「大阪維新」に抗して参院選に望むこと
/「市民連合高槻・島本」呼びかけ人・二木洋子 【2022.3】
ローカルパーテイー「大阪維新の会」(以下、大阪維新)は2010年4月に発足した。今から12年前だ。代表・橋下徹、幹事長・松井一郎、政調会長・浅田均、総勢30名だった。橋下氏は、自民推薦・公明支持で2008年1月大阪府知事に初当選、府知事1期目の折り返し点だった。現在、松井一郎氏は大阪市長・日本維新の会代表・大阪維新顧問であり、浅田均氏は日本維新・大阪維新の参議院議員であるが、2人とも当時は自民党所属のベテラン大阪府議だった。大阪維新の綱領に、設立目的は「『広域自治体が大都市圏域の成長を支え、基礎自治体がその果実を住民ために配分する』新たな地域経営モデルを実現すること」とある。発足時のメンバーの多くは自民党離党の大阪府議であり、広域行政一元化とインフラ整備による大阪圏域の競争力の強化と成長で「世界に誇れる大阪」の実現をめざしたのが、大阪維新である。
発足時の活動方針の一つが、賛同する人々が結集し、関係する議会に会派を設立、地方議員や首長を増やすことだった。12年後、大阪府内の地方議員は240人、首長18人となり、最大勢力となった(*)。2021衆院選大阪選挙区での大阪維新制覇は、この12年の結果である。とりわけ大阪府議会(定数88)の構成は、大阪維新47、自民16、公明15、共産2、立民2、無所属2、欠員4で、大阪維新が過半数を占め、「独裁」ともいえる状況だ。さらに、2月24日、大阪維新提案で府議定数は88から79に削減された。共産2、立憲2の立憲野党4議席うち3議席が定数削減区となり、来年4月の府議選では、立憲野党の共闘がなければ、府議会で立憲野党ゼロという危険性も出てきた。(*公明209、自民153、共産142、立憲28、国民民主4、2022年2月現在)
国政では自公対立憲野党という構図だが、大阪では、維新対「その他」という構図だ。府議会では過半数を占める大阪維新だが、大阪市議会では過半数に達していないため、公明を巻き込んでいる。3月の大阪市議会、大阪府議会で重要議案となっている大阪カジノIR誘致計画も、大阪維新・公明対「その他」となって、大阪市議会では自民党議員団がこのまま進めていいのかと、大きな問題提起を行った。大阪維新の看板政策「大阪都構想」を2回とも住民投票で否決できたのも、大阪維新・公明以外の市民や政党が、一定の距離をおきながら、それぞれ精力的に頑張ったからに他ならない。
7月の参院選、憲法の正念場だ。大阪は定数4、隣の兵庫は定数3だ。2019参院選、大阪では維新2、公明、自民1が当選したが、次点の共産、次々点の立憲を合わすと、確実に1議席とれた。兵庫では、維新、公明、自民が当選したが、次点の立憲、次々点の共産を合わすとこちらも確実に1議席がとれた。2021衆院選の大阪と兵庫の比例結果からも、立憲野党が共闘すればそれぞれ1議席確保できる。参院選での野党共闘は1人区でとのことだが、維新も含め改憲派が議席を独占する大阪、兵庫という複数区でも、都道府県を越えての野党共闘で、改憲NO!平和と人権、いのちと暮らしを大切にする議員を一人でも多く送り出せないか、大阪府内の多くの市民連合の切実な願いだ。