コラム

September-07-2021

日本共産党・田村智子参議院議員インタビュー @8月26日参議院議員会館

2021衆院選 政党紹介インタビュー(第4回)


2021衆議院選挙に向けて、野党各党に「政党紹介インタビュー」を企画・連載します。第4回目は日本共産党・田村智子参議院議員です。インタビュアーは菱山南帆子さん(市民運動家)にお願いしました。


 

プロフィール


田村智子

参議院議員。日本共産党副委員長、政策委員長。1965年長野県小諸市生まれ。早稲田大学第一文学部入学、学費値上げ問題、核兵器廃絶運動などで学生の声を代表する論陣を張る。国会議員秘書などを経て2010年の参議院選挙で初当選。2019年「桜を見る会」について安倍晋三首相・当時を質し、社会問題化させた。2021年の予算委員会で、コロナ禍で女性に困難をもたらすジェンダーギャップを当たり前とする社会の構造的矛盾を変えるため、政策の根本的転換を求めた。

菱山南帆子

1989年生まれ。イラク反戦から市民運動を開始、当時13歳。市民運動家、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会、憲法9条壊すな!実行委員会、許すな!憲法改悪市民連絡会事務局次長、市民連合などのメンバー。著書「嵐を呼ぶ少女と呼ばれて~市民運動という生き方」(はるか書房)。現在は福祉施設で働きながら市民運動を行う。


 

菱山 コロナ渦において女性の貧困や性暴力など深刻な問題が広がっています。なぜコロナ渦でこういった女性問題が深刻になっているのでしょうか。

田村 昨年一回目の緊急事態宣言で、女性が多く関わっている飲食・観光・小売・サービス業などで従業員数が激減しました。生活の糧をいきなり失ってしまったことが大きいと思います。

また生活相談の現場からは、女性が生活保護の申請に行くと、生活保護申請の窓口で「女だったら稼ぐ方法はいろいろあるよね」などと言われたことが報告されていますが、食うのに困ったら女性の尊厳が踏みにじられるような働き方をしても仕方がないという考えが、日本の風潮としてあるのだと感じます。歴史的に、貧困に陥ったら「女性は女性の稼ぎ方がある」という考え方があったし、それは今日にも繋がっていて、少なくない女性が「助けて」と言い難い深刻な状況にあると思います。

菱山 立川で、風俗で働かれていた女性が殺された事件でも、ネット上で風俗嬢なら何をしてもいいというコメントを多く見かけ驚きました。女性のこととなると途端にとても軽く扱われていると感じます。

田村 そうですね。賃金格差などの経済的な問題だけでなく、社会の根っこに女性差別が克服されていないと思えます。10代の女性から中絶の相談が増えているとの指摘もあります。性教育の課題もありますが、予期せぬ妊娠を女性ばかりが責任を負わされている、本来、保護と支援が必要な女性が重い責任を担わされているのが現実です。女性の人権が軽んじられているし、ジェンダー不平等社会のなかで女性もそれを受け入れざるをえない、本当はおかしいと思いながら、女性もわきまえちゃっていたと思います。

けれどコロナ渦で、その苦しい現状が膨れ上がって、森さんの女性軽視発言などをきっかけに一気に噴出し、世の中を動かしたというところまできたのは凄いと思います。

森さん辞任後に、今度は、20代の女性たちが「生理用品が買えない」実態を告発し、各地の地方選挙や地方議会で「学校に生理用品を」と求めて実現しています。街頭演説で「生理」が語られる、私も衝撃を受けました。さらに今年の通常国会では、中絶についても、心身に苦痛を与える手法ではなく、経口中絶薬を女性が選択できるようにという質問が、相次いだのです。中絶は「罪」という考え方ではなく、女性の人生設計や健康の権利の問題として考えようという議論は、とても重要だと思います。

菱山 確かに、女性の身体についてみんなでしっかり話し合いができるようになったというのは大きな変化だと思います。

田村 構造的な女性差別があぶり出されているので、今は一気に社会の構造を変えようというムーブメントになっていることに私は希望を見出しています。とくに若い世代の女性が、当たり前を問い直す立場で訴えてくれているというのはとても効果が大きいと思っています。

今までは変だと思っても「わきまえる」ような風潮を、女性自らが問い直す、ちゃんと市民が声を上げて運動をすることで、国会でも議論が前に進むようになっていますから。

菱山 田村さんは国会内で女性差別を受けたり、感じたことはありますか?

田村 国会運営に関わる要職、委員長や理事などは、女性議員を就けないというやり方が、特に与党の中には強く感じます。議員の絶対数が少ないだけでなく、要職に就けない。段々、変わってきてはいますが。

菱山 日本共産党は女性の議員がほかの党と比べて多いと思いますが、やはり女性が立ち上がりやすいよう選挙活動で工夫されていることがあるのでしょうか?

田村 努力の過程ではありますが、女性候補者を組織的に支えていることが大きいと思います。活動するにあたっての悩みなども率直に出してもらえるように、そして候補者だけが頑張るのではなく、党員がみんなで選挙をたたかうということですね。

菱山 やはり組織の理解は大きいですよね。

田村 それから前回の参院選では、政治分野における男女共同参画推進法の成立直後で、候補者の半数を女性にすると決断したのが大きいと思います。また時を同じくして#MeTooやフラワーデモの運動が広がったことで、声をあげる女性たちから学び、あらためてジェンダー平等を党の活動方針に位置づけ直したことが大きいです。

男性ももちろんジェンダー平等に取り組んではいますが、女性であるがゆえに受け入れてきた苦しみをとりのぞいていこうというときに、当事者たる女性が政治の分野にいなければならないというように党の認識が変わっていったということです。

菱山 女性が政治の場に出ていこうというような風土になり始めていますが、まだまだ私たちの市民運動の中でもとりあえず形として女性を前に出しておけばいいやという空気があり、根本的な解決になっていないと思っています。

田村 そうですね。私は女性の議員を増やそうという国会内外の議論に何度も参加してきました。そこで一番違和感を覚えたのが、候補者や政治家になれるように女性をどう育てるか、という議論なんです。社会のジェンダー平等を実現するためには、苦しみを受け入れてきた女性が議会にいなければだめだ、そしてそういう運動をしていきた女性は、これまでにもたくさんいます。そういう女性を政党が決意をもって党に迎え入れているのかが問われると思ったのです。

なぜ議会のジェンダー平等が必要なのか、それはジェンダー平等社会への変革の力だから、このそもそもの議論が抜け落ちている。そういう意味では、社会の変革を望んでいない政党に女性議員を増やしてもらうというのは無理だと私は思います。

菱山 この前の都議選でも女性立候補者が多く当選しました。国会でも女性議員が増えていったら政治は良い方向に変わると思うのですがどうでしょうか。

田村 日本共産党は都議会で女性議員数トップ、党議員だの7割超が女性です。その一人、米倉春奈さんに聞いたのですが、女性が多いと意見が言いやすいと言っていました。私はなるほどそういう環境があるからこそ、米倉さんが痴漢の問題を議会で質問するということもできたのかと思いました。彼女は4年前に最年少で都議会議員になって、若い世代、特に女性の声を代弁しようという決意をもって議員活動をしてきたといいます。それでも「痴漢ゼロ」という質問は、私も誰に何を求める質問にすればいいのかとまず考えてしまう。そういう新しい課題でも率直に「こういう質問をやりたい」と言える、そしてみんなで「こうしたら」「ああしたら」と言い合える、これは「わきまえる」の反対で、なるほど党都議団の特質だろうと思います。慣習に捕らわれない柔軟性のある議会活動を展開したいですよね。

菱山 おお!意見が言いやすい!素晴らしい環境ですね。本来はなんでも言える環境が当たり前でなければならないですよね。

田村 議会の環境ということ思い出したことがあるのですが、私がテレビ中継の予算委員会に初めて立ったのは2011年でした。日産自動車の非正規問題を取り上げたのですが、その時に問題を持ち込んでくれた労働組合の人に、この問題の渦中にある非正規の労働者のなかで女性の割合はどのくらいですかと聞いたら、全員だと言うのです。私はこれを非正規切りというだけでなく、女性問題としての切り口で質問したのですね。しかしその時の予算委員会は、共産党の議席は1つだけ、新人の共産党の女性議員が「女性差別、女性差別」と騒いでいるという冷ややかな雰囲気があったのを肌で感じましたね。

今はそうはならないと思いますが。予算委員会は特に女性の委員が少なかった。委員会にもっと女性がいればその時であっても空気はだいぶ違ったのではと思いますね。

菱山 空気を変えていかなくてはですね。でも自公政権ではきっと変わらないので政権自体を変えるしかないですね。さて、自公政権のここが決定的にだめということをお聞きしたいです。

田村 国民とのコミュニケーションをとろうとしなくなったことが最悪ですよね。「モリカケ・桜問題」で国民が疑問に思っているのに無理やり蓋をしてしまった、これは、今のコロナ問題での「説明出来ない内閣」につながっています。

菱山 自公政権の性差別とか命に関する姿勢はどうしてこんなに軽いのでしょうか。

田村 コロナ禍で、命と暮らしは政治に直結していることを多くの市民が気づいている。こうした世の中のムーブメントから、自民・公明政権がとり残されているうえに、これまでの政治を変えるつもりもない、それが命を軽んじる姿勢として表れていると思います。

政策的に言うと社会保障予算を増やしてはいけないという呪縛に囚われている。医療機関の減収補填をどんなに要求してもやらない。自民党は人口減少のもと病院は減っていって、淘汰されていってもいいと思っているのです。中小企業や小規模事業者も同じです。日本共産党は経済の担い手がむしろ中小企業だから事業継続への補償を求めていますが、自公は耐えきれない中小企業は淘汰されてよいという弱肉強食の考え方なのですよね。そういった考え方が結果として命を軽んずるということに繋がっているのだと思います。

菱山 なるほど、「淘汰の理論」、その通りですね。自公政権の淘汰の理論がもっと伝われば、コロナ対策は自公政権ではできないんだという認識も広がっていくと思います。

田村 多くの国民から求められているところが全然違いますね。観光業にしたってGOTOは完全に失敗で、観光客でなく直接的に損害を被っている事業者に支援してよということだったのです。

菱山 完全にずれてますね。

田村 そもそもコロナ渦で旅行に行くべき状況じゃないですからね。

菱山 最後に、私たちに投票したらこんな未来に変わるよ!というメッセージをお願いします。

田村 学費の大幅な値下げとか、生活が困窮しているところに対する給付の制度であるとか、コロナの下で野党が共同で出した法案があるので、市民のみなさんを支えていける政府にします。こういう災害と言われるときですから、臨時的に金銭的な支援をするしかないんですよ、実際に30何兆円残っていますから。私たちに投票すれば、学生の金銭的な支援であるとか、国民に対する給付金であるとか、事業者への家賃の肩代わりであるとか、減少補填としての観光業は客に対してではなく事業者に対して行うとか、コロナの対策として経済的な支援をすぐにやります。

それから医療も、公立病院の継続とか、ケアの分野で働く人たちの待遇を抜本的に変えます。ケアワーカーの賃金を上げれば、ケアワーカーには女性が多いので必然と女性の賃金はかなり上がると思います。女性の低賃金問題の改革に関しては、野党は共通の認識でやってきましたが、賃金を上げることで働く女性の専門性や経験を公正に評価する社会に自ずとなっていくと思います。またジェンダー平等が進むと大きな社会変革に繋がると思います。

菱山 こういった問題を変えていくためには根本的に政権交代をしていくしかないですね。

田村 ジェンダー平等に象徴されていますが、与党は変革するつもりがないですよ。ジェンダー平等というのは社会全体を変えていくうえで、ひとつ大きなキーワードとなると思います。そこに真剣に取り組むというだけで見える景色が変わってくると思います。

菱山 ありがとうございました。