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“やらずぶったくり”政府を終わらせよう 大沢真理(東京大学名誉教授)

大沢真理(東京大学名誉教授)

財務省等のデータや会計検査院の決算検査報告によれば、2020年度に日本政府は、コロナ対策予

算を20兆円以上、約3割も使い残した。半面で、税・社会保険料負担を合計4.3兆円、2020年度のGDP535.5兆円の0.8%分、増やした。これにふさわしい形容として、私は“火事場の”・“やらずぶったくり”以外に言葉を知らない。

2021年11月5日に公表された会計検査院の20年度決算検査報告では、9件が「特徴的な案件」とされている。9件の筆頭に置かれた「感染症対策に関連する各種施策」では、予算執行を区分して管理している770事業・65.4兆円の執行状況が分析された(期間は、2019年度の2月・3月と2020年度の末までを通算)。事業全体の執行率は65.0%、繰越額は21.8兆円で、1.1兆円が「不用額」とされている。

執行率が低い項目を予算総額および執行率とともにあげると、新型コロナ対応地方創生臨時交付金の7.9兆円につき33.1%、資金繰り対策等関係経費の17兆円につき47.7%、治療薬・ワクチン開発等関係経費の1.9兆円につき58.7%、などである(https://www.jbaudit.go.jp/report/new/summary02/pdf/fy02_tokutyou_01.pdf)。いずれも自治体や事業者、国民が切実に求めていたと思われる項目である。会計検査院は“お上品に”、多額の繰越と不用額について、各府省が国民にたいして十分な情報提供を行うよう求めたが、国会で質されるべき事態である。

しかし、さらにグロテスクなのは歳入だった。財務省の調べによれば、2020年の国税収入は60.8兆円で過去最大であり、増えた筆頭は消費税収で2.6兆円、法人税・所得税も微増である。揮発油税・関税・酒税が減収で、合計2.4兆円の増収だった。なお2020年度の税制改正により、住宅ローン減税の拡大および私的年金制度の見直しで、合計1000億円程度の所得税減収と見込まれていた。見込まれた減収を埋め合わせる以上の所得税増収だったのである。いっぽう総務省の見込額によれば、地方税収は0.7兆円減少したが、減ったのは法人2税で個人住民税は増加した。前年の所得にもとづいて課される住民税で、20年中の所得低下にかんする減免措置は、ほとんどとられなかったのだ。

ようするに国と地方の税収合計の増加は1.7兆円と見られる。さらに、財務省による国民負担率の推計データから逆算すれば、2020年の社会保障負担は2.6兆円増えたことになる。社会保険料のうち国民健康保険料は、やはり前年の所得にたいして算定される。自治体レベルでは、20年中の所得低下にたいして国民健康保険料の減免もおこなわれたようだが、マクロでは負担増だったのだ。

“やらずぶったくり”政府のもとで、国産のワクチンも治療薬も間に合わず、検査の資材も不足したまま、日本はオミクロン株の爆発的蔓延を迎えた。私たちはこのような政府を、いったいいつまで戴こうというのか。