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市民連合「参議院選挙勝利に向けた5.9シンポジウム」を開催/「政策要望書」に賛同、政策合意、「参院選一人区」の一本化へ

5月9日、市民連合は「立憲主義の理念を共有する野党の勝利で、いのちと暮らしを守る政治の実現を」を掲げ、衆議院第2議員会館で「参議院選挙勝利に向けた市民連合シンポジウム」を開催しました。

シンポジウムは法政大学の山口二郎教授(市民連合運営委員)をコーディネーターに、立憲民主党・西村ちなみ幹事長、日本共産党・小池晃書記局長、社会民主党・福島みずほ党首、沖縄の風・伊波洋一代表、碧水会・嘉田由紀子代表、社会活動家の雨宮処凛さんがシンポジストとして参加しました。

シンポジウムでは、山口教授から市民連合の「政策要望書」についての以下の説明から始まり、参院選にむけた課題、市民連合の「政策要望書」について討議されました

山口教授からのまとめで「野党の皆さんのご発言を伺い、市民連合の『要望書』については基本的に賛同頂けたと理解させて頂きます。そして今日の議論で形成された政策合意を踏まえて、1人区の野党の一本化の構築を、なるべく速やかにすすめて頂きたいと、改めて野党の皆さんにお願いしたい」との提起を、全体で確認してシンポジウムを終了しました。

【山口教授】

法政大学・山口二郎教授(市民連合運営委員)

ウクライナの戦争という今まで経験がしたことのない政治的な環境の中で参院選を闘う、という難しい状況もあり、ともかく最低限一致できる4項目に絞って限定した形の合意書を作りました。1番目の『平和国家路線の堅持と発展』は、戦争に便乗して憲法9条を改正しようという議論が高まっていることに対して、やはり今こそ野党と市民が踏ん張って、憲法の基本的な理念を守っていこうという認識の表れです。

第1項目に『安保法制の廃止』が明記されていないことの疑問がだされていますが、戦争という状況に対応して課題は大きく変化していますので、その課題に対して的確に応えていく、憲法の理念を実現していくために重点化したという意味ですので、私たちが腰を低くしたという事ではありませんのでご確認頂きたいと思います。

2番目の『暮らしと命を守るための政策の拡充』は新型コロナウイルスがもたらした様々な経済的、社会的打撃、さらには、過去20年あまりの新自由主義的な構造改革路線がもたらした日本社会、経済のひずみに対して人間本位の社会政策を展開していくということです。

3番目は『気候変動対策の強化とエネルギー転換の推進』ですが、気候変動は人類にとって深刻な脅威にありますので、今我々が長期的に動かないことは後世に対して責任を果たすことができない、という認識を明らかにしています。

4番目は『平等と人権保障の徹底』です。この点は自民党政権との明確な対決構造を生み出すことができるテーマです。

【西村幹事長】

立憲民主党・西村ちなみ幹事長

市民連合の皆さんにはこの様な形でシンポジウム開催して頂き、ありがとうございます。何としても私たちは、この参院選を通して政治の流れを変えていかなければならないと決意しています。参院選挙においては「野党の改選過半数」を何としても獲得しなければならない。そのたたかいの中で、国民が生活の中で何を感じ、政治に何を求めているのか、きちんと岸田政権に対峙する、緊張感をもった国会における構図を作っていかなければならないと思っています。岸田政権は安倍、菅政権から続いて、国民の本当の知らないことをごまかそうとしています。典型的には、森友学園の赤木さんの裁判で「認諾」という方法で、国民の税金を使って真実に蓋をしてしまったことです。

憲法、平和の問題にしても、ウクライナの危機に乗ずる形でいろいろなことがだされています。それもあまりにも国民に対する説明責任がされてなく、このまま参院選が終わると、本当に怖い状況になってしますのではないかと、本当に心配です。

参院選では与党が候補者調整をしっかりしていますから、野党がバラバラに闘っていては一対一の構図にすら持ち込めないです。与党と一対一で競り合う選挙区を最大限に増やしていくことを目標にして取り組んでいきたいと考えています。

【小池書記局長】

日本共産党・小池晃書記局長

市民連合の皆さんが、こうした場を作って頂いてことに感謝いたします。日本の政治を変えていくのは市民と野党の共闘しかありません。様々な困難がありますが、それを乗り越えて前に進めるために努力していきたいと思っています。原点は2015年の安保法、戦争法の強行だったと思います。集団的自衛権の行使は許されないという従来の憲法解釈を閣議決定で日本を戦争ができる国に作り変えてしまった。これを何としても元に戻さなければならないと取り組んできました。

ロシアのウクライナ侵略は国連憲章に基づく平和秩序の回復という一点で、やはり世界は力を合わせていかなければならないと思います。同時に国内の政治では危機に乗じて9条を変える、核共有が自民党、維新から出されているのは重大な問題です。

暮らしの問題では、物価の高騰の問題が深刻になっています。特に生活必需品の値上がりが激しく、低所得層ほど生活の危機が深刻になっています。この原因は新型コロナウイルス、ウクライナ問題もありますが、やはりアベノミクスによる異次元の金融緩和、異常な円安が拍車をかけている、まさに自公政権の失政の結果であると言わなければならないと思います。新自由主義からの転換をしっかり取り組んでいかなければなりません。

参院選の一人区、党としては最大限一本化して闘うということで臨んでいきたいと思います。そのための努力を最後まで追求していきたいと思います。

【福島党首】

社会民主党・福島みずほ党首

この様な会をもっていただき、また共通の政策要望を提起頂いた市民連合の皆さんに感謝致します。社民党も32の一人区でなんとしても野党一本化していくために社民党も全力で応援していきます。重要なのは市民との連携です。沢山の皆さんと政治を変えるうねりをつくっていきたいと思います。

自民党は5年間で10兆円の防衛予算をだすようにという要望書を政府にだしましたが、とんでもありません。10兆円では医療費、教育予算、社会保障が圧迫されることは明らかです。

辺野古の新基地建設、社民党は「断念」ですが、「中止」でも野党共闘では止めるという意味なので社民党はこの要望書を尊重してやりたい。南西諸島の自衛隊、ミサイル配備に社民党は反対です。

2番目の新自由主義を変える中身のところでは賛成です。政府与党にいのちを守ろうという気持ちはありません。この転換こそ野党でやっていきたいです。気候変動、平等と人権保障のところも、自民党政権で本当の意味で人権保障はできません。

【伊波代表】

沖縄の風・伊波洋一代表

私たちは沖縄の立場で様々な課題に取り組んでいます。参院選に向けた政策課題で市民連合がこの様な場を設けて頂いたことに感謝しています。沖縄では「オール沖縄」という形で、すでに政党、労働組合、様々な団体と政策協定を結び、市民と野党の共闘で動きだしています。

沖縄返還50年、沖縄振興法の振興計画が行われていますが、今なお沖縄の県民所得は全国最下位で、子どもたちの貧困は全国平均の2倍になっているなど様々な課題があります。0.6%の国土に対して米軍専用面積の70%以上が沖縄に集中しています。陸地だけでなく海洋、空を含めて広大な米軍エリアが自由に使える問題があり、さらに辺野古新基地建設問題が続いています。

私たちの政府は、沖縄の問題を解決しないでやってきていることを皆さんにご理解いただきたいと思います。また沖縄を中心に日本を最前線基地にする訓練が毎日のようにすすめられています。

いま、憲法9条の明文改憲が行われようとしていますが、解釈改憲は行われています。この解釈改憲によって、台湾有事という米中の代理戦争で沖縄、日本国土を利用した戦争ができるようになってきています。沖縄は「二度と戦場にはさせない」という立場で参院選に臨んでいきます。

【嘉田代表】

碧水会・嘉田由紀子代表

この様な場をありがとうございます。2人の会派、碧水会の永江さんも私も野党統一候補として当選させて頂きました。日本全体がそうなのですが、「水の共同体」の中でイデオロギー闘争よりもどうやって暮らしを守るのか、水を暮らしの中でどう活用するかというのが滋賀の風土の原点だと思っています。資本が危機に乗じて大きな力を発揮していくということを、「人新生の資本論」で斎藤耕平さんは「惨事便乗型資本主義」といっておられますが、日本語でありていには「火事場泥棒」。本当に苦しんでいるところで、儲ける人たち、あるいは有利に立つ人たちが、隠れて皆を救うように見せかけて実は大変な危機を増発することになってしまいます。防衛の状況、防衛費の2倍などありえませんね。

暮らしでは、円安をあえてここまで引っ張りながら、結局輸出を有利にして輸入をとなると、今一番しんどい食糧とかの物価高で悲鳴をあげています。これも生活必需品、エネルギーをここまでグローバルなところに預けてきた新自由主義体制、資本主義体制の問題だろうと思います。

3番目の気候変動の問題です。50年前の「成長の限界」の警鐘の通りに、人類は歯止めをかけられずにすすんでいます。ここでも、本来の環境対策はどうあるべきか、大規模ダムに頼らない、国土のグリーン化などをすすめていきます。

4つの課題を頂きましたので、参院選では与党に3分の2以上を取らせていけないと思います。まずは一人区から野党共闘、実力を発揮できますように、頑張らせて頂きます。

【雨宮処凛さん】

雨宮処凛さん(社会活動家)

2020年3月に「反貧困ネットワーク」の呼びかけで「新型コロナ災害緊急アクション」を結成しました。2年間で約2,000件のSOSを受けています。

今、SOSをくれる人の6割は10代から30代です。若年化していること、そして2割位が女性で増えています。コロナ禍の2020~2021の相談に344人来て、女性は62人、18%。この年末年始は418人来て、女性は81人、21%という形で女性の貧困が目立っています。

私は貧困問題にかかわってきて「失業のみを理由としたホームレス」に出会ったことがなかったですが、非正規で貯金もなく、何とか家賃を払ってきた、ギリギリの生活をしてきた人が、コロナ禍で一機に仕事を失い、追い出されてきているのを目の当たりでみてきました。

おそらく13年前は女性を守る余力が、家族や企業福祉などにあったと思いますが、そんなことはとっくに消え去ったんだと分かりました。電話相談も労働相談は減って、生活相談ばっかりになってきています。その中には臓器を売りたいというタクシー運転手の方、闇金でお金を借りるのをどうしたらいいか、という飲食店の方などからの切実な相談が寄せられています。

3年後、就職氷河期世代、非正規が膨大にうまれた世代が50歳位になります。これは本当に深刻な問題です。この間、政治は何をしてきたのだろう、と本当に焦りを感じます。

【山口教授】

この戦争から日本の教訓は何かと言えば、平気で嘘をつき、人間のいのちを軽んじるような権力者をのさばらせてはいけない、ということです。ここに対決する新しいビジョンを打ち出していかなければならないと思います。2巡目は野党の協力体制をどう構築していくのか、また市民との協力をどの様にすすめていくのか、できる範囲で踏み込んだ話を、時間がなく恐縮ですが、2分以内でお願いします。

【西村幹事長】

2巡目で、頂いた政策要望書の中身をお話しようと思いましたが、限られた時間ですので、やはり国民に平気で嘘をつく政権に好き放題させてはいけないと思います。しかも、ウクライナの危機に乗じて、核兵器共有や敵基地攻撃能力を「反撃能力」と言い換えて説得できるかのように高をくくっているところは、本当に立憲主義を完全に蔑ろにしていると思います。最高権力者である内閣総理大臣が憲法を自ら変えようと、口にすること自体がおかしいと思います。そういうところに改憲をやらせてはいけないと強く思います。

32の一人区が選挙に帰趨を握っています。与党の一本化に、野党もできる限り「一対一の構図」をつくる。それをできるだけ最大化していくことを目的にし、なおかつどれだけ「一対一に構図」で、どれだけ今の政治を変えようとするうねりを皆さんと一緒につくっていけるかが、問われるのだと思います。それぞれの地域事情がありますが、私たちも最大限、そのために全力をあげていきたいと思っています。

【小池書記局長】

前文のところに「市民連合は、立憲主義の回復と安保法制の廃止を求め、立憲主義の理念を共有する野党各党と4回の国政選挙をたたかっています」とあります。私たちはこれが野党共闘の原点だと思っています。その上で、4項目が書かれていますので、全ての項目で私たちは賛同します。

今度の参院選は、いきなり政権選択ではないが、政権の問題につながる結果をだす。改憲勢力3分の2を許さないことが大事で、そのために一人区の共闘態勢を作り上げたいと思っています。共闘していくためには、共通の旗印がとても大事なので、今日の要望書を共通の政策合意と私たちは受け取っています。これを実現するために、他の野党の皆さんと力を合わせていきたいと思います。

共闘の進め方としては、対等平等、相互尊重、この立場はきちんと持っていくことが、本当の意味で力になっていくことを肝に銘じて、臨みたいと思います。なによりも全国の市民連合の皆さんに後押しをしていただいて、この取り組みを前にすすめたいと思います。

【福島党首】

要望書の前文にあります「憲法が指し示す平和主義、立憲主義、民主主義」ということがあり続けられるのか、という選挙だと思っています。防衛予算10兆円、敵基地攻撃能力をいう様なところが平和国家といえるのかといえば、NOです。憲法を尊重しない人たちが、憲法を変えるという凄まじい図々しさと恐怖心です。野党共闘し、やはり市民の皆さんと大きな共闘をつくっていきたい。内向きにまとまるというよりも、皆で共闘して、この4項目を大事にしながら、沢山の人のハートを鷲づかみできるような、市民と野党の共闘を社民党も担っていきたい。

新しい資本主義はアベノミクスの焼き直しでしかない。新自由主義、自己責任でどれだけ人々の生活が壊れたか。今の自民党政治ではダメだということ、いのちを大事にする政治を野党は作るんだという、うねりをつくっていきたいと思います。

【伊波代表】

この要望書に異論はありません。同時に戦争を起こしてはならない、平和外交が大事だということを強調したいと思います。我が国はすでに近隣諸国と平和外交を放棄しています。ですから、再度そのことをやっていく必要がある。沖縄返還50年であり、同時に日中国交回復50年です。そして1978年に日中平和友好条約の中で「お互いに武力を使って物事を解決しない」ことを合意しています。私たちはこのことを胸に留めなければいけないと思います。今の日本の貿易の25%は対中国です。韓国、東南アジアを含めると52%です。もし戦争がおこれば日本経済は破綻します。しかし、日米が合意しているのはこの日本の国土を使って、台湾有事の際に中国を攻撃するということです。

日米安保条約では日本の基地を使って米軍が戦争するには、日本の「同意」が必要ですが、同意した段階で、日本は中国と戦争状態に入ります。沖縄では、また本土各地の米軍基地では連日その訓練が行われています。私たちは沖縄で二度と戦争を行わせないという立場で活動をすすめますが、平和な外交交渉を充実させて、戦争を回避する、そのことを市民連合も意識して頂くことをお願いします。

【嘉田代表】

若い人、一番政治の被害を受けている人が投票に行かない。私自身「政治塾」をつくり、「遠い政治を近くに」、女性や若者がもっと政治に関心をもつ。私たちは、「暮らし言葉」で解説をしながら、一人でも政治に関わって多く投票に行ってもらう。若者、女性の政治参加をすすめていきます。マスコミやネットでの支持率調査などでは、どうしても政権与党の支持率が高くなるけど、「政策を確実に訴えると共感を持ってもらえる」というデータがあります。若者、女性に共感をもってもらえる政策を訴えていきたいと思います。

【雨宮処凛さん】

ウクライナ危機に乗じた核兵器共有や敵基地攻撃能力など一丸となって組織して頂きたいです。貧困問題では安倍政権での生活保護1割カットでは1,000人以上の人が原告となって裁判を起こしています。そして2012年におきた生活保護バッシングです。そして10年後の今、生活できない状態でも「生活保護は嫌だ」というものすごい拒否感があるのです。私は2年間、その説得に苦労してきました。10年前の生活保護バッシングが当事者のいのちを危険にさらしているのです。

いのちを軽んじる政治を一刻もはやく終わらせたいというのが私からの意見です。

【山口教授】

戦後70年維持してきた憲法の枠組み、あるいは民主主義、平和国家の土台が、今回のウクライナ戦争を奇貨として押し流される手前まで来ている、瀬戸際で我々が踏ん張らなければならないというのが、今回の参議院選挙の意義だと思います。

そう意味で、政党の方には危機感を共有して頂いて、とにかく先輩方から受け継いできた日本の民主主義と平和を私たちの代で終わらせていけないという思いで共に頑張っていきたいと思います。

野党の皆さんのご発言を伺い、市民連合の「要望書」については基本的に賛同頂けたと理解させて頂きます。そして今日の議論で形成された政策合意を踏まえて、1人区の野党の一本化の構築を、なるべく速やかにすすめて頂きたいと、改めて野党の皆さんにお願いしたいと思います。

〇市民連合「政策要望書」(2022年5月9日)

2022年参議院選挙における野党に対する市民連合の政策要望書(2022年5月9日)

〇市民連合「5.9シンポジウム」YouTubeアドレス

 https://youtu.be/g9qDkjPAk7M