立憲4党と語る、
これからの日本 社会民主党編
「社民党の理念は、『平和・自由・平等・共生』の4つ。これらの価値を踏まえ、自民党政権が進める新自由主義、新保守主義に対峙する」と、又市征治幹事長。
福島みずほ副党首は、「社民党の生活感覚に近い理念や政策を他の政党の人にも浸透させていきたい。野党4党だけではなく、もっと広がって行くようにしていきたい。例えば、保守の人たちに『あなたが支持してきた自民と、いまの安倍政権は全く違いますよ』と伝えて、市民のなかに仲間を増やしていきたい。実際に応援してくれる保守の人もいる」と意欲を燃やす。
国政における議席数では小政党であっても、要所要所で存在感を示す社会民主党。その役割は、野党共闘の「接着剤」としてだけのものではない。
市民運動や地方政治の現場に常に近くあったからこそ、生活に根ざした政策アイデアで立憲野党を牽引できるか。
社会民主党の真価が、今こそ問われている。
社民党はどういう政党? 社会民主主義という理念
津田 こんにちは、ジャーナリストの津田大介です。本日は市民連合主催の「立憲4党と語る、これからの日本」の第三弾で、社会民主党の議員さんにインタビューをします。市民連合から岡歩美さんと一緒に、社会民主党幹事長の又市征治さん、副党首の福島みずほさんにお話を伺っていきたいと思います。
社民党は他の野党とどこが違うのでしょうか?また、どのようなことに力を入れて活動しているのでしょうか?
又市 2006年に、社民党結党10周年ということもあって、網領的文書「社会民主党宣言」を採択しました。社民党は、社会のあらゆる改革を進めようとするあらゆる人々に開かれた国民政党として、日本における社会民主主義の理念を掲げています。その理念とは「平和・自由・平等・共生」の4つです。この4つの理念を具体化するために様々な活動をしています。まずは自民党政権が進める新自由主義、新保守主義に対峙することが大切です。
津田 やはり社民党は小泉政権の構造改革に対してのカウンターとしてあったと思います。では、その社会民主主義のモデルとしてはドイツや北欧など、ヨーロッパなのでしょうか?
又市 基本的にはそうです。社会主義インターナショナルというものがあり、日本では社民党だけが参加しています。国際的な社会民主主義の基本理念である「自由・公正・連帯」をもとに社民党の理念を考えました。
津田 福島さんは政策や理念についてどんなことを考えているのですか?
福島 やはり社会民主主義的価値の実現です。働いて、望めば子供を産んで、年をとる。これを安心してできる社会を目指しています。公平な税制の実現、格差の是正、教育の無償化、雇用創出、十全な社会保障、労働条件の保護などが必要です。また、護憲、脱原発、沖縄の辺野古・高江の新基地建設反対も訴えてきました。
岡 それは私自身も共感できますし、市民の感覚とあっていると思います。
津田 一方で、普段の社民党の活動が見えにくくなっているという現状があると思います。岡さんは社民党に対して、どのような印象がありますか?
岡 社民党員はどのくらいいるのでしょうか? また、国会以外の地域での活動はどのようなものですか?
又市 社民党員は約1万7000人、地方議員は約600人います。基本的には普通の生活をしながら、党員としては通常のビラ配りや署名活動に加えて、定期的に支部会議に出席します。支部会議では自分たちの身の周りに起きていることを持ち出して、どうやって対処すればいいのかを話し合います。地域の人の声を聴いて、議会に反映させていくことを念頭に活動しています。
津田 いま世界的に情勢が変わってきています。テロの問題、トランプ政権の誕生やブレグジットがありました。そんな状況の中で、平和や、共生をどのように考えますか?
福島 まずは新自由主義と戦わなければいけないと思います。また、グローバリゼーションの中でも、排外主義にならないようにしなければなりません。安全保障に関しては、尖閣などの問題があるからこそ、武力による威嚇ではない方法で解決しなければいけません。安倍政権は9条を変えると言っていますが、むしろいまこそ護憲が必要でしょう。
又市 新自由主義は格差を生み出すだけです。アベノミクスに現れているように、大企業が儲かれば、おこぼれが一般庶民にしたたり落ちるという、トリクルダウンは起こりません。だから一貫して経済がよくなりません。また働き方も酷いものです。80時間が過労死ラインだというのに、100時間未満の残業というのは、「過労死しなさい」と言っているに等しいですよね。
また、平和の問題に関しては2001年に土井たか子さんが、「21世紀の平和構想」(土井ドクトリン)を出しました。そこでは、日本・韓国・北朝鮮・中国・モンゴル・ロシア・アメリカ・カナダで北東アジア総合安全保障機構の創設を主張しています。ここで何かあっても絶対に武力行使はしない。特に日本・韓国・朝鮮・モンゴルは国連で非核地帯宣言をしよう、というものです。前年の南北首脳会談にも金大中(キムデジュン)と金正日(キムジョンイル)が非核化についての話をしていますし、そうした文脈の中で小泉さんは2002年に北朝鮮に行きました。こういうことをいまやらねばならないと思います。
いま北朝鮮について大騒ぎしていますが、わざわざ5月の初めに米艦の防護に自衛隊を防備で参加させる必要があったのでしょうか。軍事的な圧力で問題解決というのは時代に合いません。中国も韓国も対話路線です。さらにはロシアも6カ国協議再開だと言っているのに、日本ではアメリカと一緒に軍事的圧力ばかりです。日本海でアメリカと北朝鮮の戦争が始まれば日本は集団的自衛権の行使をするでしょう。その際、福井県の14基の原発にミサイル落とされたら、日本列島は崩壊です。そういう状況になりかねないのです。それなのに今の政権は極めて無責任だと思います。