政権交代で高齢者介護の充実を
政権交代で高齢者介護の充実を
―介護現場から、7団体の要請-
介護の現場が野党共闘に期待する理由
少子超高齢社会がピークを迎える2025年までの4年間は、このたびの衆議院議員選挙で選ばれた議員任期に重なります。私たち7団体は山積する超高齢社会の課題にまともに向き合う政権を誕生させられるか、これまでのように「まずは自助」と言ってはばからない政権のままなのか、分かれ目になる重要な選挙になると考えております。立憲野党はこの選挙の政策に、ぜひとも介護の問題を取り入れ、命を守る政権を目指していただきたいと心から願います。
8月27日、私たちは「介護に光を!7団体による政党懇談会」を開催し、立憲民主党、日本共産党、国民民主党、社会民主党、れいわ新選組の議員の皆さん(予定候補者、議員秘書含む。自公、維新は声をかけたが参加されず)と懇談しました。そのとき提出した要望項目は以下の通りです。
①安心して介護サービスを提供できるよう新型コロナウイルス感染症対策を強化すること
②介護保険料・利用料負担の軽減やサービスの拡充など介護保険制度の抜本的な改善を行うこと
③すべての介護従事者の給与を全産業平均水準まで引き上げること。その財源は全額公費負担でまかなうこと
④介護保険財政における国庫負担割合を大幅に引き上げること
どれも待ったなしの課題です。現政権は、「高齢者ばかりに支援が偏在」と介護保険制度を攻撃し、世代間対立を煽り、「全世代型社会保障」を掲げて、あたかもすべての人々に社会保障がいきわたるかのような幻想をふりまきます。けれども、介護保険前の老人福祉サービスにかかる国負担は2.3兆円でしたが、現在介護保険に国が支出している額は3.2兆円にすぎません。13兆円になる介護保険財政の4分の1だけの負担なのですから。そして介護保険財政を赤字にした地方自治体は全国でも数か所にすぎないのです。にもかかわらず、「制度の持続可能性」を理由に、介護保険料や利用料負担を増やし、サービス利用を抑制してきました。「全世代型社会保障」でも同じことをするに違いありません。
格差と分断、孤立がコロナ禍でいっそう広がりました。自粛を求められてマジメに従ってきた高齢者は孤立を深め、身体機能、認知機能の低下を招いています。コロナ禍で大きく開いた傷口を致命傷にしないためには、政治を、政権を変えることしかないと私たちは確信しています。高齢化率が3割近く、その半数以上が75才である日本社会は、支援を求める人々が「少数者」ではない社会です。介護サービスを細らせれば現役世代や子どもにも大きな影響を及ぼすことは、介護離職やヤングケアラーの増加が示しています。まさに「全世代」にダメージを与えます。
介護サービスの現場は、介護保険スタート以来21年間、改悪の一途をたどった制度のもとで厳しい状況に置かれてきました。そこにコロナ禍です。慢性的な職員不足、低い報酬が原因の経営難などなど、ギリギリの運営を強いられてきましたからたまりません。感染が出た場合は休止、予防のために、体力がない中小の介護サービス事業所の倒産閉鎖を招き、現場の職員は長引く感染蔓延に疲れ果てています。ただでも人手不足の中、介護施設でのコロナ感染者は医療機関への搬送もできない中で必死の看病を行った施設の職員は「地獄のような日々だった」と言います。介護施設のPCR検査が始まったのは第三波が終わった今年冬ころからで、ワクチン接種は施設職員はその後優先されました。けれども在宅介護従事者には公的な検査もなく、ワクチン接種は「感染者や濃厚接触者の介護を継続する」という条件が付き、多くは一般の人々と同じ時期の接種になっています。にもかかわらず、要介護利用者の接種支援は訪問介護に求めています。
介護保険の改悪は高齢者の生活を直撃し、要介護高齢者の生活を守れないほどになっています。比較的低額で入所できた特別養護老人ホームは、要介護3以上でなければ原則申し込みもできず、8月から介護施設の食費や室料の負担が上げられました。在宅介護は、訪問介護のヘルパーが減少の一途で、すでにケアプランどおりに訪問介護を入れることができないという状況が始まっています。
介護保険の現状は「在宅孤立死」の増加が心配な制度崩壊の崖っぷちです。私たちは、皆さんが望む最期を支えたい。立憲野党の皆さんは、これまでずっと介護保険の改悪に反対を表明してこられました。今回の選挙で「公的介護の充実」を政策にかかげてたたかってください。公的責任をないがしろにしてきた今の政権に任せておくことはできません。政権交代が介護保険制度を救う道です。
2021年9月21日
公益社団法人認知症の人と家族の会
21世紀・老人福祉の向上をめざす施設連絡会
いのちと暮らしを脅かす安全保障関連法に反対する医療・介護・福祉の会
守ろう!介護保険制度・市民の会
全国労働組合総連合
全日本民主医療機関連合会
中央社会保障推進協議会