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2023年通常国会開会にあたって
   立憲野党に要請を行いました 【2023.2】

2023年2月7日、市民連合は、立憲民主党、日本共産党に、2月8日、れいわ新選組に、2月9日、社会民主党と沖縄の風に「2023年通常国会開会にあたっての市民連合要請書」を手交し、要請を行いました (要請書については下記添付をご参照ください)。

1.立憲民主党

2月7日14時30分から立憲民主党本部で行われました。立憲民主党からは岡田克也幹事長、大串博志選挙対策委員長、市民連合からは運営委員の中野晃一、高田健、菱山南帆子、小田川義和、鈴木国夫、山下千尋、事務局から福山真劫、竹内広人、菊地敬嗣が参加しました。

要請書を手交したのち、中野運営委員から「安全保障の問題や原発政策など、国会での議論もないままに『大転換』が図られようとしている。国民は新聞で突然知らされるといった事態だ。このこと自体の問題も大きいが、そもそも平時からこんなことをやっている政府が、立憲主義を機能させて、緊急事態に対応できるとは思えない。この歴史的な大きな転換に、立憲民主党として、向かうべき方向について旗幟鮮明にして臨んでほしい。本来であれば、地球環境の問題や、生活の問題こそ議論されるべきだが、まずは『大転換』の危険性を訴え、阻止していくことが必要だ。脇道に逸れず、大きな議論をしてほしい。」と要請しました。

岡田幹事長からは、「さまざまな課題がある。現在衆議院では子ども政策の話をはじめとして、論戦を闘わせているところだ。要請通り、防衛費43兆円に関すること、原発に関することをもっと時間をとって議論していきたいと思っている。とはいえ予算委員会は時間も限られている。いずれも今後、関連する法案が出てくるので、その法案審議もあわせて、きちんと政府を質していきたい。」と述べました。

続いて各運営委員から、森友問題など自民党の諸問題の追及の継続や、秘書官の発言で明らかになった同性婚に否定的な自民党の体質の追及、ジェンダー平等の実現、敵基地攻撃能力の保有をさせないための野党の連携強化や、国会議員の会期延長のための憲法改正に反対すること、また、日本維新の会との院内共闘で憲法改正が進むことのないようにすること、総がかり行動などの集会に立憲民主党の役員にも出席してもらいたいことなどについて、要請がされました。

岡田幹事長からは「防衛政策に関しては、昨年12月にまとめた党の見解をもとに国会質問を進めている。与党の見解とは大きな距離があるものだ。しかし、安全保障関連の話はなかなかメディアも取り上げない。どうやって国民に広く関心を持ってもらうか、国会内だけでなく、世論づくりをする必要がある。」との発言があり、大串選対委員長からは日本維新の会との院内共闘について、「国会内で日本維新の会と勉強会をやっているが、その前提は、お互いのスタンス・政策は尊重し合うと言うことだ。」との発言がありました。

最後に中野運営委員が「今国会の対応について、立憲民主党には歴史的役割を果たすという意味で考えてほしい。岸田政権の言っている『大転換』を止めることができるか、結果として加担することになったと言われないよう、我々も頑張るが、立憲民主党にもぜひ頑張ってほしい。」と締めくくり、今後、自治体議員選挙に係る連携や、14項目にわたる政策については、さらに個別に協議を継続することを確認して、要請を終了しました。

 

2.日本共産党

2月9日15時半から参議院議員会館で行われました。日本共産党からは志位和夫委員長、小池晃書記局長、田村智子政策委員長、穀田恵二国会対策委員長、井上哲士参議院国会対策委員長、吉良よし子参議院議員が、市民連合からは運営委員の中野晃一、高田健、土井登美江、小田川義和、鈴木国夫、山下千尋、事務局から福山真劫、竹内広人、菊地敬嗣が参加しました。

要請書を手交したのち、中野運営委員から「岸田政権は防衛政策や原発政策で『歴史的大転換』を図ると言っている。立憲野党には是非連携を強化して、この流れを止めるようにしてほしい。本来であれば歴史的な国会となるはずだが、世論の盛り上がりはまだまだ不十分だ。今後は、お互い知恵を出し合って、日程感も含めて、連携を図ることが必要になってくるのではないか。」と要請しました。

志位和夫委員長は「市民連合の皆さんには、市民と野党の共闘の発展のために、一貫して尽力いただいていることに感謝する。岸田政権は軍拡路線を進め、専守防衛すらもかなぐり捨て、安保法制を名実ともに実行可能なものにしようとしている。なんとしても、この流れを止めていきたい。2015年の安保法制の時のような大きな運動を、国会内外で作っていきたい。このために『岸田政権の大軍拡を許さない』という一点で、協力できる政党、市民運動との幅広い連携を作っていきたい。」と述べました。

続いて各運営委員から、平和教育の問題や、選択的夫婦別姓制度や同性婚の法制化などのジェンダー平等の取り組み、大軍拡に反対する野党の連携強化や、憲法改正に反対すること、また、総がかり行動の強化に向けての連携強化などについて要請がされました。

小池書記局長からは「衆議院憲法審査会の『国会議員任期延長』のための改憲議論には、危惧を覚えている。日本維新の会とはこの点も含め決定的に政策の違いがある。野党の連携と同時に運動の盛り上がりが必要だ。また、ジェンダー平等は今後の日本の未来にとって、決定的に重要だ。同性婚法制化の問題など今国会の中で焦点化していきたい。」との発言、田村政策委員長からは「自治体選挙に向けて『大軍拡ストップ』を最初にもってきた政策パンフを作っている。大軍拡の問題は国の問題だけではなく、地域の問題でもある。」との発言、穀田国会対策委員長からは「自民党はすでに90年代から敵基地攻撃能力の行使に関して検討してきている。メディアが問題点を『黙殺』する中で、我々は大軍拡のストップに向けて確信を持って進まねばならない。」との発言、井上哲士参議院国会対策委員長からは「抑止力の議論は危機を拡大するだけだ。戦争を起こさないことが政治の責任だ。我々も国会で頑張っていく。」との発言、吉良よし子参議院議員からは「軍拡のための43兆円があれば学校給食を100年間無料にできる。大切なのは人々のくらしを守っていくことであり、軍拡ではない。」との発言がそれぞれありました。また、志位委員長からは「自民党は2015年の安保法制の時は、『解釈改憲』をやったことを明らかにしていたが、今回は、中身が憲法に違反しているにもかかわらず、『何も変わらない』と言っている。このような欺瞞を許してはならない。大軍拡に反対し、暮らしを守るための大闘争を作っていこう。」との発言がありました。

最後に中野運営委員が「重要な論点がいくつも出てきている。岸田政権の狡猾なやり方で、本当に気持ちの悪い形での構造変化が進んでいる。この流れを止めるために、お互いさらに、今まで声が届いていない人たちも含めて、訴えを広げていこう。」と締めくくり、要請を終了しました。

3.れいわ新選組

2月8日15時から衆議院第二議員会館で行われました。れいわ新選組からは櫛渕万里共同代表が、市民連合からは運営委員の中野晃一、高田健、鈴木国夫、事務局から福山真劫、竹内広人、菊地敬嗣が参加しました。

冒頭、中野運営委員から「通常国会が始まったが、今のところ『歴史的大転換』と言われている割には、歴史的国会になっていない。軍拡の議論や原発政策の変更など、要請させていただいた14の項目について、政府与党の思う通りにさせないために、野党間の連携とあわせて、市民との連携も強化して、取り組みを進めてほしい。」と要請しました。

櫛渕共同代表からは「2015年の安保法制の時からの大きな課題がさらに深刻となり、いよいよ実戦まで想定されるような事態となった。国民よりアメリカと先に約束をした岸田政権のやり方に危機感を感じている。対抗するためには、軍拡や憲法改正に反対することはもちろんだが、非核化に向けたオルタナティブな政策なども提起していく必要があるのではないか。また、GX実行会議は原発新増設や運転期間延長などを打ち出しており、とんでもないことだ。公聴会で新潟に行く予定もあるので、しっかりと脱原発に向けて意見を述べてきたい。社会全体の翼賛化が進む中で、政治の暴走を食い止めていく必要がある。国民と結束を強めて、歴史を後戻りさせないように頑張っていきたい。」との発言がありました。

続いて各運営委員から、総がかり行動などの集会への継続的な参加要請や連携の強化、野党共闘へのより一層の参画、ジェンダー平等や同性婚の法制化などについて要請がされました。

櫛渕共同代表は「政策要望については受け止めさせていただいて、党内で共有していきたい。いま与党側は『異次元の少子化対策』を議論の中心にしており、防衛政策に関する質疑の時間があまり取れていない。少子化対策の内容は当然のもので、急ぐ必要はない。防衛増税など議論すべきことが後回しにされている状態は人を欺く手法だ。れいわ新撰組は消費税減税を中心課題に掲げており、今後もそのスタンスで取り組んでいく。野党共闘に関しては、この間の選挙についての一定の総括が必要だと思っている。持ち帰って党内でも議論したい。LGBTの課題については、『理解増進』ではなく、『差別解消』をすべきで、それに向けた法制化について努力していきたい。」と述べました。

最後に中野運営委員から「心配なのは、国会や憲法を全く無視して『歴史的大転換』なるものが進められていることだ。後世の人が歴史を振り返って『なぜあの時止められなかったのか』と思われることのないよう、お互い連携しながら、国会の内外での取り組みを進めていこう。」と締めくくり、要請を終了しました。

4.沖縄の風

2月9日13時30分から参議院議員会館で行われました。沖縄の風からは伊波洋一参議院議員、高良鉄美参議院議員が、市民連合からは中野晃一、佐々木寛、高田健、事務局から福山真劫、竹内広人、菊地敬嗣が参加しました。

冒頭、中野運営委員から「閣議決定で大軍拡の方針が決定され、『歴史的な大転換』が進もうとしている。危険な状況だが、世論もなかなか盛り上がらない。要請項目にも沖縄辺野古新基地の問題や、南西諸島へのミサイル配備の問題を入れているが、大軍拡の問題は、特に沖縄においてあらわになっている。その意味で沖縄からの発信は重要だと思う。今後も連携を深めてこの大軍拡への流れを変えていきたい。」と要請しました。

伊波洋一参議院議員は「安全保障三文書の改訂と、岸田首相の所信表明演説は、周辺諸国に警戒を呼び起こさせるものだ。過去アジアを戦争に巻き込んだ日本が、今から10年後には、世界で3位の軍事大国になることを宣言し、しかもミサイルも配備するという。本当に危険なことだ。玉城知事が言っていたが、この改定された安全保障三文書の中には数多く沖縄が散りばめられており、しかも『できるだけ被害を最小にする』と言うことが書いてある。許し難いことだ。沖縄、そして本土にも状況を伝え、広がりを作っていきたい。」と述べました。

さらに、高良鉄美参議院議員からは「日本にミサイルを配備すると言うことについて、外から見てどう思われるか、と言うことが議論されていないのではないか。過去の日本の歴史を振り返れば、反省のない国だと、受け止められるのではないか。このところをちゃんと分析しなければならない。」との発言がありました。

続いて各運営委員から、横田基地の状況や、沖縄のたたかいとの連携の問題などについて、報告と要請がされました。

佐々木運営委員は「沖縄の声はやはりリアルであり、問題性がはっきりと伝わってくる。その上で、色々な運動、たとえばLGBTQの運動や、脱原発の運動などに取り組んでいる人たちとも、共有できるものを作っていかなければならないと思っている。要請の14項目は全て繋がっており、運動の側もつながることを意識してやっていかなければならない。」と発言し、伊波洋一参議院議員はこれを受けて「さまざまな運動をしている人たちがアジェンダを共有していく関係を作っていかなければならない。また、そもそも今回の防衛三文書の改訂はアメリカの覇権を日本が協力して維持するためのもので、そのために、中国との関係を切れということだ。すでに日本の貿易高の26.5%は中国とのものなのに、日本にとって何もいいことはないことを認識すべきだ。」また高良鉄美参議院議員は、「差別の問題も複合的な問題だ。要請にあるジェンダー、反軍拡、気候変動の問題など全て繋がっている。問題意識のある若い人たちにも呼びかけ、運動の幅を広げる努力が必要ではないか。」と述べました。

最後に今後も引き続き連携しながら諸課題に取り組んでいくことを確認し、要請を終了しました。

5.社会民主党

2月9日16時30分から衆議院第二議員会館で行われました。社会民主党からは福島みずほ党首、服部良一幹事長が、市民連合からは運営委員の中野晃一、佐々木寛、高田健、事務局から福山真劫、竹内広人、菊地敬嗣が参加しました。

要請書を手交したのち、中野運営委員から「社民党とは問題意識は共通していると思う。大軍拡に向けた『歴史的な転換』に対抗して、なんとかして世論を高めて、この流れを止めていきたい。憲法審査会の問題やジェンダー平等の課題など、社民党の活躍に期待する部分は多い。運動の側も頑張るが、国会における奮闘をあらためてお願いしたい。」と要請しました。

福島党首からは「要請された事項については、全面的に賛成だ。今国会では『防衛力確保法案』と『防衛力確保法案』が出る予定になっている。防衛産業の実質国有化を図ろうとするもので、経済全体を軍事中心にシフトさせようとしている。日本学術会議の問題も同様の危険性を孕んでいる。その果てには、いずれ国債と消費税が軍事費の財源とされていくのだろう。なんとかして今ここで止めなければならない。特に沖縄の危機感はすごく、そうした運動と連携しながら、国会でも厳しく岸田政権を追及していきたい。」との発言がありました。

また、服部幹事長からは「これら要請のあった課題をどうやって実現していくかが問題だ。日本の社会体制を軍事化していこうとする中で、憲法9条で守られていた社会全体が一挙に壊れていきかねないと言う危機感を持っている。現場はそれぞれ頑張って運動をしているが、安保法制の時のような盛り上がりまでまだ達していない。社民党としても沖縄をはじめとした地域との連携を強化するとともに、シンポジウムなどの企画を継続し、広くこの問題を訴えていきたい。」との発言がありました。

各運営委員からは、総がかり行動などの運動のより一層の強化の課題や、若者が政治的な発言を普通にできるようになるための企画の紹介、また、経済合理性の問題を軸に経済界とも連携を図るべきだとの意見があり、議論がされました。

最後に、引き続き連携しながら取り組みを進めていくことを確認し、要請を終了しました。

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要請書のダウンロードはこちら

→【Word】2023年通常国会開会にあたっての市民連合要請書

→【PDF】2023年通常国会開会にあたっての市民連合要請書