声明

新型コロナウイルス対策の立て直しのための政治の責務に関する声明

 東京オリンピックの開催は新型コロナウイルス感染を大きく広げるという専門家の警告を無視して、菅義偉内閣はオリンピックを強行開催した。開会式から2週間たとうとする今、東京都の新規感染者は5千人を超える深刻な事態となった。

 8月2日、政府は「中等症以下の感染者は自宅療養」という方針を公表した。これは、国民の生命を守ることについて責任を放棄するという極めて無責任な政策である。しかも、世論や与野党の批判に答える中で、この方針転換には専門家の知見が反映されていないことを政府自身が明らかにした。もはや、菅内閣の失政が医療崩壊をもたらしたのであり、この政権は政府の体をなしていないというしかない惨状である。

 国会では、閉会中審査によって現状の把握と政策の検証が行われているが、国会がこの危機に対して十分役割を果たしているとは言えない。国民の生命を守るためには、臨時国会を速やかに召集し、医療体制の整備、雇用と企業経営を持続するための財政支出のために法整備、予算見直しに取り組む必要がある。

自民党内でも、ポスト菅をめぐる動きが始まると伝えられているが、安倍、菅政治の根本的な転換なしに、政権のたらいまわしをするだけでは、コロナ危機を打開することはできない。誠実で責任感のある政権を新たに樹立することの必要性は一層高まっている。10月までに行われる衆議院総選挙において、立憲野党には、政党の組み合わせをめぐる内向きの議論を脱却し、政権構想を打ち出し、国民の不安を解消し、生命と生活を守る道筋を示すことを求めたい。

 

2021年8月6日