アクション

4.20【あたりまえの社会を考えるシンポジウム―貧困・格差の現場から―】を開催しました

市民連合は4月20日、東京・王子の北とぴあにおいて、「あたりまえの政治を考えるシンポジウム―貧困・格差の現場から―」を開催しました。シンポジウムには、約1000人の方が参加しました。

集会は、市民連合から諏訪原健さんの司会で進行。まず主催者を代表して、市民連合運営委員の山口二郎法政大教授があいさつ。「この25年間の世界的な潮流のなかで、政治だけでなく、社会の底が抜けてきている。そこで、諸個人の尊厳を守るために、具体的な社会の構想を練っていく必要がある。」と決意をのべました。

シンポジウムは、本田由紀東京大教授がコーディネートして進行。戦後日本社会の変化、そして今日の状況について、データを踏まえ解説していただきました。そのなかで、仕事・家族・教育の3つが、それぞれ一方向的に作用する戦後日本型循環モデルが、90年代以降に破綻していったことを指摘。そしてこれからは、仕事・家族・教育の3つが双方向的な関係を持ち、最低限度の生活を保障するセーフティーネットを構築することが必須であるとのべられました。

次に、前川喜平元文部事務次官は教育の機会均等を実現することが、憲法や教育基本法の理念であり、それを実現するには経済的支援が必要であると指摘。また、現実には教育費の私費負担が大きく、地域間格差も大きくなってきているが、税制の見直しによって財源を確保することは可能であるとのべられました。

その後は、NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ理事長・赤石千衣子さんからの発言。母子家庭の就業率が高いにもかかわらず、日本のひとり親世帯の相対的貧困率が先進国で最悪であることを指摘。その背後には、賃金格差などのジェンダー不平等があると指摘されました。また、この問題を解決するには、同一価値労働同一賃金や、出産で仕事をやめなくていい社会の実現などが必要とのべられました。

活動家・作家の雨宮処凛さんは、ロス・ジェネ世代が中年化していく中で、その貧困問題への対応が、政策的に優先順位を落としてきていると述べられました。特に現在、単身で中年世代の女性は社会的信用を得にくく、賃貸物件を借りるにも保証会社と契約する必要があるなど、「貧困税」の存在を指摘。また、最低賃金1500円を求めるグループEQUITASのスピーチ映像を踏まえながら、貧困が全世代化している状況を概説していただきました。

シンポジストとして最後に発言したのは、下野新聞真岡総局長・山崎一洋さん。子どもの貧困についてご自身が取りまとめたプロジェクト、「希望って何ですか?」の章構成に沿ってお話しいただきました。そのなかで、貧困状況にある子どもを支えるには、支援機関と支援の成果の存在が、社会全体で明確に共有されていることが重要だと指摘。それが、貧困状況にある子どもを支えるための、社会の好循環を生んでいくとのべられました。

その後、相互に意見交換をし、安倍政権以降の政治を具体的に構想する上で、貧困・格差の問題を継続して考えていくことの重要性を確認し、シンポジウムを終了しました。最後に、市民連合運営委員から小田川義和がまとめの発言を行い、集会を終了しました。