地域から

市民連合@みやぎ 2019~2020年の活動報告

2019年参院選を契機に「市民連合@みやぎ」立ち上げ

宮城は、2016年参院選、2017年仙台市長選で、野党統一候補を擁立し自民党候補をやぶった実績を持ち、県内には野党共闘の基盤がありましたが、「市民連合@みやぎ」が立ち上がったのは、2019年の参院選が契機でした。選挙の60日前に名乗りを上げた新人・石垣のり子さんが、祖父の代から60年続く世襲3代目の自民現職を破ったこの選挙で、私たちは「市民と野党の共闘」の力を実感しました。野党が共闘を結んで自民党との一騎打ちの構図をつくり、それをリベラル派市民が大きく取り囲むことによって「共闘効果」が生まれ、政党支持票・組織票では敵わない相手にも勝つことができるという体験です。

市議選、県議選を闘い、来たる衆院選へ

2019年8月の仙台市議選、10月の宮城県議選で野党候補を応援し、ともに闘うことで野党の地方議員との絆をも強めた私たち市民連合みやぎは、県議選後すぐに、来たる衆議院選挙へ向けた討議を開始し、史上初めて衆院選の小選挙区で「市民と野党の共闘」の実現を目指すことを確認し合いました。
私たちが立てた基本戦略は、①宮城1区~6区まですべての選挙区で野党候補を一本化し選挙共闘を実現させること。②その際には、”本気の共闘”をやるために、政党間の互恵関係を県内で成立させること。③その上で市民連合みやぎが野党統一候補と政策協定を結び、「市民と野党の共闘候補」として押し出すこと。④各選挙区の共闘候補を応援する市民のプラットフォームとして、選挙区ごとの市民連合(連絡会)の形成を目指すこと、でした。
この路線に沿って、衆院選の野党候補の一本化さらに野党統一候補の擁立を促すべく、2019年暮れより、立憲民主党宮城県連、日本共産党宮城県委員会など県内野党の幹部との懇談を重ねていきました。

2020年の活動を街頭宣伝からスタート

2020年は、1月5日の市民連合みやぎ呼びかけによる市民と野党議員合同の街頭宣伝から活動を開始しました。国会では野党が共同して「桜を見る会」問題で安倍首相を追及している最中であり、野党の国会議員、県会議員、市会議員が揃って仙台の繁華街に並び、各野党ののぼり旗が立つ前でリレースピーチをする姿は、街行く市民の大きな注目を集めました。この市民と野党議員合同の街頭宣伝は、コロナ禍によって3月中旬~5月中旬までは中断しましたが、毎月2回程度、約50人が参加する大宣伝として定着し、現在も継続されています。

コロナ禍の中のオンライン政策討議

もうひとつ私たちが力を入れて取り組んできたのは、「共通政策」づくりです。
コロナ禍でリアルの集会や会議が開けない中、5月~6月には、Zoomによるオンライン意見交換会を4回にわたって開催しました。毎回、「子どもと教育」「暮らしと生業」「医療・福祉・介護」とテーマ設定し、コロナ禍の中それぞれの現場で苦闘している当事者(=エッセンシャルワーカー)の方々から報告を聴き、市民連合みやぎメンバーと野党議員あわせて30人程の参加者で意見交換を行いました。今求められるコロナ対策、さらにはポストコロナ社会の政策づくりへ向けて共通認識を作ろうという試みでした。

7.11市民集会の開催で「市民と野党の共闘」の機運を再び

Zoomによる会議は開催していたものの、やはりコロナ禍によって、衆院選へ向けた野党と市民連合みやぎとの懇談や野党間協議は中断を余儀なくされていました。なんとかもう一度、野党共闘の機運を盛り上げなければならないと、コロナ感染の第一波がやや沈静化した7月11日、久々のリアル集会として「市民と野党の共闘でポストコロナの新しい政治を!7.11市民集会」を開催しました。マスク、手指消毒、検温などコロナ感染対策を万全にする中、500人収容の会場に限度ギリギリの250人が参加しました。
第一部では宮城の野党重鎮である安住淳氏が「これからの野党共闘と政策課題」と題してリモート講演。第二部では、立憲、国民、共産、社民の4野党の県トップが揃って壇上に上がり、同テーマでクロストークを繰り広げました。
市民連合ホームページに本集会の記事があり、動画リンクが張られていますので、ぜひご覧ください。

すべての選挙区に市民連合(連絡会)の結成を!

7.11集会の成功で再び野党共闘の機運を盛り上げる一方、県内の各地域(各市区町村)に「市民連合」を立ち上げ、それらが宮城1区から6区まで小選挙区ごとに連携するための「連絡会」を形成することを目指しました。言わば、「市民と野党の共闘」候補を支持し支援する、市民の側の「受け皿組織」を準備するということです。
宮城には、県内各地(各市区町村)の市民運動、住民運動、労働運動等、粘り強い取り組みの蓄積があり、それぞれの特徴ある歴史があります。その歩みをリスペクトし合い、一人ひとりが主体性を発揮しながら、来たる衆院選へ向けて市民の側から大同団結の旗を立てることを目指しました。
具体的には、重点選挙区を仙台都市部である宮城1区、2区(いずれも前回は自民に惜敗した)と定め、ここで各行政区の市民連合(ないし市民連合に相当する市民団体)が「市民連合1区連絡会」「市民連合2区連絡会」を形成しました。さらに、ここで政党間の互恵関係を成立させたいと考えている宮城4区の市町村での市民連合結成、そして4区連絡会形成を目指して活動しています。

9.12政策討論集会の開催、政策要望書「宮城版」へ

共通政策づくりの方は、市民連合が発表した「立憲野党の政策に対する市民連合の要望書」を土台に、それに宮城の地域課題を盛り込んで「宮城版」をつくることとし、そのために9月12日「市民と野党の共闘で闘うための政策討論集会」を開催しました(参加者約100名)。
市民連合の山口二郎さんから「安倍政治の終わりと民主主義の再建」と題して講演していただき、続いて県内の農業、教育、生業、原発、医療の5つの分野の、現場で苦闘する方々から、現状と課題、いま政治に望むことについて語っていただきました。
この政策討論集会の成果を盛り込んだ政策要望書「宮城版」は、宮城固有の課題である被災地の復興・自然災害対策・防災問題、女川原発2号機の再稼働問題、水道事業の民営化問題などを強調して加筆したものとなりました。

市民と野党の共闘で、ポストコロナの新しい政治を!

最後に、私たちの綱領的文書となっている「7.11市民集会アピール」の後段部分を引用します。文中の「アベ政治」は「スガ政治」へと変わりましたが、この文意はいささかも変更する必要がなく、宮城から全国の皆さんへのアピールとしたいと思います。

「安倍首相の『この道しかない』の欺瞞が明らかになった今、私たちに求められているのは、広く市民に向けて、アベ政治・自民党政治に替わる『もうひとつの』選択肢を示すことです。それは、利潤追求を最優先し公共財をも市場に売り渡す新自由主義的政策からの脱却であり、人々を勝ち組と負け組とに分断する『自己責任』社会から、誰も置き去りにしない一人ひとりが大切にされる社会へつくり直す、『ポストコロナ』の展望を示すことです。
これは同時に、必ずやってくると言われるコロナ感染の第2波・第3波を、国家による情報の独占、管理・統制によってではなく、情報公開と市民的自由のもと、自覚的な市民の自発的な協力によって乗り越える道に重なります。
そして、その『ポストコロナ』の新しい政治の担い手は、安倍自民党に一貫して正対してきた『市民と野党の共闘』勢力以外にありません。私たち『市民と野党の共闘』勢力が、お互いの違いを認め合うことによって違いを乗り越え、多様性を保持したまま大きな塊となり、安倍自民党に対峙することが、多くの人々にとって希望となります。
来たる衆議院の解散・総選挙は、そのような意味を持つ選挙としなければなりません。宮城1区から6区まで、すべての選挙区を『市民と野党の共闘』で闘って、ともに勝ち抜く決意を固め合いましょう!」

市民連合@みやぎ事務局長 多々良 哲