参議院選挙に際して「市民の会しが」の見解/世話人会・斎藤敏康(市民の会しが代表)【2022.6】
「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民の会しが」(市民の会しが)世話人会は6月22日、参議院選挙に際して「市民の会しが」の見解を発表しましたので、ご紹介します。(市民連合事務局)
【参議院選挙に際して「市民の会しがの見解」】
(1)「市民連合」と「市民の会しが」を含む全国の市民組織は、7月の参議院選挙では1人区を中心に立憲野党共闘を進めて、9条改憲を公約に掲げ、ウクライナ戦争に乗じて軍事費の大幅増額や核抑止を叫ぶ自民・公明あるいは維新に参院の3分の2の議席を許さないたたかいを展開することを呼びかけてきた。
(2)しかし、昨年の衆院選において全国2百以上の小選挙区で野党候補の一本化が実現したことに強い危機感を抱いた自民党などの執拗な分断戦略や、国民民主党の野党共闘の枠組みからの離脱と与党への傾斜、また「目的や基本政策が大きく異なる政党と連携・協力する候補者は推薦しない」とする連合の方針などが影響して、全国的に野党共闘の機運が後退した。その結果、特に1人区で立憲野党候補の1本化が見通せる選挙区は10選挙区余に止まる。しかも私たちが目指す本来の野党共闘や「市民と野党の共闘」は単に候補者が一人に絞られることではなくて、野党共通政策が策定され、選挙協力体制が構築されることを含むものであるが、そのような意味での本格的な野党共闘は全国を見渡してもほとんど存在しない。
(3)滋賀県では2016年から本格的な市民と野党の共闘が始まり、紆余曲折はあったが、政党間のコミュニケーションを密にし、共通政策を練り上げながら、候補者の調整を進める方式で、17年衆院選、19年参院選、21年衆院選と一定の成果を収めてきた。
しかし、今回は国政4党のコミュニケーションが十分に取られたとは言えず、参院選に向けた政策議論もほとんどなされない儘に、複数の候補者とそれぞれの選挙体制が固まっていき、ついには調整不能という結果に陥った。立憲野党の共闘に期待を寄せていた市民・有権者にとっては非常に残念というほかない。
(4)私たち「市民の会しが」も、昨年の12月に滋賀県の立憲野党との間で衆院選の結果について意見交換するところから始め、今年6月上旬まで、情勢や政策について、また市民と野党の共闘についてさまざまな議論と協議を行ってきたが、期待された成果を上げることができなかった。政治変革を目指す市民の運動体として力不足であり、期待を寄せていただいた市民・有権者の皆さんには申し訳ない気持ちで一杯である。
(5)こうした経緯に立って、滋賀県においては野党統一が実現しないまま選挙に突入することが確定した現在、「市民の会しが」として以下の方針で臨みたいと考える。
Ⅰ、今次の参院選に臨む私たちの政策的立場は、5月9日に市民連合が3党2会派に提案した「政策提言案」である。私たちは選挙戦においてこの政策的立場を主張していく。
Ⅱ、立憲野党から立候補している田島一成氏(無所属)と石堂淳士氏(共産党公認)の二人の候補者については、会員の政治的立場、主張、信条に従ってそれぞれが自主的・主体的に好ましい候補を支援することとしたい(自主支援)。比例区における政党への支援や応援についても同様である。立憲野党の確実な前進を期待したい。
(6)滋賀県で野党共闘が実現しなかったことは残念であるが、防衛費の2倍化や9条改憲を策する自公政権を追い詰めるためには立憲野党勢力が競い合って大きく支持を拡大することが不可欠であると考える。
また私たちは、これまで市民と野党の共闘の充実、拡大に努力してきた多くの関係者が、今後における共闘の必要性について決して否定的ではないことに留意したい。軍事力増強の声だけが大きくなって、生活の貧困が顧みられない危機の時代にあって、政治の転換を望む多くの市民にとって、市民と立憲野党の共闘の発展は依然として重要な課題であり、大きな希望である。
私たちは今後、滋賀における市民と野党の共闘に関して、安保法制の廃止を求め、9条を擁護する運動に取り組む市民、沖縄・辺野古基地建設に反対する市民はもとより、脱原発や自然エネルギーへの転換を目指している市民、気候温暖化対策や地域に根差した産業の振興に情熱を傾けている市民など、より広範な市民の創意的な運動と交流しながら、新しいリベラル・デモクラシーのための市民的アプローチを追求していきたいと考える。