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May-17-2019

市民に寄り添う政治をつくるー 名嘉眞正 (市民連合みえ)

現在、8月頃の衆参ダブル選挙も予想されているなか、改めて「野党共闘の成功例」として、三重県の動向に注目が集まっています。なぜ三重では野党共闘が成功し、芝博一という、政党の枠を飛び越えた政治家が誕生したのか。そんな三重の抱える課題は何で、今後どのような戦略を練っているのか。そして、三重から私たちは何を学べるのか・・・。今回は、「市民連合みえ」の発起人の一人でもある、名嘉眞正(なかま・ただし)さんのお話を伺ってきました!

 

今日はよろしくお願いします。まず最初に、なぜ名嘉眞さんが三重の野党共闘に関わるようになったきっかけを教えてください。

 

私個人のはじまりは、2015年6月の、安保法制の参考人質疑です。自民党から呼ばれた学者の方も含めて安保法制が違憲であると答弁していて、「自民党、大丈夫か?」と思うようになり、国会前の抗議行動に向かいました。
国会前では、一人一人の立場でスピーチしていました。また、若い人は、周りも自分も苦しくならないように配慮しながらやっていたんですね。共感しました。これらを三重に持ち帰りたいなと思ったのがきっかけです。

 

その後、名嘉眞さんは「市民連合みえ」の立ち上げに携わり、野党共闘にこぎつけたんですよね。

 

はい。その後、私は教組系や自治労、9条の会などいろいろなところに顔を出し、議員さんや色々な方と、少しずつ、つながりができるようになりました。2016年3月5日、SEALDs TOKAIが「三重の野党共闘」ということで、当時民進党だった芝博一さん、当時維新の松田直久さん、共産党の大嶽代表、そして社民党の佐藤代表を迎えての野党間協議を開いたのですが、この時は、芝さんの握手拒否という結果で終わりました。この拒否した理由って、共産党の政策がどうこうって話ではなくって、地方特有の、それこそ連合や支持者の問題なんですよ。地方では、市議会とか県議会をはじめとした色々な場でのぶつかり合いや確執があって、国政選挙とはいえども、そこ抜きには考えられないんですよね。なので、一緒に写真映るのはもちろん、握手なんてもってのほかだと。
でも、そんなこと言っていたら、勝てるわけないじゃないですか。だからこそ、政党色のない人たちが間に入ることで政策協定に結びつけ、野党統一候補として勝てる選挙をしたいと考えました。それで、学者、弁護士、若者、ママの会、一般人として私。この5者を揃えて「市民連合みえ」を立ち上げることにしたんです。
「市民連合みえ」で行ったのは、党と党とを「市民連合みえ」を介して繋げる、「ブリッジ共闘」という戦略でした。本当は、政策協定も党と党の直接協定が良かったんですけど、それだと無理だ、決裂だということになってしまい、叶いませんでした。そこで、「みんなが勝つために痛み分け」ということで、ブリッジ共闘で戦いました。

 

三重の選挙でやはり思い出すのは、元々すごい保守的な人だった芝さんが、選挙戦終盤には、共産党の人とも手を結ぶ人へと「変わった」ということです。芝さんは、なぜ変わったのでしょうか。

 

これは私たちも感動しました。だって神社の神職で、*元日本会議ですよ(笑)。 まぁ、神職の立場上、形式的に所属していただけでしたが。*2015年 日本会議が安保法案、自民党改憲草案、憲法改正運動に強く関わっていることに賛同できないため、日本会議国会議員懇談会を脱会する。
それが変わったのはおそらく、芝さん自身が、市民の声で自分が国会に送られるんだということを感じたからだと思います。若い人や、今まで応援に来なかった人がたくさん来てくれて、選挙のやり方も、プラカもフラッグも、SNSの発信方法も変わりました。本人が思っていた以上に、自分を応援してくれる人たちがいるんだということを感じたのかもしれません。いま芝さんは、集会でも自分から「野党統一候補で当選させていただいた芝博一です」と、ちゃんと言ってくれます。
こういう人を大事にしていきたいし、今はそうではない人も変われるんだという事を信じたいですね。

 

今夏の参院選に向けて、三重ではどのような動きがあるかについて教えてください。

 

一つは野党間協議で、これは継続的に行っています。特に、各政党の共通政策を重視しています。やる気とかの問題ではなく政策でつながりつつ、そこで一つの形を作っていくために、共通政策を作っていくということです。
具体的にいうと、2016参院選、2017衆院選で結んだ政策協定4項目(「安全保障関連法を廃止する」「立憲主義を回復し、個人の尊厳を擁護する政治を実現する」「安倍政権による憲法改悪を阻止する」「アベノミクスによる生活破壊を許さず、格差を是正し、公正な社
会を作る」)はもちろん、それに加えて、増税延期、原発政策の見直し、沖縄の辺野古新基地移設の反対。これらの政策を、いま入れるように取り組んでいます。
政策協定に関しては、「中央で決まってから協議をする」ということではなく、中央で決まったらすぐに動けるようにしたいと考えています。地方での話し合いを進めていくことで、中央に対しても影響を与えていく、そういう役割を果たしていきたいですね。
政策は中身が大事だとも思っています。私たちが街頭に立って支持を広げたい相手は、5割の無党派層なんです。選挙に行かない人たちに広げたい。しかし実際の無党派層や選挙に行かない人たちって、「自分たちの生活と政治が直結している」という感覚がないんですよね。僕の友人である30代40代の現役世代や、子育てしている人たちも、「そんなことやっている時間もない」って言います。だから、そういう人たちに伝わる、具体的で説得力のある、響くものを作らないといけないと考えています。

 

お話を伺っていると、三重の野党共闘はものすごく「うまくいっている」印象を受けます。逆に、課題はあるのでしょうか?

 

ブリッジ共闘の成功体験が大きすぎるということかもしれませんね。特に、旧民進党が希望の党の一件で分裂した時、本当は直接での政党間協定をしてもらうということで進めていたんですけど、さすがに間に合わないということで、ブリッジ共闘を取らざるを得ませんでした。
今ひとつ思っているのは、総がかり的な組織が三重になく、「市民連合みえ」が唯一野党を結べるものになっているという現状をどう変えていくかということです。三重には連合系や共産系の団体はあるのですが、互いに住み分けが強く、別で動いています。しかし現状では、これらの組織を唯一つなげられるのが「市民連合みえ」なんです。そこを変えて、市民団体も組織も超えて一緒に進めていける環境をつくりたいですね。

 

最後に、有権者、市民にメッセージをお願いします。

 

まず、政治も社会の一部であって、政治が上にあるのではないということを、強調したいですね。そして、日常のなかで、常に政治をチェックして欲しいなと思います。「選挙の時だけお願いします」というのではなく、道路や学校、待機児童の問題など、やはり日常の中に政治はあるということを実感してほしいです。
投票に行きましょう。そのために普段から、政治のあり方をチェックして、声を届けていきましょう。

 

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名嘉眞さんのお話からは、改めて、市民と政治家の対等な関係をつくっていくことが長い道のりを要するものであること、そして野党共闘は目標であるとともに一つの通過点であり、日常のなかにあるはずの政治を、いかにしてみんなのものにしていくかが常に問われなければならないということを学べました。三重にもまだ課題はあるのだと、名嘉眞さんはおっしゃられました。しかし、そのなかで三重は前進し続けており、一歩ずつ着実に、市民と野党の本当の共闘が進んでいくのだと感じさせられました。名嘉眞さん、ありがとうございました!

 

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