市民連合/立憲野党インタビュー
「第211回通常国会終盤を迎えて(2023.5)」
③社会民主党 衆議院議員 新垣クニオさん・参議院議員 大椿ゆうこさん・服部良一幹事長
市民連合、立憲野党インタビューをお送りします。第3回目は、社会民主党、新垣クニオ衆議院議員・大椿ゆうこ参議院議員・服部良一幹事長です。インタビュアーは福山真劫さん(市民連合)です。
【福山】岸田自公政権は憲法を破壊しながら、暴走を続けています。それに対抗しての取り組みがひじょうに重要です。運動の原点と現状について、それぞれお話いただけますか。まずは新垣さんからお願いします。
【新垣】衆議院議員としての原点は、前議員の照屋先生から、今の沖縄は非常に厳しい現状にあり、全力で取り組んでいくように言われたことです。
今や「台湾有事は沖縄有事」平気で言う与党国会議員にはびっくりします。沖縄の先島に自衛隊基地が強化され、さらにミサイルが配備されようとしている今、沖縄がまた戦禍になるのではとの不安を県民の多くが抱いています。沖縄では、今も毎日早朝から深夜まで米軍機が飛び回り爆音や騒音を撒き散らしています。さらには、いつ米軍機から部品等の落下物が落ちてくるのかわからない恐怖が付き纏っており、戦々恐々な毎日です。いったい沖縄県民の命や暮らしをどう考えているのか、恐らく何も考えてはいないのではないかと疑いたくなる程です。岸田政権は、憲法も改悪し軍事費を大幅に増大し軍拡に直走り、国を軍事国家に仕立てようとしている気がしてなりません。アメリカの要求ばかりを鵜呑みせず、主権国家としてしっかり国民目線で政治を進めてもらいたいと願うばかりです。沖縄からすると、憲法改正よりも日米地位協定の改定に全力を尽くすべきだと思います。
【福山】安部から政権が代わりました。岸田政権をどう評価しますか。
【新垣】安倍政権からこの国の政治が非常に劣化してきていると思っています。岸田政権になると、少しは良くなるのかと期待していましたが全くの期待外れです。国会議論を聞いていても、野党の質問には的外れな答弁が目立ち、まともな議論がなされておりません。これは野党にも責任があるような気がします。与党か野党かわからない政党もある訳で、これでは追及が弱くなるのは当然かも知れません。与野党の立ち位置をはっきりさせないと、国民皆様には政治がさらに分からなくなり、信頼が得られないと思います。政治に関心が無くなると当然投票率も下がります。やはり今一度政治家が真剣に考える時期だと思います。
【福山】国会終盤の闘いをどう作りますか。
【新垣】昨年の安保3文書が改定され、敵基地攻撃能力が可能になり軍拡が益々広がりつつある中、近隣諸国に要らぬ緊張感を与えています。特に沖縄ではミサイルが配備され、弾薬庫が各地に増設されるなどまさに軍事要塞化が進んでいます。さらに重要土地規制法が適用され、益々厳しい環境下に置かれています。まるで「戦場になったら沖縄県民で頑張って下さい」と言われているかのようです。78年前の悪夢が蘇るようでとても安閑としては居られません。
社民党の衆議院議員は今のところ私一人ですが、参議院議員のお二人と連携し社民党が掲げる護憲を今こそ声高々に発して、この国が間違った方向に行かぬよう国会でも頑張って行きたいと思います。
【福山】続いて大椿さんお願いします。
【大椿】原点は、非正規労働者として働いていた時に雇い止め、解雇を経験したということがあります。このことがなければ、たぶん選挙に出て国会議員になろうということは考えなかったと、思っています。
私は、就職氷河期の時代に社会に出た、ロストジェネレーションの一番最初ぐらいの世代なんですけど、1996年頃から就職氷河期と規制緩和が始まって、非正規労働が拡大して行く過程を20代、30代とすごしてきた世代です。2010年に勤務先の私立大学を上限4年の有期雇用を理由に雇い止め解雇になり、その一年前から労働組合に入って解雇撤回と継続雇用を求め闘いました。4年ぐらい闘って、結局現場に戻ることはできなかった。これが自分が政治に向かっていく、大きなきっかけになったかなと思っています。
【福山】議員になられて1か月ですが、状況はどうでしょうか。
【大椿】与党はもう、人を不幸にする法案しか出してきません。本当に人のために暮らしを良くするとか、どうやって安心して安全に暮らしていけるかということを考えて法案が作られてないと感じています。野党共闘については、足元をどうやってしっかりさせたらいいのか、国会でも大阪でも感じます。そこには連合の立ち位置みたいなことも影響をしているかなと思います。本来野党でまとまって、やっていかなければいけないと思います。国民民主の方とか労働問題ではものすごく共感する質問をされることもありますが、GX法案に賛成する、また入管法にも結果として賛成されるのだろうなと思うと、野党共闘というものが実現できるんだろうかと感じています。維新は勢力がどんどん国会の中でも、大きくなってきているので、しっかりと警戒していかなければいけない。維新と手を組んで、のし上がろうっていうのは、絶対にあり得ない。利用されるだけされて、都合よく捨てられるのが公明党であり、立憲民主党もそうなりかねないと思っています。
【福山】国会の終盤で入管法などありますが、どう取り組みますか。
【大椿】入管法に関しては、「連れ合い」が外国籍なので、当事者でもあります。彼の在留資格取りに行く段階で、入管は外国人を犯罪者予備軍として捉えていると思いました。提出する書類のフォームからそれが見えてくるのです。衆議院でずらりと賛成に立つ人たちの姿を見た時に、身内がいるひとりとしては、もうぞっとしました。この国の排外主義を見せつけられている感じです。参議院は野党の対案を出して、本当にいい連携プレーが出来ています。法務委員会の中でも政府が出してきたものと、それから対案とを議論するという形がとられているのが良かったなと思っています。それに伴って世論も高まってきています。国会議員の中には、SNSで流れているデマ情報を、国会議員という立場を使って撒き散らす人がいます。LGBTQ法案も、世の中の多くの人たち、とりわけ若い人達は差別禁止法を作った方がいいとか、同性婚の法制化をしようと世論が変わってきているにもかかわらず、一番ついていけていないのが自民党です。彼らの都合の良いものに骨抜きにされていると思っています。私たちはこれまでも、これからも、共生を進める取り組みを行っていきます。そして格差の問題。少子化の原因は、自公政権の政策で、非正規労働者をここまで増やしたこと、30年間賃金が上がらなかったことです。岸田首相は「少子化の原因は」と聞かれても、「非正規拡大」とは絶対に口にしない。徹底的に労働者の権利を奪った結果が今なんです。私は労働者の権利を前進させるために取り組みます。
【福山】服部さん、衆議院選挙についていろいろマスコミでも報道されています。社民党の政策と決意をお願いします。
【服部】野党共闘の枠組みを維持していきたいと思います。野党は議員を増やして行くためにも、野党共闘で努力して行くことだと思います。
社民党は今、は憲法理念に基づいた非武装、あるいは非同盟、日米安保基軸じゃなくて、やはり日米は平和条約に転換して行こうという理念のもとに、そこを徹底的に訴えて選挙戦をやっていきたいと改めて思っています。課題は世代交代と社民党の新しいイメージをどう打ち出していけるのか、世の中の政治おかしいという、そういう不安とか怒りを、社民党を応援しようとなってもらえるような選挙戦略がやっぱり必要なんじゃないかなと自問自答しています。
【福山】次の衆議院選挙は野党共闘でないと勝てません。それを作り上げる上で、社民党の役割はものすごく大きいです。憲法勝手に変えさせない。ということで1/3は絶対立憲野党で確保しなければなりません。市民連合も軍事大国化への流れは絶対許さない。同時にひとりひとりが大事にされる政権を作ると、いうあたりを中心にした野党共闘を目指そうという議論をしているところです。社民党の奮闘を期待します。本日はありがとうございました。
【新垣クニオ 衆議院議員プロフィール】
1956年沖縄県旧北谷村生まれ。日本大学法学部新聞学科卒業後、1985年〜2004年、北中城村役場職員を経て、2004年〜2020年、北中城村長。2021年衆議院選挙沖縄2区から立候補し、初当選。憲法審査会、安全保障委員会。沖縄北方特別委員会。趣味は空手(上地流教士七段)。2019年より、沖縄伝統空手道振興会理事長。
【大椿ゆうこ 参議院議員プロフィール】
1973年岡山県高梁市生まれ。四国学院大学社会学部社会福祉学科卒。2006年関西学院大学に障がい学生支援コーディネーターとして就職するも、上限4年の有期雇用を理由に雇い止め解雇に。2016年、大阪教育合同労働組合執行委員長。2019年参議院選挙全国比例代表として立候補するも落選。2021年衆院選落選、2022年参院選落選を経て、2023年参議院議員へ繰り上げ当選を果たす。 農林水産委員会。好きな言葉は「不当解雇撤回!」
【服部良一幹事長プロフィール】
1950年福岡県八女市に生まれ。京都大学法学部中退後大阪市西成区に移住し地域運動に関わる。大阪市内の機械メーカーに就職。労組委員長を16期17年務め、2回の会社倒産から2回の再建を勝ち取る。神戸淡路大震災被災地のつどい実行委員長他、沖縄の基地問題・東アジア平和と人権国際シンポジウムなど様々な市民運動の役員を務める。2007年参院選大阪選挙区に立候補・惜敗。2009年衆院選近畿比例区で当選(1期3年3ケ月)。2012年・14年・17年衆院選で惜敗。2020年12月社民党幹事長就任、選対委員長、政策審議会長など。座右の銘は「ピンチをチャンスに」、「現場主義」。