コラム

September-14-2021

国民民主党・矢田わか子参議院議員インタビュー @9月2日参議院議員会館

2021衆院選 政党紹介インタビュー(第5回)


2021衆議院選挙に向けて、野党各党に「政党紹介インタビュー」を企画・連載します。第5回目は国民民主党・矢田わか子参議院議員です。インタビュアーは菱山南帆子さん(市民運動家)にお願いしました。


 

プロフィール


矢田わか子

参議院議員。国民民主党副代表、両院議員総会長、男女共同参画推進本部長。内閣委員会理事、予算委員会、憲法審査会幹事。大阪市出身。1984年松下電器産業株式会社〔現パナソニック株式会社〕入社。1990年AVC社AV本部人事部女性活用担当。2006年松下電器産業労働組合連合会中央執行委員。2014年パナソニックグループ労働組合連合会副中央執行委員長。電機連合男女平等政策委員長。2016年第24回参議院議員選挙にて初当選(比例区)。

菱山南帆子

1989年生まれ。イラク反戦から市民運動を開始、当時13歳。市民運動家、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会、憲法9条壊すな!実行委員会、許すな!憲法改悪市民連絡会事務局次長、市民連合などのメンバー。著書「嵐を呼ぶ少女と呼ばれて~市民運動という生き方」(はるか書房)。現在は福祉施設で働きながら市民運動を行う。


菱山 矢田さんには女性の相談会の報告会などでお世話になり、大変心強く思っています。長引くコロナ禍の中で女性の貧困率、失業率が増え、さらに自死まで至ってしまう現状があります。その背景には構造的な差別や性差別等の問題があると思い何とかしたいです。

矢田 私は以前、パナソニック株式会社に30年勤務しておりました。当時私は高卒で入社し、大学には行っておりませんでした。その背景には私の家庭が貧困であったという事情があります。当時は私の家庭のような社会的弱者は、進学に対して国の援助や公共の助けが受けられるといったような情報自体も得られず、働かなければ食べていけなかった時代ゆえに進学も諦めざるを得なかったからです。

入社に際して、まず雇用の場での格差というものに直面しました。当時は雇用機会均等法もなかった時代ですので、圧倒的に女性は男性の補助職という役割を担っていました。私は電話交換職から始まり、そこから様々なチャンスを得て総務部や人事部に移動していきましたが、自分の中には貧困問題というものが常にありました。

それゆえに、当時の私のような状況におられる方に何らかの援助をしていかなければならないと思い、労働組合の役員になり、のちに参院議員の選挙に出てきたという経緯があります。振り返ってみると、一般的には大企業とされる場所で働いてきましたし、社内には圧倒的弱者のような人はいませんでした。組合活動をしている中でも、ある程度の賃金が確保されている中での話し合いが前提としてありましたが、国会で活動するにあたり、世の中にはこんなにも困窮されている方々がおられる現実を知りました。

ご質問にお答えするとすれば、私はその問題について3つの課題があると思っています。一つは女性の就労問題で、女性は未だに圧倒的に脆弱な労働基盤の中におかれていると思います。コロナ禍でそういった面が露呈したとも言えます。非正規雇用の方が60%近くいるこの世の中でそれを選択せざるを得なかった方々がいることも確かですが、その背景には、日本政府の置き去りにされている課題、いわゆる第3号被保険者制度にみられる専業主婦の課題です。専業主婦になって、夫の被保険者になり生活していくということを選択した女性は多くいると思います。ところが離婚した後、正社員に復帰することができずに非正規雇用で否応なく働いている方もいます。これは女性の就労問題において一番大きな課題であると思っています。コロナ禍で就労の場がなくなったという方は圧倒的に非正規雇用の方が多く、実質的に失業状態にある方々も90万人おられるという発表もありました。

二つ目の課題は、子育てをしている家庭に対する風当たり、特にシングルマザーの家庭に対する差別の問題です。データを参照したところ、失業後に再就職ができたという方の中で最もその比率が低かったのがシングルマザーの方々でした。現在、2学期が始まり子供の感染率が一か月前の6倍となっています。今までは子供の感染率または発症率は低いと言われてきましたが、水疱瘡の感染拡大のような状況となっており子供がいる家庭への手当てが薄いと感じています。  

三つ目の課題は、コロナ禍においてソーシャルディスタンスが掲げられるようになりましたが、心のディスタンスと言いますか、女性の方々の孤独感、孤立感が増幅していることです。

DV相談も前年度の1.7倍届いています。家庭にいる男性が昨今の状況で仕事が上手くいかないストレスや怒りを募らせ、矛先がパートナーに向かってしまうのでしょう。そういう時はより弱い者へ矛先が向かってしまうものですから。

菱山 DVの問題について女性は圧倒的に被害を被る側であるというのは、身体の作りであったり、社会的な立場であったり様々な性差別が背景にあると思います。そこで国会が性差別を撤廃するような枠組みや制度を作っていかなければならないはずですが、現状ではそういった問題に着手する女性の議員自体がかなり少ないです。そんな中で矢田さんは国会の中で感じる差別のようなものはありますか。

矢田 国会において女性議員は圧倒的にマイノリティーで、衆議院では9.9%、参議院では23%の割合です。私は人事部で働いていた時に、男女差別を是正する仕事をしておりました。女性能力開発室という名前で、今で言う女性活躍室のようなところです。そこでは女性が管理職になるためのサポートをしていました。組合の方でも男女平等政策委員長というものをしており、長らくジェンダーの問題に携わってまいりましたが、そんな中で体質が一番古いのが政治の世界です。なぜなら政治家には定年退職が存在せず、年齢を重ねるごとにその人の発言力は増していき、またそういった方々の意識というものはなかなか変わりません。若い議員や女性議員の意見を耳に入れない姿勢というものを雰囲気で感じます。

菱山 世界に目を向けると、女性で若くして首相になられた方もおられますね。議会内の世代の交代が起こらないということは、既存の価値観ややり方が変わりにくいということですよね。新しい考え方ややり方を取り入れていかないと組織は前進していかないと思います。

矢田 そこで先の通常国会で、「政治分野における男女共同参画推進法」という男女雇用機会均等法の政治版と呼ばれるものを改正しました。私は現在、超党派の男女共同参画推進議員連盟の事務局長をやらせて頂いており、女性参政権成立75周年の今年に必ず改正するという意気込みで進めていきました。今回改正したことで、女性議員を増やしていく目標等を定めていかねばならないと思っています。その中の一つのキーワードとしてセクハラ問題があります。選挙活動中にセクハラにあったという女性議員の方が多くいます。例えば、連絡先を教えてくれたら票を入れるなどといった有権者の方の発言です。

菱山 票ハラですね!そういった有権者の方が多くいる現実は大変残念です。女性の議員や候補者であるゆえに心無い性差別発言にさらされ、立候補することをやめてしまう方もいます。そんな中、もし女性議員の割合が増えていき、男性議員と同じような割合になっていったとしたら、国会内や社会はどう変わっていくと思いますか。

矢田 現在日本はジェンダーギャップ指数が世界で120位です。より細かく分類すると、政治分野が147位で経済分野が117位となっています。この事から分かるのは、物事の決定権を持つ分野に女性の割合が圧倒的に少ないということです。このため、なかなか社会が変わっていかないのだろうと思います。政治の分野においては、法律を変える場面に女性たちの参加が少ないわけなので、私たちが日頃課題だと感じていること、当たり前であるべきことを当たり前にするということができない。例えば選択的夫婦別姓の問題や性暴力被害の問題です。そういった問題に圧倒的な当事者意識を持って取り組むため、女性がより参画できるようになれば加速度的に物事が変わっていくと思います。

菱山 選択的夫婦別姓の問題については、男性側が圧倒的に苗字を変えない人が多いため、女性側の苦労が分からないということはよく言われていますね。

矢田 また別の課題としては、妊婦の問題等を取り扱って様々な制度を作りました。このコロナ禍において妊婦の方々は通勤の際の満員電車での感染を恐れています。加えて女性の職場はサービス業が多く、人と対面して会話する機会が多く、そこでそういった妊婦の方に対する休業補償制度等を作りサポートしています。母子手帳の中には母子健康措置カードというものが入っており、母体に何か起こった時は特別な措置を受けられるようになっています。具体的には、休憩時間の延長や時差通勤の許可等の措置が受けられます。また、休業が必要な場合は休業補償が受けられます。こういった制度確立に取り組めたのも当事者としての経験があったからだと思っています。

昨今では保育園等の休園により働きに出ることができない母親への休業補償制度も作られました。しかしそれは事業主経由の制度であるため、なかなか国からの補助金が下りませんでした。私はその件について10回内閣委員会と予算委員会に申し立てをし、最近、ようやく個人申請ができるようになりました。

 この制度は今年の3月に終了しましたが、昨今の子供の感染率の上昇を鑑み、補償額を元の規模に戻すように要望を出したところ、8月からを対象に制度が復活しました。さらに中学生の感染も昨今では深刻化していることから、そういった子を持つ家庭への支援策にも着手しています。

菱山 当事者の状況が想像できるというのは男性議員の方との大きな違いかもしれませんね。

矢田 市民の方へはLINE等で話を聞き、様々な悩みの情報収集をしています。そういった情報を持って厚労省へ働きかけができる機動性の高さが私の強みではないかと思います。

菱山 市民との相互通行ができるというのは、国会内外の風通しの良さにつながりますね。

今回こういった様々なお話をしてきた中で、風通しが悪く、コロナ対策も動きが遅い自公政権に対して、矢田さん達の政党が異なる点をお聞かせ願えますか。

矢田 自公政権の中にも心ある方はいるし、政策等についてしっかりやっていこうとしている人はいると思います。しかし組織内のヒエラルキーがあまりにも厳しすぎて、上に対して忖度している点が最も私たちと異なると思います。かつては、政治家の方々はしっかり政治をしてくれていると思っていましたが、実態は想像とは大きく異なり、そのギャップに驚いています。私は一般の方々の声を国会に反映したいと思い活動しているので、様々な方々の声に耳を傾け、そこから得た問題を自公政権の方々に突きつけるという役割を担っていかねばならないと思っています。

菱山 最後の質問となりますが、国民民主党に投票したら世の中はこう変わるよ!というメッセージをお願いします。

矢田 国民民主党は現在議員が20人しかいない小さな政党なのですが、私たちの理念は正直な政治、嘘をつかない政治です。嘘や利権が絡む政治は国民への裏切りだと考えています。そして偏らない政治、現実的な政治というものを謳っています。偏らないというのは右でも左でもない、是々非々とも言いますが、政府がやっていることに対して良いことには良いと言うし、ダメなものはダメと言う政治のスタイルです。現実的な政治というのは、絵に描いた餅のようなことを言っていても実現しないことというのは多くあるので、私たちは現実的に見て実現可能な政策等を提案していく政党としてロードマップを描きながら政治を導いていこうとしています。妊婦の政策などあまり知られてはいませんが実現した政策はいくつもあります。一見些細なことのように思えますが、当事者にとっては大きな問題です。これを丁寧に拾い上げて対策を練り、それを実現させていくというのが私たちの強みであると言えます。

菱山 今日はありがとうございました。