臨時国会開会にあたって、野党の追及と政策論議の深化を求める
安倍改造内閣による国政運営を論議するために、10月4日から臨時国会が開会されます。参議院選挙以降起こった様々な問題に関し、野党は協力して安倍政権の失政や腐敗を追及し、政治の転換を求める世論を高めることを求めたいと私たちは考えます。
最大の問題は10月1日に実施された消費税率引き上げです。景気の先行きが不透明な中、消費税率引き上げは国民生活に大きな打撃を与えることが懸念されています。さらに、増税の痛みを緩和すると称して実施されたポイント還元などの政策は大きな混乱と不公平を招いています。野党は当面の消費税率の引き下げと、将来を見通した税制改革についてビジョンを示すべきです。
「あいちトリエンナーレ」の「表現の不自由展 その後」に展示された少女像が「日本国民の心を踏みにじる」と名古屋市長をはじめとする歴史修正主義者が騒ぎ立て、これに屈する形で文化庁がトリエンナーレに対して、いったん内示された補助金の交付を撤回するという事件が起こりました。文化庁の論理は、展示が引き起こす混乱を事前に説明していなかったことを撤回に理由としていますが、これは、展示を妨害した脅迫者を是認するものといわざるを得ません。文化庁の決定は、表現の自由に対する政府の圧力であり、憲法上許されないことだと考えます。この点も、国会で事実経緯の解明と文化庁の判断の是非について論議することを求めたいと思います。
福井県高浜町の元助役が関西電力の幹部に数億円の金品を供与していたことも明るみに出ました。原発をめぐる不明朗な資金の流れを究明することは、国会の任務です。国政調査権の行使などあらゆる手段を使って、事実の解明と責任の明確化を進めるべきです。
政府与党以外でも、NHKから国民を守る党の立花孝志議員が、「アホみたいに子どもを産む民族はとりあえず虐殺しよう」と発言し、ジェノサイド(大量殺戮)を肯定するものとして非難を浴びています。国会議員によるこのような発言を許しておけば、議会政治の崩壊や全体主義の台頭につながりかねません。党派を超えた厳しい対処が求められます。
安倍政権は様々な不祥事にまみれ、末期的症状を呈しています。日本社会は底が抜けたように、政治経済のエリートによる放埓が繰り返されています。そして、安倍首相はこのような問題を無視して、参議院選挙の結果憲法論議を進めるという民意が示されたという詭弁を繰り出し、改憲を強引に進める姿勢を示しています。私たちはこのような問題のすり替えを許すわけにはいきません。この危機において、野党の追及が深まるかどうか、国民は注視しています。立憲民主党、国民民主党、社会民主党、社会保障を立て直す国民会議による統一会派の真価を発揮するときです。日本共産党やれいわ新選組などとも協力提携し、国民の期待に応え、不正を糾し、憲法と自由を擁護する戦いを展開するよう望みます。
2019年10月4日
安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合