ひろば

「政治は生活のすぐそばにある、そして政治は変えられる~中野からの報告」/韮澤進(区民の声・中野:共同代表)【2022.6】

区民の声・中野:共同代表の韮澤です。中野区では市民連合として、7区に「ななれん」、10区にTeNネットがあり、そこで活動していますが、中野区政に関しては「区民の声・中野」という政治団体で取り組んでいます。

韮澤進さん(区民の声・中野:共同代表)

みなさんに、報告します。先日5月22日投票の中野区長選挙において、私たち区民の声・中野が推薦した酒井直人さんが圧勝しました。酒井直人さんは4年前に現職の区長を破って当選し、今回二期目への挑戦でした。 55318票 対 34564票 得票率61.55%の圧勝でした。

そして、皆さんにお伝えしたいことが3つあります。

1つ目は、「トップが変われば、政治は大きく変わる」ということです。「どうせ、投票しても政治は変わらない。誰がやっても同じなんじゃないか。」と思っている方もいらっしゃるかもしれません。ですが、中野区では区長が変わって中野区政~中野区の政治は大きく変わりました。

たとえば

  • 子育て施策が、ぐっと前進しました。
    • 前の区長が進めていた児童館全廃計画と区立保育園全園民営化計画を撤回しました。
    • 子どもの権利条例を制定し、区民も参加した子どもの権利委員会も始まりました。私の知り合いも2人子どもの権利委員になっています。
    • そして、この4月には保育園待機児童ゼロを実現しました。保育の質ガイドラインもできました。
    • 1万人の子どもと子育て家庭の実態調査を行い、子どもの貧困対策を開始しました。就学援助基準も緩和されました。
    • 産前産後ケアカードは、希望者だけだったのが、全員に発行されるようになりました。
  • 誰一人取り残さないまちづくりが進み始めました
    • 地域包括ケアアクションプランが全世代向けに改定され、セーフティネットが柱のひとつに位置付けられました。「社会的孤立をなくし、支援を必要とする人を一人残らず支援につなげる」「孤独で苦しむ人をなくす」ということが重点取り組み事項に掲げられています。
    • 医療的ケアが必要な子どもさんの保育対応が始まりました。
    • 子ども・若者支援センターが開設され、HPには「あらゆる相談をうけつけます」と明記されています。
    • 「生活保護の申請は国民の権利です」というポスターを中野区が作成して掲示し、LINEでも発信しています。
    • 介護現場で医療カルテを共有できるメディケアネットがスタートしました。認知症の方や家族がくつろげるオレンジカフェを中野区公認とし、18カ所に増えました。
    • 犯罪被害者支援条例が制定されました。
  • 多用性を認め合うまちづくりが進み始めました
    • 多用性を尊重するまちづくり条例が制定されました。手話言語条例ができました。
    • 中野区報は10か国語で読めます。
    • 4年前にパートナーシップ宣誓制度ができ、4年間で108組の方々が宣誓しています。宣誓された方へ区は認定証を発行し、これがあるとパートナーが手術・入院時に家族として扱われます。
    • 中学校の女子標準服はスラックスも選べるようになりました。通学時間帯にまちを歩くと、スラックス女子、けっこう見かけます。
  • 対話の区政が始まりました
    • 区長と直接話ができるタウンミーティングを53回開催しました。
    • LGBTQの方々と区長との懇談会、外国籍の方々と区長との懇談会も実施されました。
    • 子ども連れでも参加でき、区長と直接話ができる子育てカフェを児童館で10回開催しました。

このように、トップが変われば、政治は変わっていくのです。

6.14市民連合「新宿駅東南口アピール行動」で発言された韮澤さん

2つ目にお伝えたいことは、「政治は私たちの生活のすぐ近くにある」ということです。

中野区では、先ほど紹介した「子育てカフェ」で出された意見をひとつひとつ実現していっています。

「児童館のおもちゃが古いんですけど」→児童館のおもちゃ購入予算の増額、

「学校図書館の本も古いんですが」→学校図書購入費の増額、

「公園に吸い殻が落ちていて、子どもが心配」→6公園の分煙化・171公園の禁煙化、

「維持児預かり保育を使いやすくしてほしい」→児童館での一時預かり保育の開始、

「日曜にも児童館で遊びたい」→日曜に乳幼児親子が児童館で遊べるふらっとサンデーの開始、

「自由に外遊びができるプレーパークを増やしてほしい」→プレーパーク支援事業の開始、

「中高生の居場所も欲しい」→中高生の居場所設置の計画化、などです。

こういう、「小さな声をひとつひとつ身軽に実現していく政治」これこそ、私たちが求めている政治のひとつの姿ではないでしょうか?けっして、政治は難しいものでも、堅苦しいものでも、どこか遠い世界の話でもないのです。これは国政~国の政治でも同じです。中野区の自主財源は一般家計ではざっくり半分しかありません。残りの半分は国は都からの財政出動です。国政が変われば身近な政治も変わるのです。

3つ目にお伝えしたいことは、「選挙は投票して終わりではない」ということです。

中野区では、区長が変わったあと、公約をどのように実現していくか?区長と話し合いをもってきました。

また必要に応じて直接声を届けたり、政策提言もしてきました。そして、今回の選挙前には4年前の公約がどれくらい実現できたか?ひとつひとつホームページで調べて「区長のつうしんぼ」をつくりました。公約達成率は81.3%でした。この「区長のつうしんぼ」は街頭や各ご家庭に配布しました。

区議会のウォッチングもして、区議会レポートを発信しました。この過程のなかで、どの政党が区民の支持を受けた区長の公約実現を真剣にサポートしたのか?中野区議会では、立憲民主党、日本共産党、中野・生活者ネットーワークの議員さんたちが真摯にサポートされていました。また、どの政党が公約実現を妨害してきたのか?裏で区の職員を脅したり、予算を人質にして区の計画をこっそり諦めさせたりしたのか?自由と民主主義を標榜する政党だったり、公に明るい政党だったり、…そういうことがわかってきました。区民には見えない裏での妨害がわかってきたので、公約の実現にむけて無所属の区議さんたちにお話しをしたり、区の職員さんを励ましたり、色々なサポートをしていきました。

トップが変わったときに、えげつない妨害や圧力やしがらみに押しつぶされずに政治を変えていくためには、私たち市民とつながって、ともに歩んでいくことが必要なのです。

選挙は、投票したら終わりではないのです。

まとめると、政治は私たちの生活のすぐ近くにある。トップが変われば、実際に政治は変わっていく。そして、選挙が終わってもしっかり見守って意見を言い、サポートしていくこと。

そうすれば、政治は確実に変わります。自治体の政治でも、国の政治でも、一歩一歩前へ進んでいきましょう。以上、区長選挙で勝利した中野からのメッセージでした。

【韮澤 進さん】

「区民の声・中野」共同代表、「都政を変えよう!中野の会」事務局長、「選挙で変える!東京7区市民連合(ななれん)」事務局長、「市民と野党をつなぐ会@東京」事務局長。