声明

野党協力により政治の転換を求める 市民連合声明

野党協力により政治の転換を求める 市民連合声明

 2020年度の通常国会も会期末を迎えた。この国会を振り返れば、政府主催の「桜を見る会」をめぐる政治資金規正法違反の疑惑に対し安倍晋三首相が説明を拒否したままの状態に新型コロナウィルスの危機が重なり、政府、国会はその対策に忙殺されることとなった。幸い、日本では欧米のような爆発的感染は起きなかったが、人口当たりの死者数では東アジアで最悪の数字となっている。検査、治療の体制について、第二波の襲来に備え、反省・改善すべきことが多い。また、コロナ危機に伴う経済的危機への対応については、支援を必要とする人々へ政策が遅々として行き届かない。また、支援策の事業を受注する団体、企業が不当な利益を得ているという新たな疑惑が浮上している。
 安倍政権の本質は、情報の隠蔽、責任回避、公共的資金の私物化にある。これまで数々の腐敗、疑惑に対して誠実な説明と情報公開を拒んできた安倍政権だからこそ、コロナ危機に対する的確な対応ができていないのである。各種の世論調査で内閣支持率が急落していることは、国民がこのような安倍政治の本質を理解していることの現れである。
 もはや安倍政権は統治能力を失っており、これに代わる政権の担い手が必要である。この間、コロナ危機対策と安倍政権の腐敗に対して国会内で協力してきた立憲野党が、今こそ国民の生命と生活を最優先する政治を実現するために、新たな政権構想と政権の担い手を提示しなければならない。
 通常国会が閉幕すれば、衆議院議員の任期は残り1年余りとなり、衆議院の解散、総選挙がいつあってもおかしくない。野党の分裂によって安倍自民党に漁夫の利を得させた2017年の失敗を繰り返してはならない。立憲野党は、政権獲得後に実現すべき政策の共有と、小選挙区における候補者の一本化の作業を早急に実現すべきである。立憲民主党の枝野幸男代表は5月29日に「支え合う社会」を基本理念とするポストコロナの社会ビジョンを示した。我々はこの構想を支持する。
安倍政権を終わらせる最後の機会が巡ってきた。仮に、安倍首相が退陣しても、亜流の自民党政権を許してはならない。野党が政権の選択肢を示さなければならない。今後野党と市民の熟議によって政権構想を発展させていくことを呼び掛けたい。

2020年6月10日
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合