衆院選2021

October-19-2021

【報告】「自民党に代わる、新しい政治をつくろう!」 市民連合@10.8オンライン・アピール

民連合は10月8日に「自民党に代わる、新しい政治をつくろう!市民連合@10.8オンライン・アピール」を開催、学者、弁護士、活動家の皆さんから、各テーマで「総選挙の争点」について訴えて頂きました。(長文ですので、ダウンロードしてお読みください)

 

司会・進行は長尾詩子/安保関連法に反対するママの会。ご発言(順番)は以下の通りです。

①中野晃一/上智大学教授(市民連合運営委員):市民連合、②飯島滋明/名古屋学院大学教授:沖縄・基地、③大沢真理/東京大学名誉教授(市民連合運営委員):社会保障。④高岡直子/安保法制に反対する医療・介護・福祉関係者の会:コロナ禍・医療、⑤佐藤学/東京大学名誉教授(安全保障関連法案に反対する学者の会):教育、⑥清水雅彦/日本体育大学教授(九条の会世話人):自民党と憲法、⑦金子勝/慶応大学名誉教授:経済政策、⑧菱山南帆子/許すな!憲法改革連絡会、:国政選挙と投票、⑨瀬戸大作/反貧困ネットワーク事務局長:反貧困、⑩指宿昭一/弁護士(外国人労働者弁護団代表):入管体制・外国人労働者、⑪町田ひろみ/安保関連法に反対するママの会:子どもの権利、⑫三浦まり/上智大学教授:ジェンダー平等、⑬黒澤いつき/明日の自由を守る若手弁護士の会(あすわか):立憲主義と民主主義、⑭高山佳奈子/京都大学教授:日本学術会議、⑮杉原浩司/武器取引反対ネットワーク(NAJAT)代表:防衛予算、⑯前川喜平/元文部科学事務次官:立憲主義の危機。

 飯島さんからは沖縄の集会現場から、菱山さんからは新宿アピール行動の現場から、瀬戸さんからは生活支援の現場から中継してご発言頂きました。ありがとうございます。

最後に山口二郎/法政大学教授(市民連合運営委員)から「市民連合からの提起」を頂きました。

 

  • (司会):長尾詩子/安保関連法に反対するママの会

市民連合主催の10.8オンラインアピールを開始します。本日司会を務めさせていただきます「安保関

連法に反対するママの会」の長尾詩子といいます。10月31日総選挙が決まりました。今回の選挙で、

今こそ政権交代しなければならないと思います。私達市民のために政権交代をする必要があるというこ

とで、今日16名の方にアピールをお願いしております。まず最初のアピールをしていただくのは、上

智大学教授、市民連合の呼び掛け人でもある中野先生です。よろしくお願いします。

  • 中野晃一/上智大学教授(市民連合運営委員):市民連合

この間2015年に始まって、野党共闘を呼びかけて参議院選挙を二つ戦ってきました。今回初めて、かなり本格的な形で野党共闘が衆議院選挙に関して、ようやくできるという体制にこぎつけることができました。

野党共闘というのは、必ずしも綺麗なものではないと思います。何しろ、綱領や候補者や政策がそれぞれ違う政党が、違いは違いとしてお互い尊重し合いながら、なんとか力を合わせてこの政治を変えていこうということ、特にやはり暮らしと命を守るような、言ってみれば政治の基本中の基本、当たり前といえば当たり前なんですが、こうした点で大きな方向性を共有して政治を変えるために、最大限ですね、協力し合って共闘体制を作っていこうということになっています。その中でやはり、かなり厳しい交渉もあれば妥協も正直あると思います。私は、いや野党共闘というのは正直目的ではなくて、通過点に過ぎない、実現したいのは、市民のサイドからの政治政策になってくるんではないかと思います。

個人的には、やっぱりもういい加減に前に進みたい。2021年にもなって、男女平等とかジェンダー平等っていうこと自体が、政権与党の最大限の抵抗にあって、このまま人権がきちんと守れないようでは、日本の社会の未来も政治もあったもんではない、そう思うんです。ぜひ政権交代を実現して政治を変えていきたいというふうに思います。

この後いろいろな個別の政策についてもご意見いただきます。ぜひ今日の話し合いを前提にして、さらに野党は闘志して政治を変えていくということを、皆さんと一緒に実現できたらというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。

 

  • 司会・長尾詩子

中野先生ありがとうございました。9月8日の市民連合と野党との政策合意では、地元の合意のない辺野古新基地建設は反対を掲げています。その観点からのアピールを御願いしています。今、沖縄県の宮古にいらっしゃる名古屋学院大学教授の飯島滋明先生、よろしくお願いします。

  • 飯島滋明/名古屋学院大学教授:沖縄・基地
    名古屋学院大学で憲法学、平和学を専攻している飯島です。今、沖縄県・宮古島の学習会にいるため、会場から報告します。

安倍、菅自公政権は、辺野古新基地建設を強行してきました。尖閣諸島への中国への侵攻を口実に、南西諸島や九州の自衛隊基地新設、強化してきました。

この南西諸島、九州の自衛隊配備、強化は、決して日本を守るためでありません。アメリカの軍事戦略の一端に加担する自衛隊配備、強化です。そして万が一、アメリカが軍事行為を起こせば、先島諸島などの住民は、最初に攻撃対象になる可能性があります。

例えば与那国島にはレーダー基地が既につくられていますが、軍事の常識として、レーダー基地は最初に攻撃対象になります。与那国島の市民は無事ではありません。自衛隊員あるいは家族が約250人いますが、その人たちも無事ではありません。だからこそ台湾海峡を巡って武力衝突が起こりそうになった時には「平和的な外交」を求めることが日本政府には求められます。日本国憲法の意義はそこにあります。

アジア太平洋戦争の時、政治家、軍の上層部は国民には「国のために死ね」と言いました。しかし、それを命じた権力者、軍の上層部は、国のために死なずに逃げました。沖縄戦では、権力者は沖縄の兵士や市民に国のために死ぬことを求めましたが、そうした命令を出した権力者は、沖縄戦の前年、東京から長野県の松代に逃げる準備をしていました。戦争は権力者のこうした卑劣、無責任な行為ということが明らかになりました。

そこで権力者に戦争をさせないことに平和憲法の意義があります。ところが麻生太郎副首相は7月、台湾有事の際には安保法制を根拠に、アメリカと一緒に戦う可能性を示唆しました。元自衛隊のトップであった河野氏も同じような発言をして、沖縄や鹿児島が戦域となるのは当然と言いました。こうした発言をした麻生氏、河野氏は決して戦場には行きません。だからこうした無責任な発言をします。

一方、無責任な政治家、軍のトップの決断で最初に犠牲になるのは南西諸島の市民であり、現場に配置されている自衛官や家族です。南西諸島や九州の自衛隊配備、強化は、アメリカの戦争でアメリカの代わりに自衛隊が戦い、そして南西諸島の市民が犠牲となる事態をもたらします。奄美大島などは自然遺産に認定されていますが、美しい自然を破壊し、いざとなれば攻撃対象になる、こうした馬鹿げた事態をもたらす南西諸島・九州の自衛隊配備・強化は直ちにやめなければなりません。

 安倍、菅自公政権は「戦争できる国づくり」を進めてきました。岸田新首相も辺野古新基地建設の継続、自民党改憲4項目の改正、敵基地攻撃能力の保有、自衛隊法改正にも積極的な姿勢を示すなど、「戦争できる国づくり」をすすめる自民党を継承する人物です。自民党は決して変わりません。南西諸島や九州での自衛隊配備・強化は「戦争できる国づくり」の一環です。「戦争できる国づくり」を進めてきた自民・公明・日本維新の国会議員に日本を任せるわけにはいきません。日本の平和、将来の世代に平和な世界を引き継ぐため、自民・公明と日本維新の国会議員を落選させ、政権交代を目指し、市民の力を結集させましょう。

 

  • 司会(長尾)
    飯島先生ありがとうございました。沖縄現地から緊迫感あふれるアピールで、戦争させないということが大事だと改めて思いました。続いて、東京大学名誉教授の大沢先生真理先生です。大沢先生は「企業中心社会を越えて」というご著書も書かれ、新しい社会保障を提唱されていらっしゃいます。よろしくお願いします。

  • 大沢真理/東京大学名誉教授(市民連合運営委員):社会保障

安倍第2次政権の社会保障に関する政策を見ると、“社会保障に頼らせない”ことが、その基本方針でした。毎年6月に、経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる「骨太方針」で、社会保障がどういった部分に位置づけられ、どのような基本方針が打ち出されてきたか。

安倍第二次政権の最初の骨太方針、2013年で、社会保障は、歳出の重点化、効率化という文脈で出てきます。そこに書いてあるのは、「健康長寿、生涯現役で頑張る者が報われる社会の構築」です。生涯現役に向けて社会のあり方を変え、高齢者の社会参加を促し社会保障に過度に依存しなくて済む社会を構築するというのです。その上で目指すべき社会保障の規模は、中福祉中負担。低福祉とはさすがに言っていないわけですが、肝心なのは社会保障に「過度に」と言ってますが、なるべく頼らせないことが基本方針であるという点が表れています。

それから毎年似たような位置づけですが、19年版では成長力を強化するという文脈で、社会保障の改革が出てきます。全世代型社会保障への改革という項目の中で挙げられているのは、①70歳までの就業機会の確保、②中途採用経験者採用の促進、③疾病介護の予防ということです。これ、一体社会保障の基本方針なんでしょうか?要は社会保障に頼らないように、70歳まで働け。それから病気になるな、要介護状態になるな、13年版では頑張るものが報われるという言葉でしたが、19年版では成長力を強化するための全世代型社会保障です。

今年6月に決定された2021年版で社会保障は、給付の適正化、効率化という文脈でのみ登場します。もちろんコロナ対策、医療提供体制等出てきますが、その医療提供体制を充実するという方向には行っていません。

そもそも、2009年頃のOECD諸国で、社会保障、公的社会給付の受給額を、所得の下層と上層に分けて見るとどうでしょうか。給付が所得下層よりも所得上層に厚い諸国があり、日本はその仲間に入ります。つまり日本の社会保障はもともと、所得の低い人に薄かった、それが安倍第二次政権になって、社会保障に頼らせないことが社会保障の基本方針とされた。それは、マクロ的な給付と負担の構造にはどういうふうに現れたでしょうか。非常に驚くべきことに、2013年から社会支出の対GDP比が減っています。わずかな減り方と見えるかもしれませんが、日本のように高齢化が急速で、年金給付や医療給付を中心に社会支出の増大圧力がとても大きい国において、実際に対GDP比が下がるということは、非常に厳しい給付の切り込みが行われたことを意味します。他方で負担の方は着々と増えてきました。

最後に、国際通貨基金(IMF)が、各国のパンデミックへの財政措置を把握しています。一見して、日本は世界最大級の財政措置を行ったようです。しかしながらIMFが把握してないこととして、日本は追加支出のうち総額の32%に当たる27兆円を使い残している。昨年度の3回にわたる補正予算というのは、その3分の1は不要不急のものであった、あるいは仮に急を要し必要なものであったとしても、それが必要なところには届かなかった、ということを示しています。さらに驚くべきは、日本政府は昨年1年間で税と社会保険料負担をなんと5.2兆円増やしています。社会保険料負担で2.6兆円、税負担で2.6兆円です。。多くの先進国が、社会保険料を含む税金を減免した、そういう中で日本は、なんと大増税を行ったということです。これを表す言葉としては、ちょっと下品ですが、やらずぶったくりという表現を、私は思わず思い浮かべてしまいました。

 

  • 司会(長尾)
    大沢先生、ありがとうございました。この憲法25条がある日本で、なぜ社会保障に頼らせないという方針が出ているのか、本当に酷いと思いました。政権交代しなければならないという思いを新たにしました。
    続きまして、安保法制に反対する医療介護福祉関係者の会の医師である高岡直子さんからアピールをいただきます。コロナ禍で既に医療崩壊が起きていると言われています。その現場からの経験を交えてお話しいただければと思います。よろしくお願いします。

  • 高岡直子/安保法制に反対する医療・介護・福祉関係者の会:コロナ禍・医療

在宅医として20年以上。この夏、思いもよらない訪問診療を経験した。通常なら即救急搬送をするレベルの重症呼吸不全のコロナ患者宅へ訪問し、防護服を着て滞在時間を15分以内に抑え、投薬・酸素濃縮器の設置という最小限の医療を施した。しかし、この程度の医療でさえも受けられずに在宅死した方が8月だけで250名。早期発見、早期治療を受けられていれば失われなくて済んだいのち。この国はどうしてこんなに情けないことになっているのか。

PCR検査を拡大しないのはなぜか?コロナ病床が足りなくて手遅れになることが問題となっているこの時期に、税金を使って病床を減らす政策を見直さないのはなぜか?保健所の数を半減させてきたため、感染の波が来るたびに保健所業務が追い付かない。5回も繰り返しているが、いまだにそれを正さないのはなぜか?第5波で医療崩壊は日本全国で同時多発した。オリンピックとの関係はないと言うなら、何が原因でこのような事態になったのか?様々な職種の方が感染し、保育園の休園、JR線の運休、ごみの収集の遅れ・・都市機能に深刻なダメージが及んだ。パンデミック下でも人との接触をせざるを得ないエッセンシャルワーカーからワクチン接種をして守っていくというのが職域接種ではないのか?コロナ感染者数は累計170万人、死亡者数が1万7千人を超えた。1年後も40%が後遺症に苦しむ病気。社会に及ぼす影響は計り知れないが、これ以上感染者を増やさないために6波をどう抑えるのか?感染が増えたら、緊急事態宣言を出すだけの対策で、実に7割の日数が緊急事態宣言下となった。経済的な打撃が深刻で、コロナが原因で自殺をした方の数が3200名とされている。軍事費やGo to キャンペーン予算をコロナ対策に回す、コロナが落ち着くまで消費税やめる、何か対策あるでしょう?

何のためにこのコロナ禍でも税金を納めているのか。この非常事態に、いのちを守るために税金を使うべき。7月から臨時国会を開くよう要請しているが、無視して菅首相は辞任。10月4日に岸田内閣が発足したが予算委員会も開かず、14日に解散。目の前で人がおぼれているのに、助けようと船も出さない。そのような冷たい政治では、いずれこの国全体がおぼれてしまう。早期の解散で結構、第6波が来る前に政権交代をさせましょう。次の選挙は私たちが私たちの手で私たちのいのちを守る選挙。きちんと仕事をする政治家、政党を選びとり、病気になっても安心して暮らせる社会を取り戻しましょう。

 

  • 司会(長尾)
    高岡さん、ありがとうございました。これ以上政治のために失われる命を作ってはいけないと強く思いました。続きまして、東京大学名誉教授で安全保障関連法に反対する学者の会の佐藤学先生にお願いします。

  • 佐藤学/東京大学名誉教授(安全保障関連法案に反対する学者の会):教育
    一刻も早く自民党政権を終わらせないと、日本の社会と国家が崩壊してしまうと思います。特に日本の教育は深刻な状況を迎えていて、一刻も早く根本的な改革を行う必要があることを訴えたいと思います。

日本の公教育の予算はGNP比においても、政府予算比においても、比較可能な38ヶ国中37位まで転落しています。GDP比2.9%ですが、OECD平均は4.1%です。昨年は、ついに軍事費が文教予算を抜いてしまう事態も起こりました。

戦後直後1947年の新学制が発足以後少なくとも1970年代まで、日本の公教育予算は、GDP比においても政府予算比においても世界トップでした。この教育への高い志による未来投資があって日本の社会も経済も復興し文化や芸術も発展しました。しかし、今は急落下する予算状態になっています。その代表的な表れが、親の教育費負担です。大学の学費は世界で2番目に高い。就学前教育つまり幼稚園と保育所は世界一高い状態です。

その結果、大学進学率は世界ランキングで46位まで落ちた。先進諸国の多くの大学進学率は90%に達しています。お隣の韓国は94%、台湾も95%ですね、アメリカも89%です。日本は61.2%ですが、これは短大も含めています。これで未来の社会が作れるでしょうか、未来の教育が築けるでしょうか、未来の経済がになえるでしょうか?私は大変危惧してます。

教育の未来を拓くためには新しい政権だけでは無理です。日本の教育改革はあらゆる面にわたって30年ほど遅れています。一刻も早く政権を交代し、新しい未来を準備できる教育への転換を図っていただきたいと思います。

そして最後に一点、新型コロナの最大の犠牲者は子どもたちだと思います。2020年、小学生中学生高校生の自殺率は30%も増えました。女子高校生は2倍以上になっている。2021年に入ってからも増加傾向は止まっていません。新型コロナでは1人も死んでいないのに、子どもたちが自由が奪われ、学びが奪われ、希望が奪われ、孤立して多くの子どもたちが命を絶っています。今の日本は、10代、20代30代の死因のトップが自殺というとんでもない社会になっています。若い人たちと子どもたちが希望を持てる社会をつくるために、ぜひとも政権交代を実現させましょう。

 

  • 司会(長尾)

佐藤先生、ありがとうございました。教育予算とはまさに未来への投資だと思います。その教育にかける文教予算が軍事算よりも低くなってしまってるとお聞きすると、未来に不安しか感じません。

続きまして、日本体育大学教授であり、九条の会の世話人でもいらっしゃる、清水雅彦先生に次のごアピールをお願いします。

  • 清水雅彦/日本体育大学教授(九条の会世話人):自民党と憲法

私に与えられたテーマが、自民党と憲法です。今現在の最大の課題はコロナ対策ですが、自公政権では無理です。コロナ対応を十分にできないのは、この間、新自由主義改革を行ってきた結果です。画面共有のレジュメに書いたとおり、全国の保健所が1991年に全国に852カ所あったのに、2021年には470カ所、30年間で約半減しました。厚労省の多めに出す計算方法でも、日本の人口10万人当たりのICUの数は14.4床で、アメリカの34.7床、ドイツの29.2床と比べ大変少ないです。人口1000人当たりの医師の数もOECD平均3.5人に対して日本は2.4人、OECD諸国の中では36ヶ国中32番目にすぎません。もし憲法25条を実現していたら、こういうことにはなりませんでした。1項で国民の生存権を保障し、2項で国に公衆衛生などの責務があるからです。諸外国を見た場合、イギリスには憲法典そのものがありませんし、アメリカ憲法には生存権がないのに、憲法で生存権を保障する日本がこういう状況なのです。

大臣、国会議員には憲法99条に憲法尊重擁護義務があるわけですが、これを無視してきたのが自民党で、さらに憲法改悪しようと考えています。戦争法や秘密保護法・共謀罪法の制定など違憲立法を制定し、解釈改憲(2014年閣議決定)や立法改憲(戦争法)といった反立憲主義的手法もとってきました。また、岸田首相は2018年の自民党4項目改憲案を実現したいと言っています。自衛隊を憲法に書く狙いは、自衛隊違憲論による制約の解消と戦争法の合憲化です。最近は憲法を変えて緊急事態条項を盛り込めば、コロナ対応ができるという議論をしていますが、イギリスには憲法典がそもそもないわけですし、アメリカ憲法に緊急事態条項がありませんし、ドイツ・フランスは緊急事態条項があっても発動せず、多くの国では法律でコロナ対応をしてきました。憲法を変えて緊急事態条項を入れれば、コロナ対応できるということではありません。参議院選挙区の定数不均衡や合区解消のためには改憲ではなく、選挙区をやめて比例代表制1本にすれば解決できますし、教育充実も改憲ではなく法律で対応できる問題です。こういう改憲案にだまされてはいけません。

この4項目改憲案以上に、自民党は2012年発表の全面的な改憲案の実現を狙っています。この「日本国憲法改正草案」では、天皇元首化(1条)や国旗国歌尊重義務(3条)などの国家主義を前面に出し、平和的生存権を削除し(前文)、9条を変えて集団的自衛権行使可能な国防軍を設置し(9条)、人権と人権がぶつかった場合の人権制約原理を国家の安全や社会秩序が優先する場合に人権制約できるようにしてしまう(12条など)。他にも、家族は互いに助け合えという復古主義的かつ新自由主義的な家族条項(24条)、国民の義務規定の大幅増(3から10へ)、首相の行政各部の指揮監督権・総合調整権・国防軍の統括権・衆議院解散権といった首相の権限強化(5章)、地方自治体による国の政策への関与制限(8章)、緊急時に法律と同一の効力を有する政令制定可能な緊急事態条項(9章)もあります。

岸田政権が誕生しましたが、自民党役員人事を見れば予想できるとおり、安倍・菅路線の転換は無理です。きちんとコロナ対応していくには憲法の理念を実現すること、憲法を護ること。そういう意味で、9月8日の市民連合と立憲野党4党との共通政策には「1 憲法に基づく政治の回復」という項目があり、注目に値します。この共通政策に基づいて政権交代するしかありません。

 

  • 司会(長尾)

ありがとうございました。続きまして、慶応大学名誉教授の金子勝先生から私達の暮らしに密着している経済についてどう考えたらいいか、アピールをいただきたいと思います。よろしくお願いします。

 

  • 金子勝/慶応大学名誉教授:経済政策

よろしくお願いします。最近、「アベにスガるキシダメ内閣」という動画を何人かと一緒に作りました。それを見て下されば、岸田政権がいかにアベ・スガ政権を引き継いでいるかがよく分かります。それは、三世の世襲議員の愚者の支配の仕組みです。メディアや官僚や学会を支配して言論を抑えようとするのは、経済政策もコロナ対策もほとんどうまくいっていないからです。実際、借金漬けの中小企業は大量に存在していて、地方の銀行や信金は非常にゼロ金利で苦しんでいます。

今、岸田文雄新首相は「新しい資本主義」というキャッチフレーズを掲げて、総選挙では格差をなくすかのように言い出しています。しかし、これはとても古臭い手法で、安倍政権のやり方そのものです。かつて幼保無償化っていう政策をやりましたね。元々を言えば、それは野党側の政策だったわけですが、それをパクッて抱きついたんです。いまも政策の争点潰しという同じ手法を繰り返しています。

例えば教育と住宅のベーシックサービスの充実とか、あるいは介護士や保育士の給料の引き上げとか、あるいは1億円の壁を超えると税負担が軽くなる歪みを防ぐために金融所得の課税を強化するとか、こういう政策はもともと野党の政策でした。それは詐欺的手法です。これらはアベノミクスがもたらしたひずみが原因ですが、岸田政権は、安倍・菅政権の路線を引き継いでいる。実際、高市早苗政調会長は「サナエノミクス」と称してアベノミクスと同じこと言ってるわけです。それではできるはずがない。アベノミクスを正面から問い直さないと、格差は是正できないんです。

問題は、実はアベノミクスによって産業衰退が進み、その結果、実質賃金が20年以上にわたって下がり続けていることです。こういう国はOECDの中で日本だけです。ほぼすべての先進国は実質賃金は上がっています。北欧諸国もただ所得再分配だけをしてるのではなく、賃金の上昇率も高い国なんです。スウェーデンのエリクソンとか、フィンランドのノキアとか新しい先端産業を作っている。

未来の世代が食べていくにはどうしたらよいのか、私達は責任を持って政策を考えなければいけないんですが、残念ながらアベノミクスはただ金をばらまくだけ産業衰退を加速させてしまいました。しかもバブルを繰り返すことになります。

つまり働かなくても、株や不動産を持ってるだけでどんどん値上がりするので、豊かになっていく。他方でエッセンシャルワーカーあるいは女性の非正規は、雇用もなくなり、賃金も上がらない状態が続く。究極の格差社会が生まれてしまったのです。しかもバブルは必ずはじけて、深刻な打撃をもたらします。リーマンショックを救うために中国の不動産バブルを起きましたが、いまや中国の恒大集団はじめ不動産業は債務不履行寸前の状態になっています。

アメリカも住宅価格が非常に上がっているんですが、金利の上昇が起きれば、バブルの崩壊が起きる危険性がある状態です。それが大規模になるのか、長期停滞でずるずると不況が続くのかは、まだわかりませんが。   

もしバブルが崩壊した場合、アベノミクスが9年間も続けてきた結果、財政金融ももう手段がない。コロナで打撃を受けた地方銀行あるいは中小企業はさらに深刻な事態になりかねない。大学を含めて科学的基盤を再建して新しい産業を創り、賃金を持続的に引き上げ、あるいは教育や住宅などベーシックサービスを拡充することで、格差を是正することが必須です。

今度の総選挙は、政権交代を実現しなければいけませんが、少なくとも与野党伯仲の状態までいってくれないと、多くの人々の願いが届かない状態になってしまいます。何とか皆さんの踏ん張りで、少しでも良い世の中を作っていきたいなと思っています。

 

  • 司会(長尾)
    金子先生、ありがとうございました。アベノミクスのひずみを問い直さなければならないという点がとても心に響きました。続きまして「許すな!憲法改革連絡会」の菱山南帆子さんからアピールをいただきたいと思います。

  • 菱山南帆子/許すな!憲法改革連絡会:国政選挙と投票

皆さんこんばんは。今私は新宿の東南口にいます。約60人ほどの青年たちが集まって街頭宣伝を行っています。今日、私達は「選挙に行こうではなくて、選挙に行ってみよう、その一票に意味がある」ということで、街頭宣伝を行っています。なぜ「選挙に行こう」ではないのか。私達が選挙に行っても何も変わらないんじゃないかなとか、選挙に行ったことがないっていう方もいらっしゃるということで、選挙に行こうというよりは、選挙に行ってみない?といった問いかけ調、呼びかけ調の連帯を意識した、言葉を使いました。自分が選挙に行ったって何も変わらないと初めから諦めてしまう、これもですね、やっぱり長年の自民党政権がもたらしたものだと思うのです。今の若い子たち、安倍政権しか知らないわけですよ。安倍政権しか知らないから、今までの政権と比べるものがない、だから何が悪いのかわからない、今のままでいいじゃん、変わることが怖いと思っている。だから、そんなことない、その一票に意味があるんだ、私達と一緒に未来を変えよう、未来は変えられるんだ、私達の一票で変えられるんだということを意味してこういうタイトルにしました。

10日あたりで、今回初めて、青年のプロジェクトチームを立ち上げました。やはり若い私達がこれからの未来を担っていくためには、やっぱり今回の天下分け目の総選挙、私たちもですねしっかりと参加して、必ず勝利していく、そのために宣言も明けましたし、街頭に出て、行動を起こして行こうということで、街頭宣伝を行っています。今日ですね、もう一時間ほど、皆さんがたくさんのスピーチをしました。

さて、私が政権交代を間近で見たのは、私が初めて投票に行った二十歳のときでした。そのときに初めて投票に行ったときに、民主党政権になった。こうやって政治って変わってくんだって思ったんです。しかし、そこからですね、長きに渡って自公政権、安倍政権が続いてきた。この長い自公政権、安倍政権の中で何が奪われてしまったのか、民主主義、立憲主義、そういったものがすっかり奪われてしまったと思います。私達はもう一度この手に取り戻さなければならない。そして、若い子たちに一票を投じたら、未来が変わるんだということを実感できる、そんな選挙にしなければならない。私達は若者の責任として自分たちの未来の責任を持つんだ、そういったことでこの選挙を頑張りあっていきたいと思っています。今回の市民連合も六項目が出ています。この六項目、これがですね、私達の未来の指針で、私達を選んだら、立憲野党を選んだら、こんな未来になるんだっていうことが、きちんとわかる六項目となっています。これから選挙が始まりますが、この六項目をしっかりと掲げて、政策をそらで言えるぐらいに広めていかなければならないなと思っています。あのときああしておけば良かったとか後悔はしたくないので、本当にやることはやる、もういろんなことをやり抜いてこの総選挙を勝ち抜きたいと思います。ともに闘いましょう。

 

  • 司会(長尾)
    菱山さん、ありがとうございます。「未来は変えられる」というプラカードを持って皆さんが、今日も街頭で頑張っていらっしゃることに、元気をいただきました。
    続けてアピールを頂くのは、反貧困ネットワークの事務局長の瀬戸大作さんです。このコロナ禍で、今まさに救済を求めている人に寄り添って、日々活動してらっしゃる瀬戸さんから、アピールをいただきます。よろしくお願いします。

  • 瀬戸大作/反貧困ネットワーク事務局長:反貧困
    コロナ災害から1年半経過、私たちのところに来る相談者の数は止まっていません。非常に深刻なの

は、この春以降です。20代の相談者が日々激増しています。それと、例えば公的支援を受けることがで

きない外国人たち、SOSが非常に増えています。

この前の総がかり行動の、議員会館前でも発言をしたんですけども、今回の選挙については非常に、僕らとしてやっぱり、切羽詰まってるなという状況です。一つは、その外国人たちが何の公的支援も受けられないと。それで、私たちのシェルターにも多くの外国人がいます。今日も2名ですね。その住まいがない外国人たちがいて、もうシェルターに入りきれなくて、僕らの緊急アクションの反貧困ネットワークの基金で、当面の宿泊先のホテルをね、確保して、来週以降どうしようかという話をしているところです。

これについては、やっぱりその外国人たちが、仮放免の人たちが、難民申請が却下されてる人たちが、例えば働くことができない、働いちゃいけない、移動することができない、生活保護の利用もやっぱ認められないと、そういう状況になっています。今、私たちの支援団体で言うと、例えばそのシェルターのところで、実際泊まっていただくと、それだけじゃないんですよね。本当に少ない金額なんだけども、3万5000円とかその4万円の具体的生活費を出しながらなんです。それと、皆さんですね多くの人たちが、その医療を受け入れていないんで、相当体の具合が悪いです。そういうような医療費もずっとその民間団体が出し続けてると、そういう状況は続いています。で、この問題について、僕らのシェルターに入ってる外国人が本当に言ってます。今回の選挙で、ぜひその野党に勝っていただきたいと。その中で、一刻も早く生存権が認められる。例えば働くことができる。それとですね、例えば生活保護も含めてですね、福祉制度がしっかり利用できる、医療を受けることができると、そのことについて本当に切羽詰まって皆さん訴えてます。

今本当に20代の若者たちが貧困に陥っていて、大変な状態です。今日も何件かですね、ネットカフェにも泊まれなくなって、野宿してると。この若者たちは、僕たちは最初から非正規の仕事しかなかったと。最初からアパートを借りることができなかったと。4年も5年もずっとネットカフェ生活をしていたと。そうしたときに、日本の住宅制度については、こういう若者たちが安く住宅を借りることはできないと。初期費用の30万円を工面することはできない。ずっとネットカフェ生活するしかないと。こういうような現実がありながら、住宅については若者については全くその制度がないと。こういう問題も含めてですね、今回のコロナの中で明らかになった、貧困の背景と制度的な歪み、この問題について本当に野党が政権を取って実行していただかないと、これ以上SOSが続くと本当に人が死んでってしまうと、そういうふうな状況にあるのかなというふうに思っています。

私ももこういう活動を1年半続けていて、夜のこのようなシンポジウムでだいたい今車の中となってるわけです。ということは、ずっと1年半ぐらいですね、いつ、どのようなSOSが来るかわからない、所持金が100円しかないと、今日死のうと思ってると、こういうような悲鳴が本当に全国のあちこちでやっぱり起きてるってことについて、政治は何をするんだと。本当に我々、共助の中でできることについては限界があるということも含めてですね、切実な現場の訴えとして、一刻も早く政権交代をして、路上の現場の中で何が起きてるのかってことについて、この政権奪取の中で今の野党の皆さんについても、本当に現場から政治を考えていただきたいなというふうに思っています。

 

  • 司会(長尾)
    瀬戸さん、ありがとうございます。もうこれ以上SOSが続いたら命が失われることになったらどうするんだっていう、まさに現場からの声を身につまされるものがありました。

続いて、外国人労働者弁護団の代表の指宿昭一弁護士にアピールをお願いします。先日、名古屋の入管で死亡されたウィシュマさんの2週間分のビデオが開示されたと聞いてます。指宿弁護士はアメリカ国務省が選ぶ「人身売買と戦うヒーロー」にも選出されました。よろしくお願いします。

  • 指宿昭一/弁護士(外国人労働者弁護団代表):入管体制・外国人労働者
    こんばんは。弁護士の指宿と申します。外国人労働者弁護団の代表、外国人技能実習生問題弁護士連絡会の共同代表などをやっています。労働事件が本拠地ですけど、最近、入管の問題を含めて、外国人の問題にかなり力を入れて取り組んでいます。

3月6日、名古屋入管で、スリランカ人の女性33歳のウィシュマさんが亡くなりました。亡くなった、いや殺されたと言ってもいいんじゃないか。物が食べられない、飲めないという状態の中で、点滴で栄養補給をしてくれと言ってるのに、入管は何もせずに、見殺しにした。助けることのできた命を、助けなかった。

入管は、ウィシュマさんの居室の映像13日分を持っていますが、これを遺族にも国会議員にも提供しません。入管が2時間に編集したものを、代理人の立ち合いなしに遺族に見せようとしましたが、遺族は嘔吐するなどして見続けることができず、半分しか見ていません。そして、10月1日に、名古屋地方裁判所の命令に基づいて、入管がその一部を遺族と我々弁護士に見せました。例えば3月3日の映像見ると、入管職員がもう身動きが取れないウィシュマさんが上半身だけを起こして口にバナナを入れ、それが吐き出され、次に何かを入れ、またそれが吐き出され、またそれが吐き出されるってことを繰り返してるんです。最後にやっと、お粥の重湯の部分が口に入りました。入管が出した最終報告書には、この日の記述として、ウィシュマさんは食事を食べたって書いてあるんです。

ウィシュマさんは2月15日の時点で尿検査の結果、ケトン体というものがすごく高い数値が出て、これは体が飢餓状態に陥ってたことを表しています。こうなるともう口から何かを食べさせても食べられないし、たとえ食べれても、それがブドウ糖に変換されてからのエネルギーにならない状態なんですね。だから、点滴をしなきゃ駄目なんですよ。点滴をしてブドウ糖を入れ、インスリンとかも入れなきゃいけないらしいんですけど、そういうことをやらなきゃいけないのにやらない、そして、見殺しにしてしまった。

報告書では、末端の入管職員の意識が悪いから意識改革しますみたいなでたらめな総括をして、それでお茶を濁そうとしている。上川法務大臣は、それに対して全く頑として責任を認めず、またビデオ開示を認めませんでした。で、今度古川法務大臣になって、同じことを言っています。最初の記者会見で、一応同情的なことは言いながら、つまり日本に来られた方がこのような形で命を落とされた、日本人の1人として申し訳ないと一般的なことは言うんですよ。これは上川さんも言ってました。でも結局、ビデオの開示は否定する。

結局、岸田さんが総理大臣になろうが法務大臣が変わろうが変わらないんです。いくら総裁選をして、看板を変えても、自民党は自民党なんですよ。そして、今の政府のやってる政策をそのまま踏襲して、隠蔽イメージが少し変わるようなことをやるかもしれないけど、本質的には何も変わらないです。

今日はお話する時間はないけど、技能実習生は奴隷的な労働の中で本当に苦しんでいます。アメリカの国務省が人身取引の温床になってるっていうふうに言うんですよ。日本で人身売買の温床である技能実習制度が廃止されないで残っている。これは政権交代しないと変わりません。入管の様々な問題も変わらない。変わらないどころか、法務省は、市民の力で廃案に追い込んだ入管法改悪法案を、このままだとまた来年の通常国会で出そうとしています。入管法の改悪を今でも諦めていません。政権交代しないとこの国は本当に大変なことになる。外国人の人権が守られてない国で、他の市民の人権が守られると言えるのか、そんなことないですよ、外国人の人権が守られないことを見て見ぬふりをしてたら、次は我々の番です。日本の市民が国籍に関わらず、人権を守ろうとするならば、今の政権は退場いただくしかない、倒すしかない。そういうふうに訴えたいと思います。以上です。

 

  • 司会(長尾)
    指宿先生、ありがとうございました。このままの政権では、技能実習制度も変わらない、入管法改悪も続くだろうというお話に大変な思いをし、亡くなったウィシュマさんのことを思うと、改善されていかなければ、とつくづく思います。

続きまして、命を守る政権交代が必要だということを言っている、「安保関連法に反対するママの会」の町田ひろみさんにアピールをお願いします。町田ひろみさんは保育士として子どもに関わる中で、子どもの権利について訴えられています。よろしくお願いします。

  • 町田ひろみ/安保関連法に反対するママの会:子どもの権利
    子どもの権利から今の社会のことを考えてみたいと思います。財団法人日本青少年研究所の高校生への意識調査では、自分は価値ある人間だと思っている高校生は、日本は44.9%。他の国では80%以上です。日本の高校生の半分以上は自分の価値を感じられないでいることがわかります。

どうしてかを考えていきたいと思います。日本は国連子どもの権利条約を26年前に批准しています。この権利条約の基本原則と言われているのが、差別の禁止、子どもの最善の利益、生命および生存発達の権利、意見を聞かれる権利です。この権利条約を批准した国は、委員会に報告を提出する義務があり、提出された報告書と国民から寄せられた情報意見に基づいて審査会を開催し、各国政府へ勧告を行います。最新の日本への国連の勧告は2019年3月。「日本社会の競争的な性格により子ども時代と発達が害されることなく、子どもが子ども時代を享受できることを確保するための措置を取るように」と勧告を受けています。これは「格差を生む新自由主義が、子どもが安心して楽しく生き、のびのびと育つ子ども時代を奪ってきた」ということです。

子ども時代をどうしたら保障できるのか、子どもの権利条約を読み解くと六つの権利に整理されます。安心して生活ができ、命や健康が守られ、わかるように教えてもらい楽しく遊び、文化的な生活が保障され、失敗してもやり直せ、自分たちで考えて社会に参加していく、そんな六つの権利が子どもたちにはあります。失敗してもやり直せるとか、自分たちで考え参加していくというところが保障されなくなっていて、だから自分を大事にできなくて自信が持てないことに繋がっていると思います。この六つの権利が保障され、子どもは子ども時代が生きられます。

今コロナ渦で、子どもの権利が保障されていないことが明らかになりました。子どもの権利が保障される政策が必要です。子どもの最善の利益は地球に一番いいことです。子どもの権利が保障される政策は誰にとっても一番いい政策になります。

私たちは色々な政策考えてきました。憲法の問題・ジェンダー問題・働き方・エネルギー問題・貧困などなど、全ての政策は子どもの権利に繋がっている政策だと私は思います。子どもの権利に繋げて全ての政策を話していくことで、政治のことが自分ごとになる人が増えていくと考えます。

それに加えて、ジェンダー政策が独自にあるように、子どもの権利を保障する独自の政策も必要です。この時に、子どもの権利を考えているつもりで、私達大人は子どもの声を大人の都合のいい部分だけを聞いていないかと問うことも必要です。コロナ禍で一斉休校になり子どもたちはみんな学校に行きたがっている、みんな仲間と一緒に遊びたいと思っているとかの声があがりました。それは大人にとって都合のいい声だけを取り上げているのではと私は考えます。中には一斉休校になってホッとした子どももいるし、学校が始まってつらいなと思った子どももいるし、本当に子どもたちの思いはいろいろです。

子どもたちはとてもカラフルです。今の社会は格差と排除の社会なので、自分のことは自分で責任を持ってねと言いながら、子どもたちを同じ色・同じ形にしようとしているのではと感じます。同じ形になれない子どもたちは排除されていく社会です。私達が目指すのは誰も排除しない社会。いろんな形いろんな色の子どもたちをそのままでいいんだよ、みんな違ってみんないいんだよ。そもそもみんな同じでないし同じでなくてもいいんだよという、それぞれに応じて必要な支援はすることで、そのまま子どもたちが成長していける社会です。

排除しない社会にするには政権交代をして「子ども時代」を取り戻すことが必要です。子どもの権利を守るために、子どもにお金をかけることは最大の経済政策だと思います。子どもの権利に引き寄せて「政権交代」を訴えていきたいと思います。

 

  • 司会(長尾)
    町田さん、ありがとうございました。

今回の市民連合と野党との政策協定の中にも、ジェンダーの観点から自由で公平な社会の実現をという項目が入っています。上智大学教授で、ジェンダーについて研究をされている三浦まり先生にアピールをお願いします。よろしくお願いします。

  • 三浦まり/上智大学教授:ジェンダー平等
    皆さんこんばんは、上智大学の三浦まりです。今ご紹介いただきましたように、日本は本当に女性議員が少ない、そういうことでもう少し増やしたい、そういう活動をしています。今回の市民連合のイベントということになりますけれども、市民連合の皆さんには、本当に草の根で地域から新しい政治を作ろうということで、この活動を重ねてきたことに、まず敬意を表したいと思います。市民連合が政党と結んだ野党共通政策というものを拝見しましたがけれども、私達の社会を本当に希望の持てる社会に変えていくために必要最低限なもの政策が、この六つの協定に六つの項目にまとまっているというふうに思っていましたす。

それぞれとても重要なこと言ってるんですけれども、その中に5番目にジェンダー視点に基づいた自由で公平な社会の実現というのもが入っています。これいろんな政策の中の一つというだけではなくてですね、六つの政策がそれぞれ有機的にリンクをしていて、今の政治とは異なる新しい社会の正しい価値に基づいた、もっと希望の持てる社会っていうものを明瞭な形で描いてるというふうに私自身は政策協定思いを読みました。

アジェンダのことに関して言いますと、日本のジェンダーギャップ指数が120位であるとか昨年1年間は121位であるということで、いろいろと大きく報道されて、皆さんもご存知だというふうに思います。最大の理由は、意思決定に女性がほとんど入っていないということからです。コロナで女性不況というふうに言われたり、あるいは女性に対する暴力が広がるということで、影のパンデミックが広がるといったことが世界的に起きています。るわけですけれども、それを食い止めてよりよい社会にしていくためには、そういった困難を抱えている女性たちの声を聞き届けるような女性が、直接的に意思決定に入るということがどうしても欠かせないというふうに思いますません。でも、日本は衆議院では10%に満たない状況です。参議院でようやく23%という状況です。これから衆議院選挙あるわけですが、残念ながら各党の状況を見ていてですね、どの党が勝ったとしてもなんですけれども、それほどたくさん女性が今増える状況にはありません。10数%いけたらいいのではないかという状況です。2009年に民主党政権による政権交代がありました。そのときは当選した女性の割合は11.3%と過去最多いました。しかしながらその後の3回の総選挙では10%を切るような状況が続いていたということになります。この女性が少ないということは、やっぱり女性に関する政策が進まないことってことでもちろん関係するんですけれどもしますが、やっぱり同時に広く民主主義の問題として捉え直すことも重要だと思っています。

どうしてこんなに女性たちは、政治にかかわれないのか。、特に衆議院はそうですけれども、地方政治においても似たような状況ですし、市民社会の運動の中においてもそうかもしれません。ありとあらゆるところでにやはり女性が入りにくい、結果的に女性が排除されてしまうような、いろんな仕組みが残されているんだというふうに思います。こういったこと私達がを見つめ直して、誰も排除しないようなやり方を作らないということをやっていかないと、多様な人たちの声が政策に反映されない、あらゆる組織に反映されないということになってしまいます。ですから、女性を増やそうというのはやっぱり入り口の問題であって、本当になされなければならないのは、が全ての誰もが人が排除されない仕組みをつくですっていく。女性が入りやすくい仕組みになればですね、障害者の方であるとか、若者であるとかや高齢者であるとか、外国にルーツのルーツを持っている方、性的マイノリティの方など、も様々な方が入りやすくなれる社会になるはずです。ですから女性の問題とかジェンダーってというのは、女性にしか関係ないというふうに思わずにですね、日本の民主主義の質を根本的に変えていくために、本当に真っ正面に据えなければならない問題課題だというふうに捉えていく必要があると思います。

女性がなぜ少ないのかといえば、ってことを見ていくと、市民連合の中にも書かれているように、家族制度ですとかや雇用制度などに、そういったところに女性が入れない仕組み、制度や法律っていうものが残されてしまっているんですねこともあります。 

これから多分現金給付合戦がおそらく政党間で行われると思います。市民連合を支える様々な政党が再分配をもっとしていこうということを言ってますけれども、おそらく与党側からも現金給付だということで、いろんな政策が打ち出されると思います。ぜひその表面的な政策ではなくっていうことにとられるのではなくって、各政党はどうしてそういう政策が必要なのかの根本のところですね、1回の給付金ってことじゃなくって、どういう社会を打ち立てたいのか、そこで本当に生存の差がありますから、そこに目を向けてもらいたいというふうに思います。

給付金という意味では、特別定額給付金が出ましたけれどもが、昨年出た段階でですね、1人10万円でしたけれども、世帯主に対して配られる、世帯主が受給権者であるとってことにされてしまたためにったんですね。そのことによって、もらえなかった方っていうものも出てきてしまいましたってします。なんでそんなことになるのかっていうと、やはり古い制度といったものが日本の古い家族制度のあり方が、それから戸籍制度またや住民票の中にも残されています。てですね、そういったことをが一つひとつ変えていかないと、全ての人が対等に社会参画できる社会になっていかこないということになりますのです。

これは雇用制度についても言えるんですね。ですからジェンダーっていうこと、そこの視点から日本のあらゆる制度を点検していって、女性が男性とともに対等に参加できる社会にしていくということが、私達が求めていきたいことだと思います。

若い人にとって希望のある社会を作るために、市民連合の活躍によってですね、ぜひとも新しい政治世情を打ち立ててもらいたいと思います。以上です。

 

  • 司会(長尾)
    三浦先生、ありがとうございました。衆議院では10人に1人、10%ででは、発言が難しいという状況があると改めて思いました。三浦先生、ありがとうございました。

続きまして、「明日の自由を守る若手弁護士の会」通称「あすわか」の共同代表の黒沢いつきさんからアピールをいただきます。「あすわか」は若手の弁護士さんが中心となる団体で憲法の意義や魅力というものを伝えています。黒澤さん、よろしくお願いします。

  • 黒澤いつき/明日の自由を守る若手弁護士の会(あすわか):立憲主義と民主主義

こんにちは、あすわかの黒澤です。本日は個人としてお時間頂戴しております。

このコロナ渦、「政治に殺される」とこんなにもリアルに感じたことは今までありませんでした。国民の命と人権が最優先ではない政治家に権力を託すとどうなるか。まさかマスクの配布と自粛のお願いだけとは!医療を受けることができずに自宅に放置された形で亡くなる人が出てきても方針を変えない…冷徹というよりサディスティックにすら見えました。

その安倍・菅政権がどれだけ立憲主義も民主主義も傷つけたかについては、繰り返すまでもありません。政権与党が、自らの執念を最優先させて憲法を蹴破る。こんな瞬間を私達はもう嫌というほど立ち会ってきました。

特定秘密保護法、安保法制、共謀罪など存在が許されないはずの法。あるいは日本学術会議への人事介入、最たるは臨時国会を開かないという、あからさまな憲法違反。民主主義の破壊も極めました。民意を一切聞かず、公文書の改竄や破棄、選挙買収、賄賂などで民主主義の土台を壊しました。反社会的といっても過言ではないような、法を無視する態度は私達市民に向けて「何も考えるな、黙って従っていればいい、すぐ忘れろ」という強烈なメッセージを放ちます。物を考える市民への敵意と愚弄を感じます。私達をこの国の主人公ではなく、もっぱら支配の対象と見ている、と感るたびに、1人の人間として怒りがこみ上げます。

そういう自民党政治の人権意識の欠落は「あらゆる差別に無関心で放置」という形で最も分かりやすく露呈しています。健常者で異性愛者の中高年男性が、「自分たちにとって不都合を感じない社会であればそれでいい」という感覚で、マイノリティを無視し、寄り添わない政治をしています。世界を見渡せば、急速に「誰一人取り残さない」「差別を放置してはならない」政治が広がっていて、女性リーダーが次々に誕生し、差別発言やハラスメントが法的・社会的に極めて厳しい責任を問われています。でも日本の政治は頑なに変わらない。政治がリーダーシップをとって差別を許さない社会を作るどころか「理解が広がるまで差別は野放しでいい」という意識です。選択的夫婦別姓の実現も、もう待ちくたびれました。岸田首相は「議論を進める」と言いますが、議論はもうし尽くしました。本当に「聞く力」があるならば、別姓を切望する人たちの声は聞き尽くしたはずです。女性閣僚も全く増えてない。また改憲したいと言っている。安倍元首相は表にこそ出ていませんが、彼が表に出ないだけの安倍政治ですし、何も期待できません。

その状況下で、野党と市民連合との政策合意は希望です。この国に生きる人が再びこの国の主人公として扱われる政治を取り戻すための選挙であり、憲法に忠実な政治を取り戻すための選挙だと思います。政権交代という選択肢が現実的なものとして提示されたことは、市民にとって本当に大きなことです。その大切な一歩のために、市民連合の皆さんがご奮闘し、ご尽力下さったこと、心より感謝します。ありがとうございます。

最後に。憲法学者の佐藤功先生が1955年にお書きになった「憲法と君たち」という本の中に、「憲法が君たちを、君たちが憲法を守る」という言葉があります。憲法は基本的人権や民主主義を定めてくれてはいるけれども、その憲法に命を吹き込むのも、死文化させるのも、結局は私達国民次第だぞ、ということを言い当てていて、ずっと心に留めています。

1人の主権者として、市民として人間として、野党共闘で政権交代を勝ち取りたいと心から思っています。頑張っていきましょう。

 

  • 司会(長尾)

黒澤さん、ありがとうございました。最後にご紹介いただいた、「憲法が君達を、君たちが憲法を守る」という言葉、とてもいい言葉だと思いました。

ちょうど1年前、菅政権誕生直後、学術会議問題が発生しました。先日、学者の皆さんが記者会見されたという報道を見ました。日本学術会議の問題について、京都大学教授の高山佳奈子先生からアピールをいただきたいと思います。よろしくお願いします。

  • 高山佳奈子/京都大学教授:日本学術会議

京都大学の高山です。私は「安全保障関連法に反対する学者の会」の呼びかけ人ですが、日本学術会議の現役会員でもあります。

市民連合の政策提言の中に、学術会議の会員候補者の任命も含めていただいたこと、本当にありがとうございます。これは小さな問題のようですが民主主義の全体のあり方にも関わることですので、皆さんが取り組みを続けてくださっていることは本当にありがたいです。先ほど記者会見についてご紹介いただきました、学者の会のウェブサイトの最初に、声明と記者会見動画へのリンクがあります。さらに素晴らしい動画も公開されておりまして、こちらは佐藤学先生たちが作ってくださった「学問と表現の自由を守る会」の最初のオンラインシンポジウムで、「あれから1年――私達の自由は、そして社会は、日本学術会議問題とその後」というテーマですので、ぜひこちらをご覧いただければと思います。それから、デモクラシータイムスという動画のサイトに、佐藤学先生と池田香代子先生と私とで、「学術会議問題のその後」についての動画を公開しておりますので、そちらもご覧いただければと思います。紙媒体としましては、最近「法と民主主義」という雑誌に学術会議の連載記事がございまして、ちょうど1年なので、会員である高山の記事を、最新号に2ページだけですが載せております。

まず任命拒否の違法性について、おさらいの確認をいたします。日本学術会議は、法律によってその組織や成り立ちが決まっております。一般の省庁とか地方政府の審議会とは性質が違うものなんですね。日本学術会議法7条1項では、会員数は210人と決まっています。これは最高裁判所の裁判官の人数が15人というのと一緒です。だから、その人数を勝手に減らされている状態は、もう誰が見ても違法であるわけです。それと同時に、審議会の場合と違って、会員の選考権は日本学術会議だけが有していることも法律の17条で決まっています。会員の数が210人で、選考権は日本学術会議だけにあると書いてありますので、任命拒否が違法であるは明らかです。そこで、今、自民党が改革提案みたいなのを学術会議潰しのような方向で出してきていることに対して、私ども学術会議側としては一貫して任命を求めると言っております。

それから学術会議のあり方につきましては、春の総会の際に決定しました「日本学術会議のより良い役割発揮に向けて」という文書で、本来の国のアカデミーのあるべき姿についての情報発出をしております。今政権は、もうこの問題は終わったなどと言っていますが、それは法的に言えば完全に嘘です。岸田氏は、任命拒否は撤回しないという言い方をしていますが、任命拒否処分という処分は行われていません。推薦が行われてそれが放置されているだけです。ですから、この問題は法的には全く終わってない状態で、前官房長官が既に手続きは終了していると言っているのは嘘であることになります。いろんな市民団体、学術団体の方々が抗議の動きをしてくださっているのを追い風として、今私どもは任命拒否を受けた当事者の方、それから学術会議の会員、連携会員、さらにその外にいる法律家の方々と任命拒否について文書開示請求をしましたが、大事な部分が不開示でしたので、この不開示に対する不服審査請求を進めているところです。行政的にもさらに手続きがありますし、最終的には司法に訴えることも考えて進めていますので、皆さんどうか学術会議のことを民主主義に関わる重大な問題として覚えておいていただければと思います。

 

  • 司会(長尾)

高山先生、ありがとうございました。自公政権が専門家の専門性を重視していないことを端的に示す話だと思いますし、岸田首相に首相が交代しても何にも変わらないことを端的に示す話だと思います。ありがとうございました。

続きまして、武器取引反対ネットワークの杉原浩司さんにアピールをいただきたいと思います。市民連合の政策協定の第1項目目には、憲法に基づく政治の回復という項目を挙げています。この回復といったときに、既に憲法改悪されていると言ってもいいような防衛予算のアップは大事な問題だと思います。この問題について第一人者として取り組まれてきた杉原さん、ぜひよろしくお願いします。

 

  • 杉原浩司/武器取引反対ネットワーク(NAJAT)代表:防衛予算
    2022年度防衛予算概算要求5兆4797億円の最大の特徴は、「敵基地攻撃能力」保有の先取りであり

既成事実化です。敵基地攻撃が可能な長距離ミサイルを積める戦闘機F35A・Bの導入は、前年度の6機から12機へ倍増し、購入費だけで1300億円。三菱重工製の「12式地対艦誘導弾」の射程を当面900kmまで延ばし、艦艇や航空機からも撃てるようにする経費は379億円。また、高速滑空弾や極超音速ミサイル等の新型長距離ミサイルの開発経費が引き続き計上されています。

 こうした「専守防衛」を踏み破る憲法違反の武器導入は、のきなみ「島しょ防衛」を口実に正当化されています。もう一つの特徴は、武器の研究開発費の膨脹です。前年度から1141億円も増え、約1.5倍の3257億円を計上。武器の開発や輸出を担う防衛装備庁の大幅増員も要求されています。

 これらは、新たな武器開発のための日本版「軍産学複合体」作りを狙うものです。岸田新政権は「経済安全保障」を掲げ、担当大臣まで置きました。甘利自民党幹事長こそ、経済安保推進の中心人物です。この間、経済安保を煽ってきた兼原信克・元国家安全保障局次長は、日本学術会議を敵視しながら、「学術界に予算を付けても安全保障に貢献することはない。むしろ半導体育成のような産業政策にこそ予算を回すべき」と述べています。

 では、こうした動きに市民と立憲野党はどのように立ち向かうべきでしょうか。市民連合と野党の合意には、「平和憲法の精神に基づき、総合的な安全保障の手段を追求し、アジアにおける平和の創出のためにあらゆる外交努力を行う」とありますが、いかにも抽象的です。立憲民主党の総選挙公約には、「専守防衛に徹しつつ」とある一方で「抑止力を維持しつつ」ともあり、こちらもあいまいです。

 政権交代の暁に安全保障政策はどう変わるのでしょうか。3つの問いを投げかけます。南西諸島(琉球弧)への自衛隊配備は止まるのか。敵基地攻撃能力の保有は止まるのか。そして、武器輸出は止まるのか。いずれも、日本の「くにのかたち」に大きく関わり、東アジアの将来を左右する大問題です。

 立憲民主党は今なお、かつて民主党政権が決めたとして、「南西シフト」に賛成しています。私たちは10月6日、121団体が連名した「南西諸島への自衛隊配備の中止を総選挙公約に」との要請書を、枝野代表らの事務所に提出しました。島じまの人々を戦火にさらす沖縄戦を再来させてはなりません。来年3月半ばには、日本初の敵基地攻撃ミサイルとなるノルウェー製の長距離巡航ミサイル「JSM」が自衛隊に納入されます。敵基地攻撃能力の保有は、米国と共に先制攻撃を行える体制を作るものであり、能力の保有自体を拒否すべきです。緊張緩和と軍縮のために、米国の攻撃能力をも削減させるべきです。武器輸出については、イタリアに敗れたと見られていたインドネシア向けの三菱重工製の最新鋭護衛艦の輸出協議が、今も継続中との現地報道があります。露骨な攻撃型武器の輸出を許せば、歯止めはなくなります。

 かつての民主党政権は、南西シフトに舵を切っただけでなく、武器の国際共同開発を武器輸出三原則の例外とする大幅緩和や、南スーダンへの自衛隊派遣、ジブチへの史上初の海上自衛隊基地の建設などを行いました。その痛い教訓を、立憲民主党のみならず主権者自身がしっかりと振り返り、繰り返さないための議論をすべきではないでしょうか。

 アフガニスタンでの20年戦争からの米国の無惨な撤退は、「武力で平和はつくれない」ことを改めて明らかにしました。憲法9条を持つ日本こそが、戦争を廃絶する新しい時代を切り開くべきです。

 自公政権を倒すことは当然ですが、より豊かな政権交代を実現するために、市民と立憲野党が開かれた討論を行い、未来をしっかりと準備することが求められていると確信します。

 

  • 司会(長尾)

ありがとうございました。力で平和作れない、憲法9条を持ってる日本だからできることをしなければならない、そして、そのためにはやはり政党だけに任すのではなくて私達ももっともっと与党にはもちろんですけれど野党にもこういう政治を作ってほしいっていうことを伝えていくことが大事だと改めて思いました。

それでは、本日のアピールの最後になります。元文部科学事務次官の前川喜平さんにご発言をお願いします。立憲主義の危機について、前川さん、よろしくお願いします。

  • 前川喜平/元文部科学事務次官:立憲主義の危機
    岸田政権は第4次安倍政権あるいは安倍文雄政権と言ってもいいんじゃないでしょうか。新鮮味がない冷めたお好み焼き。トッピングは岸田文雄って名前だけれども、ひっくり返してみると本体部分は安倍・麻生。安倍さんの力で高市さんに集まった114票の国会議員票をもらったわけですから、彼ら戦前回帰勢力のくびきから逃れられない宿命があると思いますね。市民連合と野党4党の共通政策は与党に対する挑戦状、はっきりとした争点を提示しています。それを国民が選ぶのが今回の総選挙です。

安倍・菅政権は憲法をないがしろにし、立憲主義を破壊する政権でした。安全保障関連法は明らかな違憲立法でした。私は事務次官になる前でしたが、一個人一国民として「反対」の声を上げたいと思い、一度だけですが国会正門前の抗議デモに参加しました。安倍・菅政権は学術会議の会員任命拒否やあいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」への文化庁の補助金不交付など、恣意的な権力行使による学問の自由や表現の自由の侵害を大っぴらに行ってきました。これも立憲主義の危機です。

国政の私物化も立憲主義の破壊です。森友学園問題、加計学園問題、桜を見る会など。菅首相も自分のスポンサーの経済人を文化功労者にするという国政の私物化をしました。明らかに「全体の奉仕者」としての立場に背き「一部の奉仕者」に成り果てており、憲法15条第2項に明らかに反します。

「説明しない政府」も立憲主義に反します。安倍さんは桜を見る会で118回の虚偽答弁をした。森友学園問題では佐川氏などの財務官僚たちが139回虚偽答弁した。文書を廃棄したり改ざんしたりする。情報開示を請求すれば海苔弁のようなものしか出てこない。説明しない姿勢が際立っている。

そして権力の分立が危機に瀕している。安倍氏は「私は立法府の長だ」と口走ったことありますが、立法府が行政府に対するチェックの役割を果たしていない。それは与党の責任です。司法府も危うくなっている。最高裁判所の裁判官は、従来の慣例を破って政権に都合のいい人を任命してきた。

政府内で一定の独立性・自律性を持ち、権力の暴走を防止してきた組織も、次々と政治権力に支配されていった。内閣法制局は法の番人と言われ、長官は生え抜きの人がなるのが不文律でした。憲法解釈にも一貫性があり、集団的自衛権の行使は日本国憲法9条のもとでは認められないという確立した憲法解釈があった。それをひっくり返し、安保法制という違憲立法を認めた。内閣法制局が政治権力の支配に下ったのです。

検察庁や警察庁も政治権力から距離を置かなければならない行政機関です。そのため警察庁は国家公安委員会の管理のもとにあるわけですけど、今や完全に政権に従属している。今回警察庁長官になった中村格という人物は、伊藤詩織さんに性的暴行を加えた山口敬之氏への逮捕令状の執行を、おそらく官邸の意を汲んで止めた。そういう人物が警察庁長官になるという、ありえない人事が行われたわけです。

検察庁についても黒川氏という政権の意のままになる人を検事総長にしようとした。国家公務員法の解釈を曲げて黒川氏の定年延長を認めたのは、人事院も官邸の意のままになっているということです。

文部科学省も政治の言いなりになってはなりません。学術、教育、文化、宗教といった人間の精神的自由を侵害する権力の行使をしてはいけないからです。しかし「表現の不自由展・その後」に見られるように、文部行政が政治的な介入のもとに置かれている状況があります。

安倍・菅政権では権力が謙抑性を失い暴走しました。岸田政権はその本質を変えることはできないでしょう。トッピングは岸田内閣だけど、裏返せば安倍・麻生という名前の内閣ですから、立憲主義を破壊する体質を変えることはできない。これを変えるのは、やはり政権交代しかないと思います。

 

  • 司会(長尾)
    ありがとうございました。憲法は国家権力の暴走を止めるための大事な法律です。その国が助成金や人事を使って民間団体の介入してはいけない部分に関与していくこと国政の私物化、説明しない政府の問題、権力分流の危機などどれも憲法の下ではやってはいけないことであり、立憲主義に反することだというふうに改めて思いました。

これで今回のアピールはすべてとです。皆さまお忙しい中、専門分野から、また現実のリアルな現場から、本当に貴重なアピールを頂きありがとうございました。また、市民連合への温かい激励、また辛口の檄をありがとうございました。私達市民連合は、市民連合だけで野党とやりとりしているのではなく、今日ご発言いただいた皆さん、または時間の関係でご発言をいただけなかったけれど現場で頑張っている皆さん、また全国の市民連合の皆さん、そういったみなさんのご協力をいただき、野党と交渉して政策協定につなげています。

最後になります。市民連合より法政大学教授の山口二郎先生に、最後のまとめをお願いします。よろしくお願いします。

 

  • 山口二郎/法政大学教授(市民連合運営委員)

はい。皆さんこんばんは。今日は大変長い時間、このアピールをお聞きいただき、また発言をいただいた専門家、各分野の活動、運動をしている皆さんには本当に貴重なご意見、ご見解、ご提言をいただいて本当にありがとうございます。私も聞きながら、改めていろんなことを教えられまして、今日の参加者の皆様が出された論点、提案、本当に今度の総選挙で、政策の争点として議論をしていかなければいけないものばかりだなあと思いました。 

こういうテーマを本当に野党の皆さんにもぜひ届けたい、いい議論を深めたいと思っております。今長尾さんからもお話がありましたけれども、何とか野党が共通政策を持って小選挙区の候補者を一本化する努力が、かなり進んでいます。もちろん、いくつか調整がついてない、いささか正直面倒というか、難しい事例もありますけれども、全体としてみれば、289の小選挙区の半分以上の小選挙区で、野党候補が一本化されるという、そして有権者に対して、政府与党の継続か、野党連合かという選択肢を提示することができるようになった、これは本当に、大きな意味があると思います。これはやっぱりもちろん野党の指導者の皆さんの英断も大きいのですけども、本当に、各界、それから全国で今の政治を何とかしたいと熱望している皆さんの思いが、やはり野党をしてこういう大同結集に向け、決断させたというふうに私は考えております。本当に今までのいろんなサポートや激励に心から感謝をしたいと思います。

実は私、今日は午前中、ちょっと授業の合間、「MINAMATA」という話題の映画を見てまいりました。私自身も水俣に行って、川本輝夫さんという、映画では真田広之さんが演じている運動のリーダーの息子さんの話をゆっくり聞くことができました。改めて映画を見て、何の落ち度もない本当に罪のない人々が、一企業のわがままで大きな損害というか、人間としての尊厳を奪われる、命を奪われるという被害を受けたんだ、そして自分たちの尊厳を回復するために戦ったんだということを噛み締めておりました。つくづく日本という国は変わらないな、変わってないな、水俣という問題がありながら、福島原発事故、今度はコロナにおける自宅療養という名の放置、ことごとく政治の無責任に、人間の尊厳や人間の命が翻弄されているということの繰り返しだなあと、ある意味情けないと思いました。 

しかし、嘆くばかりではだめです。私達がそれを変えるしかない。例えば水俣病の患者の皆さんは本当に困難な状況の中で偏見にもさらされながら、自らを解放するために戦ったわけですね。私達には、選挙、投票という武器があるわけでありまして、もっともっと戦いやすい状況の中で、これから戦いを迎えるわけであります。いろんなテーマがありますけれども、強いもの、あるいは権力を持っているものの、わがままのために人間を犠牲にしてきた、今までの日本の歩みをともかく転換させるということ、これが今回の選挙のテーマだなと私は考えております。

これからいよいよ選挙の本番を迎えるわけでありまして、皆さんの引き続きの応援、ご奮闘によって、何とか野党共闘の成果を議席という形で表すべく、さらに努力をしていきたいと思いますので、引き続き共に戦ってまいりたい、よろしくお願いしたいと思います。どうも今日はありがとうございました。

 

以上

10.8アピール