ひろば

入管法改定案を再び廃案に!(2023.4)

本年3月、出入国管理及び難民認定法の改定案(以下、「入管法改定案」)が閣議決定され、国会に提出されました。この法案は、名古屋入管で死亡したスリランカ女性のウシュマ・サンダマリさんへの非人道的な扱いなどが批判され、「入管法改悪反対」の大きな声があがり、廃案となった2021年の法案とほぼ同じ内容のものです。廃案を求めて集結した市民の声、ウィシュマさんの死因解明とその責任、新たに発生した入管収容施設での死亡事件、国連からの勧告など一切を無視して政府が提出した2023年の入管法改定案。これに対し移住連では、4月11日現在、さまざまな団体と連携し、法案を再び廃案にするための「入管法改悪反対」署名や街頭アクション、国会前アクションなどを展開しています。

私たちは法案の以下の問題点を指摘して、改悪をやめるよう呼びかけています

緊急院内集会(3月15日@参議院議員会館講堂)

難民鎖国のままの申請者の送還や処罰はやめ、難民認定制度の改善と非正規滞在の外国人の正規化を

日本の難民認定制度は、国際基準からはほど遠く、長年1%未満でした。たとえば、諸外国平均で申請者のうちの40〜50%が認定されているクルド人も日本では過去にたった一人しか認定していません。日本では庇護を求めても99%の人は認定されないため、繰り返し難民申請をせざるを得ないのです。ところが今回の法案では、3回目の難民申請者は送還を可能とする制度を設けており、これは難民条約の原則であるノン・ルフルマン原則に反するとの懸念が、国際社会からも伝えられています。さらに、国外退去命令を出されても帰国しない「送還を忌避者」に対して、新たに刑事罰を科すとしています。しかし帰国しない人々は、理由もなく帰国を拒否しているということではなく、どうしても帰国ができない事情があるのです。具体的には、迫害を受けて難民認定中であったり、日本に配偶者や子どもがいたり、日本生まれ日本育ちで在留資格がない親のもとに生まれた子どもたちなのです。こうした子どもたちは、勉強に励んで大学や専門学校に進学しても、将来就労が許可される在留資格が与えられる見込みがないどころか、いつ、一度も行ったことのない国籍国に強制送還されてしまうかもしれない、という恐怖と不安におびえています。

また、政府は、今回の法案で新たに設けた「補完的保護制度」により、あたかもウクライナ避難民が救済されるかのように説明していますが、今の難民認定制度上の厳しい認定基準が変わらなければ、補完的保護制度によって救済される枠が広がるわけではありません。

必要とされているのは、難民の送還停止効の一部例外措置や非正規滞在の外国人の処罰ではなく、国際基準にのっとった難民認定制度に転換し、より多くの難民を受け入れること、帰ることのできない事情を抱えた非正規滞在の外国人を正規化する(在留資格を与える)ことではないでしょうか。

監理措置ではなく、収容制度の抜本的な改善を

入管庁は、2021年に名古屋入管で収容中亡くなったウィシュマさんの事件の証拠動画等の開示を拒んで、真相を隠そうとしてきました。2023年4月にウシュマさんのご遺族と弁護団により、亡くなる直前のウシュマさんのビデオ映像のごく一部が公表されました。そのビデオによって明らかになったのは、亡くなる前のウシュマさんが、自力で食べることも眠ることもできず「病院につれていってください、点滴をお願いします」と何度も訴えているにもかかわらず、訴えを聞き入れられず、放置されて、亡くなっていった姿でした。このような事件を真摯に反省して今回の法案を提出するならば、収容制度の抜本的な改善が必要なはずです。

政府は「監理措置」を新設すると説明しますが、これは、国連機関などが繰り返し勧告している、原則収容主義の撤廃とは程遠いものです。

このように、難民認定制度や収容制度の抜本的な改善ではなく、難民申請者や非正規滞在の外国人を日本社会でさらに苦しめ、命を危うくする入管法改悪を私たちは絶対に認めることはできません。

みなさんにもご協力いただいた「入管法改悪反対」署名は、4月11日現在、15万筆を超えました。まだ署名されていない方は、ぜひオンラインでの署名にご協力をお願いします。

入管法改悪反対街頭アクション(3月31日@渋谷ハチ公前広場)

また、13日に衆議院の本会議で法案が審議入りするとの情報ですが、法務委員会での審議が始まると、法務委員会開催日の昼間、議員会館前での国会前シットインを主催移住連で実施していきます。みなさんの声を結集し、再び、法案の廃案を勝ちとっていきましょう。

参考URL

【緊急署名】難民を虐げ、在留資格のない人の命を危うくする入管法改悪に反対します!
https://migrants.jp/news/voice/20230127.html

【抗議声明】人の命を危うくする入管法改悪を、やめさせよう!
https://migrants.jp/news/voice/20230307.html

【意見】2023年入管法案に対する意見
https://migrants.jp/news/voice/20230314.html

山岸素子(NPO法人 移住者と連帯する全国ネットワーク事務局長)