを得ない=D Vや虐待状態が続く」のが「共同親権」の大きなリスクです。
ところが、審議会ではこのリスクが議論されない。「声を上げられない」側の人権確保の仕組みは「D Vや虐待の対策」だから議論しないというのでは、あまりに楽観的過ぎるのではないでしょうか。
男女平等が進む?
「子育ても男女平等にするために共同親権がいい」という意見もよく聞きますが、それは誤解です。
議論されている「共同親権」は「離婚した二人」が「子育て(子の監護)」を一緒にやりなさいと定める制度ではありません。「子どもに関すること」について合意が必要、言い換えれば「別居親に干渉する権利を認める」という制度です。実際の子育ては一方の親が担い、別居親は「親権=干渉や監督の権利」を行使する。これで男女平等が進むでしょうか?
現状が国際的スタンダード
日本で議論されている「親権」は諸外国の概念と異なっています。審議の中で曖昧にされていますが、世界のスタンダードは「親権」=「親の責任(子の監護に重点を置く)」。
日本は、結婚している間は共同親権、離婚後は単独親権で、現在も「子育て(監護)」は共同でやれる制度ですから、実は「離婚後の共同親権」を導入している各国と殆ど状況は同じです。「共同の監護」なら法改正は必要ありません。
「家族観」のアップデートを
プロジェクトメンバーの中で虐待児だった体験のあるスタッフが「二度と会いたくない親もいるのに」と呟かれました。「親権は親が子どもを支配するための道具なの?」とも。
ぜひ、議事録をご一読ください。
・どんな親でも子どもを愛しているはず
・どんな親でも、親子は交流するのが子どものため
・親たるもの離婚後も子どものために仲良くすべき
こんな現実と乖離した家族観を前提とした議論がされているように感じます。多様性という言葉に「同性パートナー」すら含まれない。「干渉や監督」の権利ばかり議論され、当事者である子どもの権利は置き去りです。審議の現状を知ってください。
この民法改正は「伝統的家族」という枠に、人々を「再度」押し込めることにつながりかねないのです。それが最大の危惧です。
虐待や抑圧のない家族のパートナーシップを作り出すためには「家族観のアップデート」が必要です。ぜひ、私たちのキャンペーンサイトをご覧いただき、「法制審議会のアップデート」を進めるための後押しを、心からお願いします。
- 法制審議会家族法制部会(議事録等はこちら)
https://www.moj.go.jp/shingi1/housei02_003007
【#ちょっと待って共同親権プロジェクトとは】
法制審の拙速な議論に危機感を感じている未婚、既婚、離婚経験者、元子どもの集まり
🔷オンライン署名はこちらから↓↓
https://www.change.org/chottomatte-kyodoshinken
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