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January-01-2019

2019年頭所感

公文書改竄、虚偽答弁、隠蔽工作、データ捏造など前代未聞の蛮行が政府により繰り返された2018年、主権者たる国民の代表が会する国会がこれほどまでにないがしろにされたことはありませんでした。また、女性に対する許しがたいセクシュアル・ハラスメントや性暴力、医大・医学部入試におけるあからさまな女性差別、旧優生保護法に基づく強制不妊手術や国・地方自治体における雇用水増しなどで明るみに出た障がい者差別、入国管理局による非人道的な長期収容や著しい人権侵害が横行する外国人研修生・技能実習生制度の実態が浮き彫りにした外国人差別、「生産性がない」というヘイト発言など右派政治家やメディアによるLGBT差別、そして辺野古での土砂投入に象徴される沖縄差別など、今日もなお日本の政治、社会、経済にはびこるさまざまな差別が一気に白日の下にさらされた年でもありました。

2019年はいったいどのような年になるのでしょうか。

春の統一地方選挙と沖縄・大阪衆院補選から夏の参議院選挙へとつづく2019年は重要な「選挙イヤー」にあたり、主権者自らがこのような政治のあり方に終止符を打つチャンスと言えます。しかし、追い詰められるたびになりふりかまわぬ強行突破を繰り返してきた安倍政権は、解散権をまた濫用して衆参同日選を仕掛けてくる可能性をちらつかせており、さらに憲法破壊の総仕上げとして改憲発議を強行する姿勢を崩していません。私たちは、2019年、大きな正念場を迎えることになります。

 

自民党は、2012年12月に政権復帰を遂げて以来、2014年12月、2017年10月と衆議院選挙において公明党と合わせて3分の2を超える議席を得る圧勝をつづけてきましたが、実は、2009年8月に民主党に惨敗し下野した際に獲得した得票数に一度たりとも達していません。安倍自民党の言いなりとなってしまった公明党も、近年得票数を減らしつづけています。それでも自公連立与党が圧勝をつづけるのは、衆議院における小選挙区や参議院の地方一人区などで野党候補が共倒れを繰り返し、また、野党の分裂により有効な選択肢(オルタナティブ)を失ったと考える有権者の多くが政治をあきらめ棄権するようになってしまったからです。

 

私たち市民連合は、2015年12月以来、誰もが尊厳ある暮らしをおくることができる「あたりまえの政治」を取り戻すため、全国各地の市民の皆さんと連携し、野党の共闘態勢を構築することを目指してきました。2016年7月の参議院選挙では、32の一人区すべてで野党統一候補の擁立が実現し、11選挙区において勝利をおさめるなど、これまで一定の成果をあげることができました。しかし、2017年10月の衆議院選挙では、希望の党への合流をめぐり民進党が分裂し、またしても野党の分断が自公連立与党を利する結果をもたらしてしまいました。

 

野党がバラバラに戦った2013年7月の参議院選挙では、31あった一人区のうち29議席までも自民党に取られています。これらの議席が改選となる2019年、野党共闘の成否で選挙結果とその後の政治状況は大きく変わってきます。野党間の政策合意と候補者調整を進め、改憲発議に必要な3分の2の議席を大きく割り込ませることができれば、安倍政権を退陣に追い込むことも十分可能です。他方、野党候補が乱立するようなことになれば、政権の延命を許すばかりか、改憲への動きが加速する事態につながりかねません。言い換えれば、自公連立与党にとって、野党の分断と投票率の低迷こそが政権存続のカギを握っているのです。

 

また、現在すでに連立与党や維新などの改憲勢力が衆参両院で3分の2を有していると言っても、安倍改憲を成し遂げるためには単に発議を強行するだけではなく、国民投票で過半数の賛成を確保しなくてはならず、そのために野党の一部を取り込み、大義も民意もない改憲発議に見せかけの正当性を付与することを狙っています。だからこそ、安倍政権は国民民主党への働きかけを強めるなど、野党の分断を執拗に画策しています。

 

安倍政権の打倒と安倍改憲の阻止を目指す私たち市民連合は、立憲民主党、日本共産党、社会民主党、自由党、無所属の会と意見交換や政策協議を重ねると同時に、立憲主義の擁護、安保法制の廃止、9条改悪の阻止、個人の尊厳を擁護する政治の実現という大原則の共有を前提に、国民民主党とも連携の可能性を模索してきました。これら立憲野党5党1会派は、働き方改革や入管法改正案などの重要法案を巡って国会でも共闘を進め、2018年9月に行われた沖縄県知事選挙においてともに玉城デニー候補を支援しそれぞれ勝利に貢献してきました。

 

こうしたなか、11月6日市民連合は国民民主党の玉木雄一郎代表と平野博文幹事長と意見交換を行い、安倍政権下での改憲発議の阻止、違憲の安保法制の廃止、立憲主義の回復といった基本的な方向性の共有を確認し、11月16日の「立憲野党と市民連合の意見交換会」には平野幹事長と小宮山泰子衆議院議員が国民民主党から初めて参加し、11月26日のシンポジウムにも立憲野党5党1会派の幹事長・書記局長が一堂に会し「安倍政権にかわる新しい選択肢」を主題に議論を深めました。政策合意の更新や候補者調整など喫緊の課題はまだ山積みですが、市民連合は、分断を乗り越え、旧無所属の会や国民民主党を含めた大きく力強い共闘態勢によって「選挙イヤー」における立憲勢力の躍進をめざす方針です。

 

希望の党の流れをくむ国民民主党を共闘の枠組みに入れるべきではない、という声も市民連合に少なからず寄せられています。2017年10月の衆議院選挙の際、市民連合は希望の党との共闘は行いませんでしたので、国民民主党との連携について疑問や批判が呈されるのは無理からぬことと私たちも承知しています。

 

それでも市民連合が、国民民主党を含めた立憲野党の本格的な選挙協力をめざす理由は以下の通りです。(1)安倍政権下での改憲発議への反対、違憲の安保法制の廃止、立憲主義の回復など共闘の大原則についての一致が、玉木代表や平野幹事長と確認できたこと、(2)旧民主党・民進党議員として特定秘密保護法、安保法制、共謀罪法など一貫してともに反対をしてきた実績があること、(3)オール沖縄の成功が示すように、穏健保守層までウイングを広げた野党共闘が勝利には不可欠であること、(4)一緒に組めるはずの政治勢力を排除することは、改憲発議に協力する政権補完勢力をつくり、参議院選挙での候補者乱立と共倒れを招くことにほかならないこと、などです。

 

理屈はどうであれわかりにくい共闘は有権者のさらなる離反を招くだけ、というご批判はとりわけ深刻に受け止めざるを得ない、と私たちも考えています。そもそも複数政党間の共闘は、政党合併ではない以上、小さいとは言えない違いが残らざるを得ず、相互不信を完全に解消することも困難かもしれません。しかし、「安倍一色」に染まる連立与党に対して、意見の多様性を互いに尊重し、話し合いを通じて合意点を探っていく政治手法は、立憲野党の強みでもあるはずです。立憲主義の回復、安保法制の廃止、安倍改憲の阻止などの一致点を土台に、誰もが自分らしく暮らせる社会や経済をつくるための政策を今後どれだけ具体的に構想し、発信していくことができるか、そうして、政治をあきらめてしまった有権者たちを今一度呼び戻すことができるかが私たちに問われていると考えます。

 

2019年、差別のない「あたりまえの政治」をつくるために、市民連合は、市民と立憲野党の大きく力強い共闘を呼びかけます。

 

2019年1月1日

安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合